ワークライフバランスを推進すべき4つの視点
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ワークライフバランスを後回しにすると、業績に悪影響も
「ワークライフバランス」という言葉は、かなり日本社会に浸透してきた感じがあります。企業におけるワークライフバランスという意味では、その格差は広がってきています。後回しにされている企業では、従業員のモチベーションや業績に悪影響を及ぼしています。
企業におけるワークライフバランスは、各企業ができることを少しずづやれば良いと考えています。今回は、ワークライフバランスを推進すべき視点を4つ紹介します。
労働安全衛生上のリスクマネジメントにもつながる
1、社会的公正の視点
男女雇用機会均等、男女共同参画社会、少子化対策、ワークライフバランスに関する法令や施策の推移を見てみると、ワークライフバランスを国の政策として進めていることがわかります。社会的公正を実現するために、ワークライフバランスを推進するという社会全体の流れに乗ることは、企業にとって決して悪い話ではないでしょう。
2、危機管理の視点
長時間労働やサービス残業は、今なお多くの企業が抱えている問題です。ワークライフバランスを推進し、長時間労働を見直すことを通じて労働関連法規を遵守することは経営者にとって不可欠です。
メンタルへルス対策も経営上、重要な検討事項となっています。ワークライフバランスはメンタル不全をはじめとする疾病予防にも有効です。ワークライフバランスを通じて一人一人が生産性を向上させ、時間をうまくコントロールすることは、コンプライアンスのみならず労働安全衛生上のリスクマネジメントにもつながります。
中長期的には業績向上をもたらすことが様々な研究で明らかに
3、成果の視点
企業がワークライフバランスに積極的に取り組まない理由として、「ワークライフバランスはコストがかかる」「推進しても業績には関係がない」という意見をよく聞きます。確かに、短期間での業績の向上にはつながらないかもしれません。手間や推進体制の整備など、時間や事務コストもかかってきます。しかしながら、中長期的には業績向上をもたらすことが様々な研究でも明らかになっています。
例えば、ワークライフバランスを推進している企業は、意識の高い優秀な人材を採用することができ、育児や介護といった事情で退職することも防げます。今は、SNSなどですぐに広範囲に情報が回る時代です。ワークライフバランスを推進して従業員を大切にする企業は、必ず顧客などから共感を得ることができ、結果的に売り上げや利益の拡大につながります。
4、報酬の視点
現代社会では、労働者は会社だけでなく、家庭や地域でも活躍することが求められています。しかしながら時間は有限です。一日24時間と決まっている時間は、重要な資源といえるでしょう。時間は、賃金やポストに続く「第三の報酬」と考えることもできます。「ワークライフバランスとは会社が預かっていた従業員の24時間を返還する試み」(「ワークライフバランス推進マニュアル」学習院大学経済経営研究所編)という考えもあるくらいです。
以上のように、4つの視点からワークライフバランスを捉えると、会社が今後も継続していくための取り組みと言えなくもありません。あなたがワークライフバランス推進の担当者で、もしも経営者が渋い顔をしているのであれば、この4つの視点を示してあげると良いでしょう。
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