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自分を見失った不登校児が動き始めるために必要な『人間関係の軸』とは?

岸井謙児

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テーマ:不登校を考える

さて昨日に引き続き、今日は不登校児が動き始めるために必要な「人間関係の軸」について。
昨日はアイデンティティがあやふやになってしまっている不登校児が動き始めるためには「過去ー現在ー未来」と言う時間軸が動き始めることが大切だと述べました。

このアイデンティティと言う問題を考える時にもう一つ考えなければ行けない問題は、自分が人間関係の中にいるんだ、と言う自分の存在感みたいなものではないでしょうか。

例えば学校に来れなくなったり、保健室登校しかできなくなってしまった場合、残念ながら教室やクラスにおいて自分を居場所が失われたような気持ちに襲われてしまいます。それは不登校初期には、気が楽になって気分の安定につながるのでしょうが、そういう宙ぶらりんな状態が長く続くと、自分の存在感自体が確認できなくなってしまいます。

これはなかなか辛い体験です。

いじめで一番厳しいのが「シカト」、虐待で一番厳しいのが「ネグレクト」だといわれますが、やはり人間は他人と関わることによって自分を確認できるのでしょう。



ですからたとえ学校内での人間関係が薄れてしまっても、家庭の中で親子の関係は大切にしたいものです。親としてはなかなか自分の思うように変わってくれない子どもさんを、ありのままに受け入れるのはつらい修行ですが、それでもやはり親と子は他の何事にも取り替えられない唯一、大切な関係です。

また、学校に行けなくても色々な場面に連れ出したり、色々な人間関係を体験させてあげて下さい。
グループは何でも良いから、人との関係を絶やさないようにしてあげてほしいものです。
それもできれば生身の人間が良いですね。
ネットの人間関係も悪くはないですが・・・。

この「人間関係の軸」があってこそ、自分の存在が安定できるのです。
学校の行き詰まるような人間関係から逃れて「自由であること」の裏返しには、社会で自分の存在感が失われていく「孤独がある」ことを忘れないでおきましょう。

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岸井謙児
専門家

岸井謙児(臨床心理士)

カウンセリング・オフィス岸井

カウンセリング暦35年。子供から大人まで、うつ・対人関係の悩み・発達障害・不適応・ひきこもりに関わる問題に丁寧に、かつ誠実に対応します。また全国から電話・スカイプなどでも相談を多数受け付けています。

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