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改正派遣法で雇用安定化は図られる?

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同じ職場で働ける期間は3年まで。「個人単位の期間制限」を新設

改正派遣法で雇用安定化は図られる?

現在、国会で労働者派遣法の改正が審議されています。大きな改正点は、派遣労働者が同じ職場で働ける期間を3年までとする「 個人単位の期間制限 」 が新たに設けられることです。 これは、派遣労働を原則として「臨時的・一時的な働き方」と位置付け、派遣労働者のまま同じ職場で同じような業務を長期間続けることを制限しようとするものです。

次に、派遣期間上限の3年を迎えた人に対し、以下の「雇用安定化措置」を取るよう派遣会社に義務付けることが検討されています。
①派遣先に直接雇用を依頼
②新たな就業機会(派遣先)を提供
③派遣会社(派遣元)が無期限で雇用
④その他安定した雇用の継続が確実に図られると認められる措置

派遣会社にとっては、「抱えている優秀な派遣社員が流出してしまう」「新たに派遣社員を直接雇用しなければならない」といった負担が増し、かなり厳しい内容となっています。非正規雇用で働く労働者が全労働者の3分の1を超える今、この法改正で「不安定な地位にある派遣労働者の雇用安定化を図ること」が狙いのようです。果たして、政府の思惑通りに雇用安定化につながるのでしょうか?

3年未満の契約を結ぶ派遣会社が増加する懸念も

先述の法改正により、派遣会社が取る対応はどのようなものになるでしょう。派遣会社としては、上限3年に達する派遣労働者が希望した場合には、派遣先に直接雇用を依頼する義務が生じます。または、新たな派遣先を提供することになるのですが、どちらも難しい場合は、派遣会社が労働者を直接雇用、あるいは何らかの雇用継続措置を取る必要が出てきます。これは義務ですので「できませんでした」では済まされません。

そうなると、3年未満の派遣契約を結ぶ派遣会社が増えてくるのは、自然の成り行きであると思われます。派遣労働者の雇用安定化を図るはずが、逆に「契約期間が短く、不安定な派遣契約を増やすことにつながりかねない」という懸念が出てくるのです。

労働の多様化に合わせた法改正が望まれる

アベノミクスによる経済効果の恩恵でしょうか、近ごろでは都市部を中心にパート・アルバイトの人手不足が起きています。時給アップや正社員への登用をうたって人材募集する企業も出てきているようです。雇用安定化という問題に即効性があるのは、やはり景気向上なのではないかという気がしてなりません。

派遣労働者として働く人の中にも、政府が思い描いているように、正社員になれず仕方なく不安定な派遣労働をしている人もいれば、あえて派遣労働という自由度の高い働き方を選択している人もいます。実際、一般社団法人日本人材派遣協会のアンケートによれば、約7割の派遣労働者が「当面は派遣就業の継続を希望する」と答えているそうです。これらの人たちにとっては、3年未満で派遣契約を切られてしまうのは本意ではないでしょう。

「法律」という形式で、労働契約をコントロールするためやむを得ないところもありますが、一律に派遣労働を「不安定・一時的なもの」として捉えるだけでは実態に即しません。労働の多様化に応じた法改正が望まれます。

人事労務コンサルティングの専門家

大竹光明さん(社会保険労務士法人大竹事務所)

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