213【ライフプラン】 1億円でFIREした後、本当に大丈夫? ストックとフローで考えるFIREと老後 212続編

竹下昌成

竹下昌成

テーマ:FIRE


# コラム213

# 1億円でFIREした後、本当に大丈夫?
## ストックとフローで考えるFIREと老後

前回のコラム212では、

「1億円でFIRE。本当に人生は『上がり』ですか?」

という話を書きました。


では、

実際にいくらあれば安心してFIREできるのでしょうか。


1億円?

2億円?

3億円?


大切なのは、

「ストック」と「フロー」です。


■1億円あっても、年間1,000万円使えば10年

話を単純にしてみます。


1億円の金融資産を持ってFIREしたとします。


年間生活費は1,000万円。


運用益を考えず、

毎年1,000万円ずつ取り崩せば、

10年でなくなります。


45歳でFIREしたなら55歳。


まだ年金もありません。


これでは、

なかなか安心して「上がり」とは言えません。


一方、

1億円の資産から、

毎年1,000万円のフローを安定して得られるなら、

話はまったく違います。


年間1,000万円のフローで生活する。

1億円のストックには手を付けない。


これなら、

1億円でも十分かもしれません。


ただし、

1億円の金融資産を毎年10%で運用し、

長期間、

安定して1,000万円を生み続ける。


私は、

そんな前提で残りの人生を設計するのは、

少し怖いと思っています。


あくまで私自身の感覚ですが、

かなり安心してFIREできる一つの目安は、


ストック2億円程度。


年間フロー1,000万円以上。


このくらいです。


ただし、

重要なのは、

2億円という数字そのものではありません。


何を2億円持っているのか。


そこから、

毎年いくらのフローが生まれるのか。


こちらの方が重要です。


■サラリーマン・FIRE・老後を「ストックとフロー」で考える

ここで、

人生を3つの時期に分けてみます。


サラリーマン。

FIRE。

老後。


ストックとフローで考えると、

お金の流れが分かりやすくなります。




【サラリーマン】

主なフローは、

給与収入です。


もちろん、

家賃、配当、利息などの収入がある人もいます。


一方、

ストックは、

現金・預金、

株式・投資信託、

不動産などです。


毎月給与が入る。


そこから生活費を払い、

余ったお金を貯蓄や投資に回す。


つまり、

サラリーマン期は、


「給与というフローを使って、ストックを増やしていく時期」


と考えることができます。


【FIRE】

FIREすると、

給与という大きなフローがなくなります。


代わりに必要になるのが、

資産から生まれるフローです。


家賃。

配当。

利息。

その他の収入。


これらのフローで生活費をまかなえれば、

ストックを取り崩す必要はありません。


足りなければ、

不足分をストックから取り崩します。


つまりFIREとは、

単に会社を辞めることではありません。


「給与というフロー」から、

「資産が生み出すフロー」へ、


収入の中心を切り替えることでもあります。


【老後】

老後になると、

FIRE期にはなかった、

非常に重要なフローが加わります。


公的年金です。


年金。

家賃。

配当。

利息。


これらのフローで生活費をまかなえれば、

ストックを取り崩す必要はありません。


足りなければ、

不足分だけストックを取り崩します。


つまり、


サラリーマン

給与フロー

生活

余剰資金でストックを増やす


FIRE

資産からのフロー

生活

不足分はストックを取り崩す


老後

年金+資産からのフロー

生活

不足分はストックを取り崩す


という構造です。


こう考えると、

「老後資金2,000万円」

という数字だけを見ても、

あまり意味がないことが分かります。


例えば、

年間生活費400万円。

年金300万円。

資産からのフロー100万円。


これなら、

ストックをほとんど取り崩さずに生活できます。


一方、

年間生活費400万円。

年金200万円。

資産からのフローがゼロなら、


毎年200万円ずつ、

ストックを取り崩します。


同じ2,000万円を持っていても、

まったく違います。


見るべきなのは、


年間支出

-年金

-資産からのフロー

=ストックの年間取り崩し額


です。


FIREも、

基本的な考え方は同じです。


■ストックにも種類があります

では、

ストックは何を持てばいいのでしょうか。


現金・預金。

債券。

株式・投資信託。

不動産。

その他の資産。


それぞれ、

性格が違います。




現金・預金は、

