こころの問題<12> 「父なる天(神)」
前回は「本当の自分」と「社会の中での自分」の関係を「卵の黄身と殻の関係」や「ホンネとタテマエの関係」や「素顔と仮面の関係」に例えてお話ししました。特に最初に取り上げたのは「素顔と仮面がピッタリ張り付いて剥がせなくなっている」ような場合の問題点です。
それに比べ、今回は「素顔と仮面の間が開きすぎている場合」の問題について考えてみましょう。これは「ホンネとタテマエ」に例えればわかりやすいかもしれませんね。あまりに建前ばかりが先行して本音が抑圧されるとしんどくなるのは当然です。
これをユング心理学的な言葉で言い換えれば、仮面と素顔の間に「影」が忍び込んでくるということになります。私たちが仕事などで使う制服やバッチ、職員証などは周囲に対して自分はこう言う立場の人間だと「光」を当ててみてもらうために使われます。これによって周囲の人はその人を認識できるのです、「光」というのはそういう「認識を広げる」という力があります。
それに比べ「影」はどうでしょう。「影」は常に「光」の裏側に生じます。「社会的にこういう人間だからこういう行動を期待されている」というタテマエに対して、「そうは言っても、いつもいつもそんなことやっていられない」「外からはそういう人間と見られているが、実はホンネはそうではない」と言うような内容です。
この「影」は「仮面に当たる光」は強くなればなるほど「濃く」なって来て、「ホンネ」の素顔の自分が覆い尽くされ、「本当の自分」が「影」によって支配されてしまう時、思いもかけない問題が生じてきます。
「あんな温厚な人が、何であんなことをしたのかわからない」「あんな真面目な人がまさかこんなことを」「普段は優秀で誠実な社員だったのに、魔がさしたとしか思えない」と言うようなコメントの載った記事が新聞に載ることがありますが、いずれも普段接している人からは見えないところで、「影」に支配され操られた結果起こしてしまった犯罪出る場合もあるのです。もちろん、だからと言って責任がないわけではありませんが。
そうならないために、やはり適度に「ホンネとタテマ」の関係や「素顔と仮面」の間に柔軟性のある関係を取り戻しましょう。
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