ブラックバイトに泣き寝入りしないために
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ブラック企業の被害はアルバイトにも及んでいる
近年、違法・過酷な労働により労働者を使い潰す「ブラック企業」が社会問題化しています。そんな中、ブラック企業の被害は正社員だけでなく、アルバイトなどの非正規労働者にも及んでいます。
では、どのようなものが「ブラックバイト」なのでしょうか。ブラックバイトを提唱された大内裕和・中京大教授の定義によると、「(1)法令違反の疑いがある」「(2)勤務を断れないなど労働環境が悪い」「(3)バイトに求める仕事が正社員並み」の3点がその特徴です。
(1)の法令違反として具体的に考えられるケースとしては、「①時間外の割増しや残業代の不払いなど、労働時間に見合った給与を支払わないケース」「②仕事のミスや退職に対して罰金(賃金カット)を課す」「③パワハラ・暴力」「④シフトが組めない等の理由で契約内容を超えて長時間働かせる」といったことが考えられます。
ブラック企業のみならず、なぜ、このようなブラックバイトが広がったのかについては諸説ありますが、非正規雇用が拡大・一般化して、かつては正職員が担っていた仕事もアルバイトに肩代わりさせるようになったためと考えられます。
ブラックバイトは辞めることができる。毅然とした態度で臨むべき
運悪くこのようなブラックバイトに当たった場合、どうすれば良いでしょうか。まず前提として、ブラックバイトは辞めることができます。たとえ契約期間中であっても、労働基準法15条2項により、説明された労働条件と実体が異なる場合、労働者は即時に辞職することができます。また、会社に労働基準法違反があった場合も同様です(民法628条)。このような場合に「辞めるなら罰金を払え」などと言われても、労働者側に責任が生じることは原則としてありません。むしろ、このようなことを言ってくることこそ「ブラックバイト」の何よりの証明です。
それ以外にも、残業代(賃金)不払いや罰金などの労働基準法違反があれば、労働基準監督署に申告すれば監督署からの指導が入ります。また、アルバイトでも加入できる労働組合(ユニオン)もあります。自分一人では対応できないと感じた場合、組合に相談してみることも良いでしょう。もちろん、弁護士などの専門家に相談してみることも重要です。
「アルバイトだから」と思って諦めてしまうと、自分自身も卒業後にブラック企業に気づけなくなりますし、ブラックバイトやブラック企業の横行を許す結果にもなります。「アルバイトだから仕方がない」ということはありません。立場の弱い労働者やアルバイトを使い潰すブラック企業をなくすために、法令違反を許さず、毅然とした態度で臨むべきでしょう。
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