性的少数者に配慮、労務管理で必要なこと
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「LGBT」を知っていますか?
今、企業に対し「LGBT」の人たちへの配慮が求められています。LGBTとは、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの略語で、いわゆる性的マイノリティーの人々のことです。
電通総研の試算によれば、日本でも人口の5%以上(2012年調査)、LGBTを支援する団体「LGBTの家族と友人をつなぐ会」のホームページ記載によれば、10人に1人の割合でLGBTの人がいるとされています。つまり、私たちのごく身近な存在であると言えます。
近ごろでは、マスコミやインターネットでLGBTに関する情報が出てくるようになったため、以前よりもLGBTの人たちが声を上げやすくなってきているように思います。
労務管理においては男女雇用機会均等法の拡大解釈で対応を
LGBTに対する配慮は、多くの日本企業にとって課題となっています。これまでなかなか取り上げられてこなかった課題であるために、企業側もモデルケースが少なく試行錯誤の対応を迫られています。
また、企業活動がよりグローバルになっている今日、様々な国の異なる文化圏でビジネスが展開されるため、LGBTへの対応にオンリーワンの正解があるわけではないのも難しいところです。
1986年、日本では男女の就労条件・環境における差別撤廃を目的として「男女雇用機会均等法」が施行されました。LGBTの人々への配慮の難しさについては、先ほども述べました。しかし、労務管理における配慮については、基本的には男女雇用機会均等法の趣旨を拡大解釈すれば良いのではないかと考えます。ただ、これまでのように、男性と女性といった生物学的な二つだけの視点だけではなく、それを拡げ、どういった性であろうとも「一人の人間として」対等の就労機会と環境が与えられるようにしていくこと、それが大切なことだと思います。言うまでもなく、ジェンダー(社会的・文化的な性のありよう)の問題は働く能力とは無関係だからです。
多様性の受け入れが新たなイノベーションを生む
例えば、多様性を受け入れていけるような取り組み(ダイバーシティ・マネジメント)がより重要になってくるでしょう。マイノリティーを排除・特別視するのではなく、その多様性を活かして発展していくための行動をとっていかなければなりません。就労に関するハード面においては、就業規則へのLGBT差別禁止規定の盛り込みや、家族手当・慶弔休暇などの福利厚生制度の見直しを検討する必要があるでしょう。
また、性という極めてデリケートな課題であるため、セクシャルハラスメント対策も重要になってきます。今まで以上に管理者・社員教育を徹底し、性的言動に対しての意識改革を図っていかなければなりません。
性別・年齢・国籍・家庭環境といったものにとらわれずに、個人の労働能力を最大限発揮できる環境づくりができれば、新たなイノベーションが生まれるはずです。
人事労務コンサルティングの専門家
大竹光明さん(社会保険労務士法人大竹事務所)
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