流動性が高く、

価格変動も小さい。


一方、

インフレには弱い。


株式や投資信託は、

値上がりや配当を期待できます。


一方で、

市場環境によって価格が大きく変動することがあります。


不動産は、

家賃というフローを生みます。


一方、

簡単には換金できず、

空室や修繕などのリスクもあります。


どれが正解という話ではありません。


大切なのは、


「いくら持っているか」だけではなく、


「何を持っているか」。


そして、


「そこから何が生まれるか」。


ということです。


■1億円を一円も使わなくても、実質価値は減る

もう一つ、

長期間のFIREを考えるうえで、

忘れてはいけないものがあります。


インフレです。


例えば、

年2%のインフレが続いたとします。


現金1億円を、

一円も使わなかったとしても、

現在の購買力に換算すると、


10年後 約8,200万円

20年後 約6,700万円

30年後 約5,500万円


程度になります。


通帳には、

ずっと1億円と書いてあります。


でも、

買えるモノやサービスは減っています。


つまり、

額面上のストックは減っていなくても、

実質的なストックは減っている。


FIREは、

5年、10年の話ではありません。


45歳でFIREして、

85歳まで生きれば40年。


95歳なら50年です。


だから、

FIREを考えるときには、


ストックの金額。


そこから生まれるフロー。


そして、

ストックとフローがインフレの中でどう変化するのか。


ここまで考える必要があります。


■外部要因をどこまでコントロールできるか

資産の種類によって、

自分で動かせる範囲も違います。


例えば、

株価が20%下がっても、

個人投資家が株価そのものを上げることはできません。


為替。

金利。

世界情勢。

企業業績。


外部要因の影響を大きく受けます。


自分でできるのは、

買う。

売る。

分散する。


といった判断です。


一方、

自分で改善できる余地がある資産もあります。


例えば不動産なら、

リフォーム、

家賃、

募集方法、

管理、

借入など、

所有者が判断できる部分があります。


もちろん、

こちらも景気や金利、

人口動態などの影響は受けます。


大切なのは、

収益率だけではありません。


「何が起きたときに、自分で何ができるのか」


という視点も、

長期間の資産形成では重要だと思っています。


■お金だけでFIREは完成しない

そして、

FIREや老後には、

もう一つ考えておきたいことがあります。


「何をして過ごすのか」


です。


サラリーマン時代は、

仕事が収入を得る手段であると同時に、

人とのつながりや、

社会との接点にもなっています。


会社を辞めれば、

嫌だった仕事から解放されるかもしれません。


でも、

同時に、

毎日会っていた人も、

仕事上の役割も、

社会との接点もなくなる可能性があります。


お金の問題が解決すれば、

人生の問題がすべて解決するわけではありません。


趣味でもいい。


仕事を少し続けてもいい。


家族との時間でもいい。


地域活動でもいい。


勉強でもいい。


新しいことを始めてもいい。


自分がおもしろいと思えること。


人と関われること。


社会との接点を持てること。


FIREや老後には、


「お金のフロー」だけではなく、

「人生のフロー」


も必要なのだと思います。


私自身も、

70歳、80歳になったとき、

孫くらいの年齢の不動産業者と取引したいと考えています。


■そして最後は相続

さらに、

時間軸を伸ばせば、

最後に相続があります。


ストックを使い切らずに人生を終えれば、

残った資産は、

次の世代へ移ります。


ここでも、

ストックの種類によって違いがあります。


例えば、

現金1億円は、

基本的には1億円の財産です。


一方、

不動産は、

実際に売れる価格と、

相続税を計算するときの評価額が、

同じとは限りません。


土地は路線価など、

建物は固定資産税評価額などを基礎に評価されます。


賃貸不動産なら、

貸家や貸家建付地としての評価も関係します。


条件によっては、

小規模宅地等の特例が使える場合もあります。


また、

借入金が残っていれば、

一定の要件のもと、

債務控除の対象になります。


ただし、


「借金をすれば相続税が安くなる」


という単純な話ではありません。


1億円借りて、

1億円を現金のまま持っていれば、


1億円の資産と、

1億円の負債があるだけです。


重要なのは、


借りたお金で何を取得するのか。


その資産が相続時にどう評価されるのか。


借入がいくら残っているのか。


