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読み終わると、暖かい気持ちと思わず涙が・・・「ちーちゃんはちょっと足りない」

岸井謙児

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テーマ:こういうことでお困りではありませんか?

昨日は、知的グレーゾーンの息子さんとの葛藤と絆を描いた「はざまのコドモー息子は知的ボーダーで発達障害児」という私的な体験のマンガを取り上げました。今日紹介する作品はフィクションですが、主人公「ちょっと足りないちーちゃん」と思春期の葛藤の真ん中で寄り添いながら活きている友人達を描いた「ちーちゃんはちょっと足りない」を取り上げます。

ちーちゃんはちょっと足りない
(写真はamazonより)

タイトルだけ見て、「う~ん、大丈夫かな?差別的な視点で描かれていないのかなぁ?」と思われたのではないでしょうか?実は私も少し心配したのですが、読んでみて杞憂でした。というか、作者の阿部共実さんの本質を見抜く感受性と確かな現実感に少し感激しました。なんといってもこの作品は「宝島社『このマンガがすごい!』2015年版オンナ編の第1位作品」なのですよ、さもありなん。

主人公のちーちゃんは普通の中学校に通い普通教育を受けている2年生の女の子。でも学力的にはかなり低く、まだ割り算の暗算や掛け算の九九を完全には言うことができません。第1話を読みたければこちらを

確かに学力や「何ができるのか」という機能面だけを問題にされれば、ちーちゃんは他の人と比べて見劣りするかもしれません。しかし人間としての純粋さや正直さについては、本当に素直な人なのです。人をだましたり、表と裏を使い分けたりすることが「できない」と言えば「できない」のですが、「できない」ことは「せずにいられない」人たちからすると、自分自身を振り返らせてくれる存在なのです。

私も様々な障害を持った子供たちを接してきましたが、基本的にはみんな純粋な子供たちでした。もっとも「純粋」であることが常に世間的に「正しい」わけではありません。時々「障害児=天使説」のような発言も見かけますが、「純粋」であることは「残酷」にも「迷惑」であることもさらに言えば「自己中心」にもつながります。その点はちーちゃんも例外ではありませんでした。作者の阿部さんの素晴らしいところは、このようなちーちゃんの影の部分も目を背けずにきちんと描いてくれているところです。

くわしくは作品を読んでもらうしかないのですが、興味のある方はぜひ一度読んでみてください。

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岸井謙児(臨床心理士)

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カウンセリング暦35年。子供から大人まで、うつ・対人関係の悩み・発達障害・不適応・ひきこもりに関わる問題に丁寧に、かつ誠実に対応します。また全国から電話・スカイプなどでも相談を多数受け付けています。

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