「物語」は明日を生きる力を産み出す
「人を信じる」ということ。最近いろいろな人からお話を伺う中で、よく耳にする言葉に「私は人を信じることができない」と言う言葉があります。
「人を信じる」ってどういうことだろう?子どもがよく高いところに登ってしまって、 怖くなって自分の力で降りることができなくなってしまうことがあります。そんな時に近くにいるお母さんやお父さんがどうするか、というと「○○ちゃん、お母さん(お父さん)がここで受け止めてあげるからそこから思い切って飛び降りなさい」と言って両手を広げてあげるのではないでしょうか。
それを見て子どもは怖い気持ちを何とか我慢して、思い切ってお母さん・お父さんの腕の中へ飛び降りていくのです。それは子どもがお母さん・お父さんを心から信じているから。でも、もし信じていたお母さん・お父さんがクルッと後ろを向いてその結果、大怪我をしてしまった子どもは、一体子どもはどういう気持ちになるでしょうか?
当然子どもは地面にたたきつけられて大怪我をしてしまいます。それだけではありません。 自分が疑うことなく信じていた人に裏切られた気持ちはその後他人を信じることができないという「心の大怪我」を追ってしまうのです。「飛び降りる」というのは一つの例ですが、子どもは親に対して無条件の信頼を置いています。 そうしなければ一人では何もできない存在であることを自分で知っているからです。
親に裏切られた思いを抱いた子どもは、残念ながら成長しても人を信じることができなくなってしまいます。それは「もしこの人を信じて心を開いてしまったら、きっと裏切られて、また傷つくに違いない」という疑心暗鬼からです。「人を信じる」ということは、人間関係の一番根底にあり、一番大切で、そして実は一番難しいことでもあるのです。面接に来られる多くのクライアントの言葉を聞かせていただき、そしてその背後ににあるさまざまな思いを感じ取りながら、色々なことを考えさせられる毎日です。
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