不登校は3歩進んで2歩下がる
以前、漫画家「棚橋正一」さんの自伝マンガ「学校へ行けない僕と9人の先生」を取り上げましたが、今回は同様に学校に行けなくなってからの約10年の経過を描いた、
漫画家、琴葉とこさんの自伝漫画「学校に行かなくなった日」を紹介します。
作者の琴葉さんは、「メンヘラちゃん」という漫画で知ってはいたのですが、
今回の作品を読んで琴葉さんについてより知ることができました。
琴葉さんは小さい頃からどちらかというと「内向的」で、自分のエネルギーを周囲に向けて放つよりも
自分の内面に向けるタイプだったようです。
この場合の「内向的」というのは、一般的に言う「ネクラ」というよりも
意識の関心が自分の外へ向かう「外向」の反対だと思ってください。
心理学者のユングという人は、このように自分の心理的エネルギーを自分の外へ放つ「外向タイプ」と
自分の内面へと向ける「内向タイプ」に分けたのが有名です。
ごくごく一般的に言うと、小学校などでは「外向タイプ」の方が友達も作りやすいし、
先生や大人からの受けも良いのです。
小学校でクラスの友だちと「仲良く、明るく、たくましく」振る舞えるのは
もっぱら外向タイプの子どもたちです。
そういう意味では、内向タイプの人は、小さい頃はとても生き辛いのですよね。
琴葉さんも御多分にもれず、生き辛い日々を過ごされたようです。
しかし成長するにつれ、外向タイプの人も自分の内面にエネルギーを向けざるを得なくなります。
(それができない人は、大人になってもいわゆる『軽くて中身のない人』とか『チャラ男』とか言われるようになりますよ)
同時に小さい頃の内向タイプの人は、次第に周囲の人づきあいや外向的活動に参加していかなければ
いつまでたっても引きこもって社会に出られなくなってしまいます。
つまり自分自身を周囲に開いてアピールしていく経験を積まなければいけないのです。
琴葉さんの場合、その手段が漫画だったのです。
初めはイラストを雑誌に投稿することから始まって、ネットでブログを開き、
同好の志を知り合い、コミケや漫画「メンヘラちゃん」の公開へと広がっていきました。
それと同時に次第に学校へも投稿できるようになり、
現在は大学生活を送りながらこうして漫画を出版できるプロになってるのです。
この作品の中では、父親との関係についても触れられています。
どうやらお父さんも内向タイプらしく、なかなか自分の感情を表に出すことができないため
コミュニケーションが上手く行かなかったようです。
親子と言えども難しいものですね。
しかしそういう父娘の橋渡しをするように、
いつも見守ってくれていたお母さんの存在が琴葉さんにとっては大きかったと思いました。
もし興味を覚えられたなら、一度本屋さんで手に取って見て下さい。
いろいろ考えさせられますよ。
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