こころの問題<4> 「健全な自己愛」と「ほどよい自信」
さて、前回は思春期の子どもたちが自立を目指すこころの背景には孤独がある、ということを説明しました。そしてその孤独を同年代の仲間との触れ合いの中で、お互いに慰め合い、励まし合っているのだとも。
このような思春期に入った子どもたちの同年代での関わりを、アメリカのサリヴァンという精神科医は「チャムシップ」と呼びました。
簡単に言えば「私たち」感覚とでも言うか、「私たちは仲良し仲間」「私たちは同じよね」という感覚でしょうか。親から自立していく代わりに同年代との仲間関係の絆が、彼らを支えてくれるのです。
そこでは仲間との感情の共有や共感力と言うものが育ってきます。「自分に気づく」ということは「他者の存在にも気づかされる」ことであり、その体験を通じて社会性が磨かれていくのです。
ただ、最近の子どもはどうもこのあたりの発達が遅れてきているようにも感じます。ゲームやネットの影響もあるのでしょうか。仲間との生身の関わりと言うものがへ減ってきているのかもしれません。ネットでの関わりは感情的な背景を伝えたり、感じ取ったりするという点で非常に難しいものです。何気なく書きこんだ言葉を相手が全く違うニュアンスで理解していたり、相手が書きこんだ言葉の裏に何か別の感情が込められているのではないか、と疑心暗鬼になったりします。
これらのわかりにくさ、伝えにくさ・伝わりにくさは必要以上に相手の気持ちを意識する結果をまねきます。そういう意味で最近の子どもたちの中には必要以上に「人からどう思われているか」を気にしてしまう子どもがいます。また、ちょっとした感情の感じ取り方のすれ違いから、相手のことを誤解してチャムグループから排除しようとするネットいじめのような現象が見られるのもこの年代の特徴かもしれません。
なかなか難しい時代になったなぁ、というのが多くの親たちの世代の共通の思いではないでしょうか。
◇◆◇ 思春期のこころを知るために
こころの問題<15> 自立の裏には必ず孤独がある
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こころの問題<14> 「母性と父性」
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こころの問題<13> 「母なる大地」-1-
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こころの問題<12> 「父なる天(神)」
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こころの問題<11> 闘いへのいざない、それが「思春期」
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こころの問題<10> メタ認知と自立とロケットの関係
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こころの問題<9> 自分を見つめる目ーメタ認知ー
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こころの問題<8> 思春期へ向かう時の喪失感③ 「自分に対する自信が揺らぐ時」
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