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2040年豊島区消滅?発表の真意

突然の消滅発表に、住民からは戸惑いや怒りの声も

2040年豊島区消滅?発表の真意

平成26年5月8日、元総務大臣を座長とする有識者で構成する「日本創成会議・人口減少問題検討分科会」により、全国1,800の市区町村の約半数に当たる896自治体で、子どもを産む人の大多数を占める「20~39歳の女性人口」が、2010年からの30年間で5割以上減少すると発表されました。

同会は今後、少子高齢化に有効な手を打たなければ自治体が立ちいかなくなる可能性があるとし、危機が迫る「消滅可能性都市」を明らかにしました。そうした中、東京23区で唯一「消滅の可能性」を指摘されたのが豊島区でした。

突然、「将来消滅する可能性のある区」と名指しされたことで、区や区民からは「豊島区は商業も発展し区全体の人口も増え、人口密度は全国1位(1平方キロあたり2万673人)。これだけ発展繁栄している区が、数十年で消滅するなど信じられないし、あり得ない、分析方法がおかしいのでは」と戸惑いや怒りの声が上がっています。

7,000万円以上のタワーマンションがすぐに完売する人気ぶり

1日の利用客が250万人以上で国内のみならず「世界でも2位」という大ターミナル駅の「池袋」や、閑静な高級低層住宅地で山手線屈指の品格の「目白」、有名庭園がある「駒込」、巣鴨地蔵通りがある「巣鴨」などを有する東京都豊島区は、手塚治虫氏、藤子不二雄氏、石ノ森章太郎氏、赤塚不二夫氏らが下積み時代の青春時代を過ごしたトキワ荘があったことでも有名です。

また、豊島区内の山手線駅は昨年秋に大塚駅ビルが開業したのを最後に全駅のリニューアルが完了し、交通面では副都心線が開通。豊島区の利便性はさらに高まり、現在も人口が増え続け、今後もさらに人口が増加する予定区の一つと言われています。

人気を実証するように、池袋に現在建築中の日本初となる区役所本庁舎(豊島区新庁舎)一体型の超高層マンション「ブリリアタワー池袋」は、7000万円台・8000万円台中心の価格帯にも関わらず、完成を待たずに完売しました。

豊島区への今回の指摘は、人口減少対策を求める一種の警告か?

一方で、豊島区がということではなく、自治体などは「出産・育児支援」などの行政サービスにさらに力を入れ、しっかりと予算をかけていかなければ、いずれ子育て世帯は、より子育てに手厚い他の自治体へと離れていってしまう可能性があります。ブランドエリアなどの人気エリアであっても、保育所の確保が難しいため、他の自治体への転出を考えているという人は一定数存在します。

また、中長期の日本経済を検討する政府の有識者会議は平成26年5月13日、50年後に約1億人の人口を保つため、出産・育児支援を倍増することや、年齢性別に関係なく働ける社会にするなどの人口減少問題を解消する提言をまとめました。今回の提言が経済財政運営の指針(骨太の方針)に反映されれば、政府として初めての「人口目標」となるとのことです(朝日新聞より引用)。この人口減少が今後急速に進んでいく問題は、国家においても大きなものであり、自治体はもちろん、国をあげて本気で取り組むべきです。

豊島区への今回の指摘は「このまま何もしないと、将来そうなる」という想定と思われますが、この指摘をバネにし、ぜひ将来の人口減少をくい止められるよう、「より良い街」に成長する「策」を打ち出していくべきだと思います。

後藤一仁

不動産を通じてお客様を幸せにする不動産コンサルタント

不動産コンサルタント

後藤一仁さん(株式会社フェスタコーポレーション)

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