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岸井謙児

カウンセリング歴35年、経験と信頼のカウンセリングのプロ

岸井謙児(きしいけんじ) / 臨床心理士

カウンセリング・オフィス岸井

コラム

こころの問題<9> 自分を見つめる目ーメタ認知ー

2015年9月14日

テーマ:こころの問題

コラムカテゴリ:メンタル・カウンセリング

前回思春期に入った子どもたちが、周囲の大人に対してだけでなく、自分自身にも冷静で批判的な目を向け始めるということを書きました。このような「自分自身を見つめる」働きを、少し専門的な言葉で言えば「メタ認知」といいます。

この能力は大体小学校3年生から5年生ぐらいに芽生え始めることが多く、そういう意味で思春期の目安とも言えるのですが、実はこれは大変大切な能力なのです。

私たちが他の人と上手な関係を築いていくには、やはり相手の気持ちを察する能力が必要になります。例えばこういう状況にある人はきっとこういう気持ちが芽生えてくるだろうから、それなりの配慮をして上げよう、とか今こういう言葉をかけることは彼には受け止められないだろうから、少し黙っていよう、などとさまざまな場面で相手との距離感や思いやりを示す基礎となる「共感力」につながるからです。

しかしそのためには、「もし自分がこういう状況になったら、きっとこういう気持ちになるだろう」という自分自身の実感に対する自覚が必要なのです。身近な例で言えば、足の小指をタンスの角で打ちつけて、その痛みを知っているものだけが、同じような体験をしている人に対する共感が生まれてきます。そういう意味では昔ヒットした曲の歌詞「人は哀しみが多いほど、他人に優しくできるのだから」というのは事実ですね。

哀しみ
しかし最近、このメタ認知能力について、私は考えさせられることがたびたびあります。
一つは、自分自身の気持ちに対して気が付いていない場合。
これは発達障害の子どもたちの一つの特徴かもしれません。自分の気持ちについて気が付いていないから、それをもとにして相手の気持ちを想像するという「共感能力」がうまく働かないのです。

もう一つは、逆に周囲が自分のことをどう思っているのか、それが気になって仕方がない、という場合。
相手の気持ちを想像するあまり、自分自身がい身動きできなくなってしまう。不登校の子どもたちの中には少なからず、こういうことを話してくれる子どもたちがいます。LINEで相手のコメントの意味を深読みするあまり、疑心暗鬼になり、結局何が何だか分からなくなって身動きできなくなってしまう、というのもこれでしょう。

これは見方によっては「メタ認知」の行きすぎ、と言えるかもしれません。
この両極端の様相が、最近私の周囲に目だってきています。

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