こころの問題<4> 「健全な自己愛」と「ほどよい自信」
さて、前回は話題のディズニー映画「インサイド・ヘッド」を取り上げて、思春期へ向かう子どもたちの心の中にあるさまざまな感情の動き、とりわけ哀しみ:喪失感について触れました。
小学校低学年当たりの子どもたちは、いわば「バラ色の世界」に住んでいます。
例えば何を見ても新鮮で興味深く、何をしても楽しくて仕方がない、両親は「世界で一番素敵なパパ・ママ」だし、もちろん自分自身もなんでもできそうな万能感に満ちています。
ところが次第に「ちょっと待てよ、今までそう思ってきたけれど、案外そうでもないようだぞ・・」と気が付き始める時期が来るのです。
「うちのパパは世界一!と思っていたけど、良く見たら日曜日はグータラ寝転んでテレビばかり見ている」し、「うちのママはこの世で一番素敵なやさしいママだと思ってたけど、良く見たら人に厳しく自分に甘いんじゃないの?だって私には『片付けなさい!』とうるさいけれど、冷蔵庫な中はぐちゃぐちゃだし、半年前の賞味期限切れのドレッシングが3本もある!!」なんてことに気が付いてしまうわけです。
これは両親にとってはピンチですが、言い換えると「現実に気が付き始めた」わけです。
こういう「バラ色の人生」から「現実の世界」へ目が覚めてしまうことを「脱・錯覚」なんて言い方で指摘して心理学者がいました。確かに「錯覚」から目が覚めて「シビアーな現実」に目覚めるということですね。
こうなってくると、大人の甘言など、なんとなく嘘くさく聞こえてきて、無性に腹立たしくなってきます。ソリャそうだ、「世界で一番素敵なパパとママ」が「ただのおじさんとおばさんだった」ということに気が付いてしまうわけですから、彼らにとっては「裏切られた」とか「楽園を失った」という喪失感に襲われても無理はありません。
思春期へ向かう子どもたちは、こういった「喪失感」や「失望感」を少しずつ味わいながら現実に目覚めていく大切な時期なのです。
大変だ~(-_-;)
しかし問題は、「世界一のパパ・ママ」が「ただのおじさん・おばさん」だった、と言うことにとどまりません。自分自身に対しても少しづつジビアーな目を向け始めていくことになるということです。
それについてはまた次回。
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