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「あんまり、ほめないで。ほめられるとプレッシャーになるから」

岸井謙児

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テーマ:こころの散歩道

昔、ある不登校の女子中学生と卓球をしたことがありました。私は単純だった(今も)ので、彼女がうまく返してきた時は、「うまいね!」などと声をかけていたのです。しかしある時、彼女はこういったのです。「あんまり、ほめないで。ほめられるとプレッシャーになるから」
あぁ、そうなのか、人間ほめられれば良いというものではないんだ、と気がつかされた瞬間でした。

それに関して以前週刊誌で脚本家の宮藤官九郎さんが、こういう文章を書かれていました。
“思春期を迎えると褒められる事が次へのプレッシャーになって来る。この前褒められたけど、次も同じように褒められるだろうか。次第に褒められるのが怖くなる。褒め言葉が重圧になって来る。”
なるほど、さすが、役者・脚本家として活躍されている宮藤さんですね。人間観察がするどい。

それにしても「ほめらるとプレッシャーになる」、という感覚はどこから来るのでしょうか?もしかしたらその人が「ありのままの姿でいいんだ、ありのままの自分を受け入れてもらえた」、という体験が不足していることと関連があるのかもしれません。

例えば親の望むような結果を出した時だけほめられる、という体験を積み重ねてくると、「ほめられない自分はだめだ」、と思うようになっていくことも考えられますね。そういう状態ならむしろ「叱責された方が気が楽」になっても不思議ではないかもしれません。

そこまで行かなくても、こういう感覚は思春期にはありがちの心性だ、とも言えるかもしれません。子どもが思春期に入ると言うことは、万能感に満ちたこども時代を過ぎて、気がつけば自分はたいしてハンサムでも美人でもない、普通の才能の、平凡な、いやむしろ、情けない人間だったんだ、と言うことを少しずつ、あきらめとともに受け入れていく過程なのです。

とってもつらいことですが、この体験を故・河合隼雄さんは“10歳にして、『もののあわれ』を知る”とおっしゃいました。まさに名言でしょう。





確かに人生と言うものは、ある意味“あきらめ”が肝心でしょうね。もっとも、そのあきらめを受け入れられるために、「ありのままの自分を受け入れてもらった」経験からくる安心感が育っていることが必要だとも言えます。その安心感が育っていない時、「ほめられた」体験が「次もほめられないと自分はだめな人間だ」というプレッシャーになってしまうのではないでしょうか。常に100点を取り続けるというのは大変なことだもの。

どうせ自分はこんなもの、と「ありのままの自分」を受け入れて、「ほめられた」うれしさは素直に受け入れるとしても、ま、それも一時(いっとき)のこと、「ほめられなかった」としても、それがどうした、たいしたことじゃないさ、と思えれば楽なのでしょうけど。そう思える時が来たとき、それが成長の証でしょう。


最後に官九郎さんは
“長い長い思春期が終わりました。宮藤官九郎、もう叩かれても伸びません。褒めて下さい!”とおっしゃられています。
ここまで行けば中年の図々しさかもしれませんが、まさしく同感!私もほめられれば、木にでも何にでも登りますよ!

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岸井謙児(臨床心理士)

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カウンセリング暦35年。子供から大人まで、うつ・対人関係の悩み・発達障害・不適応・ひきこもりに関わる問題に丁寧に、かつ誠実に対応します。また全国から電話・スカイプなどでも相談を多数受け付けています。

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