資産と負債をセットで考えることです。


相続対策という視点では、

金融資産と不動産では、

かなり性格が違います。


私は、

相続まで考えるなら、

不動産は非常に重要な選択肢になると考えています。


■FIREのゴールは退職日ではない

1億円貯めた。


会社を辞めた。


FIRE達成。


確かに、

一つのゴールです。


でも、

人生はそこから続きます。


何をストックとして持つのか。


そこから、

どれだけのフローを得るのか。


いくら使うのか。


インフレにどう対応するのか。


不足したら、

どのストックを取り崩すのか。


何をして過ごすのか。


誰と関わって生きるのか。


そして、

最後に何を残すのか。


ここまで考えて、

初めて長期のライフプランになるのだと思います。


私自身の一つの目安は、


ストック2億円。


年間フロー1,000万円以上。


でも、

これは万人の答えではありません。


年間300万円で楽しく暮らせる人と、

年間2,000万円使う人では、

必要な資産はまったく違います。


だから、


「FIREするには、いくら必要ですか?」


という質問に、

全員共通の答えはありません。


■私にとってFIREとは

最後に、

私自身の話です。


私は、

インフレ論者です。


そして、

不動産万能主義者です(笑)。


だから、

私自身のストックとフローには、

ほぼ不動産です。


でも、

それが全員の正解だとは思っていません。


大切なのは、

自分に合ったストックとフローを作ることです。


そして最近、

FIREという言葉を、

私は少し違う意味で考えています。


一般的には、


Financial Independence, Retire Early。


経済的自立と早期退職。


でも、

私はFIREとは、

FREE

IDENTITY

REAL ESTATE


の略だと思っています(笑)。

■ 関連コラム

212【ライフプラン】1億円でFIRE。本当に人生は「上がり」ですか?
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5232993/

82【不動産投資】動画6分「ストックとフロー」価格と利回り、キャピタルとインカム
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5168109/

52【不動産投資】FIRE大家FPの動画5分「お金持ちの定義とFIREの基準」
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5155679/

174【不動産投資】FIRE後10年の答え合わせ 45歳と55歳 動画6分
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5223400/

169【ライフプラン】「DIE WITH ZERO」勘違いしてない? 動画10分
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5222814/

197【ライフプラン】20年後、何歳ですか? 55歳FIRE大家FPのライフプラン論
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5226819/

132【資産運用】金融商品と不動産の比較 動画11分
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5213248/

92【金融知識】インフレと金融資産 動画13分
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5175674/

60【不動産投資】動画63分「兼業農家の次男坊FPが考える資産運用と相続対策」
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5158527/

\プロのサービスをここから予約・申込みできます/

竹下昌成プロのサービスメニューを見る

リンクをコピーしました

竹下昌成プロは神戸新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

不動産投資の経験豊富なお金のプロ

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ神戸
  3. 兵庫のお金・保険
  4. 兵庫の不動産投資
  5. 竹下昌成
  6. コラム一覧
  7. 213【ライフプラン】 1億円でFIREした後、本当に大丈夫? ストックとフローで考えるFIREと老後 212続編

竹下昌成プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