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どっちが扱いやすい?「向かってくる反抗」と「何もしない反抗」

岸井謙児

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テーマ:こころの散歩道

さて前回のコラムでは、「自分の中に納まりきれないあふれる心理的エネルギーを、まず行動としてを自分以外の物や他者にぶつける」と書きましたが、この行動については大きく分けて2種類あるように思います。一つは問題行動や暴力などのわかりやすい攻撃的な行動。これを仮に「陽性の行動化」と呼ぶと、一方で「“何もしない”ことをあえてする 」という「陰性の行動化」と言うような状態もあります。

例えば「学校へ行かない」ということを「親を困らせる反抗の手段」としてするような時です。または、自分を自虐的に傷つけることで周囲の人に罪悪感を持たせると言うような場合も同様です。こういう攻撃性は「受動的攻撃性」ともいわれます。
これはなかなか厄介ですが、ここまで行くまでに、素直に自分の気持ちを行動で表現しても効果がない、と言うような段階や、自分の思い通りに相手を操ろうとする屈折した手段として使われます。そう考えると、まだ直接能動的な攻撃性で表現してくれる方が対応はとりやすいとも言えますね。

考えてみれば、攻撃性というのは決して破壊性と同じ意味ではなく、何か対象に向けてエネルギーを注ぎ込むことを言います。ですから女性が男性にプロポーズさせるために、じっと待ち続けながらそれとなく誘い込んだりするのも、受動的な能動性であるわけです。「飛んで火に入る夏の虫」というわけではないですが、プロポーズはともあれ、知らない間に「陰性の行動化」で反抗してくる子どもの思うつぼ、にはまってしまい、ますます親の方が感情的になって事態をこじらせてしまう、という場合もあるので、皆さん冷静さを失わずに、くれぐれもご注意を!

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岸井謙児(臨床心理士)

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カウンセリング暦35年。子供から大人まで、うつ・対人関係の悩み・発達障害・不適応・ひきこもりに関わる問題に丁寧に、かつ誠実に対応します。また全国から電話・スカイプなどでも相談を多数受け付けています。

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