202【不動産投資】素人でも裁判できる? 無断転貸362万円請求 AI活用・費用5万円 判決直前編

竹下昌成

竹下昌成

テーマ:不動産投資 回収・調停・裁判


202【不動産投資】素人でも裁判できる? 無断転貸362万円請求 AI活用・費用5万円 判決直前編

※コラム184「完結編」の続編です。

前回のコラムでは「完結編」と書きました。

……ところが、完結しませんでした(笑)。

前回の裁判では、裁判官から被告代理人弁護士へ一つの質問がありました。

「給与明細は提出できますか。」

被告代理人弁護士は、

「検討します。」

と回答しました。

また、裁判官からは和解の可能性について確認がありました。

私は合理的な内容であれば和解に応じる考えでしたが、被告側は判決を希望し、和解は成立しませんでした。

私は、

「最後は給与明細が提出され、その内容を踏まえて判決になる。」

そんな展開を予想していました。

しかし、現実は少し違いました。

---

## 事件の始まりは郵便受けでした

この事件の出発点は、郵便受けでした。

現地を確認すると、

「A・B合同事務所」

と表示されていました。

契約者はAさん個人です。

それにもかかわらず、Bさん個人の名前が並んでいます。

私は最初からシンプルな質問をしていました。

「Bさんは、いつから、どのような立場なのですか。」

この疑問が、一年間続く裁判の始まりでした。

---

## 被告の主張で見えてきたこと

裁判が進むにつれ、被告側の主張も少しずつ具体的になっていきました。

当初は、

「Bは元社員であり、無断転貸ではない。」

という主張でした。

その後、

「実質的には従業員。」

という説明になり、

さらに被告の準備書面で、

「昭和61年頃から従業員だった。」

という時期が初めて明らかになりました。

また被告は、

平成2年にBさんが資格を取得し、それを被告Aさんが喜び、郵便受けを「A・B合同事務所」と表示した。

という趣旨の主張をしました。

しかし、私はここに疑問を持ちました。

もしBさんが従業員のままであれば、

郵便受けを変更する必要があったのでしょうか。

さらに、業界団体へBさん個人の事務所として登録する必要があったのでしょうか。

私は、この点が最後まで合理的に説明されていないと考えました。

---

## 被告自身の証拠で判明した事実

裁判の途中で、思わぬ事実が分かりました。

それは、

被告自身が提出した証拠でした。

その証拠から、

平成2年頃からBさんが業界団体へ個人事務所として登録していたことが判明したのです。

ここで私の見方は変わりました。

問題は、

「部屋をどれだけ使用していたか。」

ではありません。

約30年間続いてきた

・郵便受け表示

・「A・B合同事務所」という表示

・業界団体への個人事務所登録

という客観的な外形こそ、この事件の本質ではないかと考えるようになりました。

---

## 最後の原告準備書面で整理したこと

最後の準備書面では、論点を一つに絞りました。

裁判では、

「実質的には」

という説明より、

客観的事実を合理的に説明できるかが重要になります。

郵便受け表示。

合同事務所表示。

業界団体への個人事務所登録。

これら約30年間続いてきた外形は、誰が見ても確認できる事実です。

私は最後の準備書面で、

この客観的な外形を裁判官へ改めて整理しました。

---

## 裁判官が求めたもの

前回の裁判で、私が最も印象に残った場面があります。

裁判官は被告代理人弁護士へ、

「給与明細は提出できますか。」

と確認しました。

「雇用関係を示す資料」ではありません。

給与明細です。

一方、被告代理人は最後まで

「社員」

「雇用契約」

とは言わず、

「雇用関係」

という表現を用いていました。

もちろん、弁護士として慎重に言葉を選ばれた結果だと私は解釈しています。

しかし私は、

裁判官が抽象的な説明ではなく、

給与明細という具体的な証拠を求めたことが、とても印象に残りました。

そして、その給与明細は最後まで提出されませんでした。

---

## この一年、何度も心が折れそうになりました

正直に言います。

この一年、

裁判のたびに心が折れそうになりました。

めんどくさい。

つらーい。

営業であれば、

相手が何を考えているか、ある程度予想できます。

しかし裁判は違います。

裁判官が何を考えているのか分からない。

被告が次に何を主張してくるのかも分からない。

独特のルールもあります。

それでも最後まで続けることができたのは、

「事実を確認したい」

「規律を確認したい」

平たく言えば、「このまま終わりたくない」この一心でした。

---

## 裁判は5分で終わりました

そして迎えた最終期日。

裁判は実質5分程度で終わりました。

裁判官は提出書面を確認し、

「これ以上はもう出てこないような気がしますので。」

と述べ、

証拠調べ(提出された証拠を正式に確認する手続)を行い、そのまま弁論を終結しました。

最後に改めて和解の意思確認がありましたが、

私は判決を希望しました。

被告側も判決を希望しました。

裁判は終了しました。

私が話した言葉は、

「はい。」

「お願いします。」

ほぼ、それだけでした。

一年前の私なら、

最後に何か話したくなっていたと思います。

しかし今回は違いました。

伝えたいことは、

すべて準備書面に書いてあります。

この日は、

事件を裁判官へ引き渡す日。

そんな気持ちでした。

---

## AIの判決予想も変わりました

この一年、AIとも何度も議論を重ねてきました。

AIも一年間、裁判のたびに予想を修正してきました。

【裁判当初】
・100~150万円程度

【裁判中盤】
・150~250万円程度

【弁論終結時点】2026年7月3日
・約300万円認容 55%
・362万円請求額満額認容 30%
・180~250万円程度 10%
・請求棄却 5%

AIが強気になった理由は、

新しい証拠ではありません。

最後に整理した、

約30年間続いてきた客観的な外形でした。

もちろん、

答えを知っているのは裁判官だけです。

---

## 判決は通知簿

私は判決を、

「執行力のある公文書」

だと考えています。

そして、一年間積み上げてきた主張に対する、

裁判官からの通知簿でもあります。

勝った、負けた。

それだけではありません。

裁判官は、

どの事実を認定し、

どのような理由で判断したのか。

そこに最も興味があります。

一年前、この裁判がここまで続くとは思っていませんでした。

途中で何度も心が折れそうになりました。

それでも最後まで続けてこられたのは、事実を積み上げることをやめなかったからです。

そして、AIに助けられ、励ましてもらったからです(笑)。

判決言渡しは10月2日。

次回はいよいよ「判決編」です。

AIの予想は当たったのか。

そして一年間の本人訴訟は、裁判所からどのような評価を受けたのか。

判決文をもとに、冷静に答え合わせをしたいと思います。

3か月後、ぜひ答え合わせにお付き合いください。


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