こころの問題<15> 自立の裏には必ず孤独がある
このコラムで触れた対応法は、あくまでも相手の行為がハラスメントや犯罪には至らない場合の対応です。これが一線を越えるようなひどいハラスメントや人権や人格を激しく傷つけるような場合は、きちんと立ち向かわなければいけません。もちろん個人で行うのではなく、理解者・味方と共に法律を背景に立ち向かうことが大切となります。今回のコラムではそこのところまでは触れていません。
さてあなたの周りにいる困った人・迷惑な人にどう対処すればよいか、その原則が「逃げない・こびない・戦わない」の3原則です。
3原則の①~逃げない~
3原則の一つ目は「逃げない」こと。クマに限らずどんな動物でも「弱肉強食」の世界に生きています。だから常に相手が自分より「弱い」かどうかを、動物的な勘で判断します。人間でも同じ。攻撃的な人は相手が弱みを見せたならば、決して見逃しません。だから「逃げてはいけない」、これが第1の原則。
クマに限らず動物は目を合わせたときに、先に目をそらしたり、そもそも目を合わさず弱気な態度を見せる相手には「勝った」と思います。そして相手が「弱気だ」「逃げ腰だ」と思ったら、攻撃を仕掛けてくるものです。人間も同じ。プロ・ボクシングの選手が試合前の顔負わせの時にお互いの目を見つめ合っているシーンをご覧になったことはないでしょうか。目力(めじから)と言うのは一瞬でどちらが上位かをあらわにしてしまうのです。にらみつける必要はないですが、不自然に目をそらさないことは大切です。
そして実際に「相手が逃げ出したら、追いかけたくなる」。これも動物的な本能です。そう考えると「困った人」「迷惑な人」は自分より弱い相手、逃げ出していきそうな弱気な相手を探してターゲットにしているわけです。
くれぐれも言いますが、「戦う」必要はありませんが、「逃げないこと」は大切です。
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◇◇◇「逃げない」ための具体的な方法◇◇◇
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では具体的にはどういう態度をとればよいでしょうか。これは相手にもよりますがなんといっても、まず「弱気なところを見せない」こと。苦手で困った相手ですが、逃げると追ってきます。たとえ内心不安で一杯でも、「胸を張って堂々としたふるまい」を演じましょう。これは気休めではありません。
その証拠にアメリカの社会学者が「フリをすることがこころを変える」という実験結果を説明した動画を紹介します。ここで語られていることは科学的な実験データに基づいて、しかも人間や動物のボディランゲージがいかに相手だけでなく、自分自身のこころまで変えていくか、ということです。少し長いですが、是非ご覧ください。日本語字幕もついていますので、全画面表示でご覧ください。
私はこの動画を見て「嘘でもいいから胸を張れ!」ということを学びました。動物でも人間でも身体のボディランゲージは心にまで影響を及ぼします。「逃げたい」と思ったときこそ、胸を張り、顎をあげ、組んでいた腕をほどいて腰に手を当て、相手に対して正対の姿勢を取りましょう。その為にも、自分の部屋やトイレの中で、2分間「堂々としたふるまいのポーズ」の練習を繰り返しましょう。その「堂々とした態度」が本物になるまで繰り返し練習をしておくことが大切。
間違っても背中を丸めて、うつむき加減で、腕を前で組んだり、少し半身で逃げ出すような姿勢はとらないようにすることです。
戦う必要はありませんが、決して「逃げてはいけない」、これが一つ目の原則です。