151【債権回収】取り立て昔話① 寒い冬の夜 大阪門真市 動画12分

# コラム211
# 【不動産投資】家賃増額調停・裁判はいくらかかる?
## 実際に3回やって分かった費用
家賃改定について話をしていると、
「入居者が値上げに応じなかったらどうするんですか?」
と聞かれることがあります。
答えはシンプルです。
話し合いで合意できなければ、民事調停を申し立てることができます。
そして、調停でも合意できなければ、必要に応じて裁判に進みます。
私はこれまで家賃増額調停を3回経験しました。
2回は調停成立。
3回目は調停不成立となり、現在は裁判まで進んでいます。
なお、この3件については、弁護士には一度も依頼していません。
調停の申立てから現在の裁判まで、すべて自分で手続きをしています。
そこで今回は、
「家賃増額調停や裁判には、実際いくらかかるのか?」
について、私自身の実例をもとに紹介します。
■まず、家賃改定はどう進むのか?
家賃改定の基本的な流れは、
家賃改定通知
↓
協議
↓
合意できなければ調停
↓
調停不成立なら裁判
です。
私は実際には、最初の通知に回答がなければ再度回答をお願いし、それでも回答がなければ最終案内を行うなど、段階的に進めています。
また、改定額についても、新規募集賃料をそのまま請求するのではなく、
「継続賃料」
「10%前後」
「段階的な補正」
を一つの目線にしています。
家賃改定の詳しい流れについては、別途一枚にまとめています。
今回は手続きそのものではなく、
「実際にいくらかかったのか?」
を中心に見ていきます。
■家賃増額調停の申立手数料は意外に安い
「裁判所」と聞くと、
「何万円もかかるのでは?」
「弁護士を頼まないと無理なのでは?」
と思う人もいるでしょう。
しかし、家賃増額調停の申立手数料そのものは、それほど高額ではありません。
家賃増額調停では、分かりやすく考えると、
「月額の家賃増額幅 × 12か月」
つまり、年間の家賃増額幅が「調停事項の価額」の一つの基準になります。
例えば、
現在家賃 70,000円
改定希望家賃 77,000円
であれば、
7,000円 × 12か月 = 84,000円
です。
この場合、申立手数料は500円です。
申立手数料の下限も500円です。
もちろん、これとは別に郵便料などが必要になります。
それでも一般的な住宅の家賃改定であれば、申立手数料そのものは数百円から数千円程度で済むケースがあります。
■私が実際に経験した3件
ここからが今回の本題です。
【事例① 舞鶴の事務所・約30㎡】
現行賃料は72,400円。
当時の新規募集賃料を参考に、108,300円への増額を申し立てました。
最終的には、
72,400円 → 81,500円
で調停成立。
月額9,100円、約12.6%の増額です。
実際にかかった調停費用は、
申立手数料 2,500円
郵便切手 1,870円
合計 4,370円
でした。
【事例② 博多駅前4丁目・1ルーム約33㎡】
現行賃料48,000円に対して、70,000円への増額を申し立てました。
3回の調停を経て、
48,000円 → 54,500円
で調停成立。
月額6,500円、約13.5%の増額です。
実際にかかった費用は、
申立手数料 1,500円
郵便切手 1,600円
その他 3,330円
合計 6,430円
でした。
■そして同じ部屋で2回目の家賃改定
事例③は、事例②と同じ博多駅前4丁目の1ルームです。
2025年の調停で、
48,000円 → 54,500円
となりました。
その後も周辺の新規募集賃料は上昇しました。
そこで再び家賃改定を行いました。
ただし、今回は新規募集賃料まで一気に近づけるのではなく、
54,500円 → 60,000円
としました。
増額幅は月額5,500円。
増額率は約10.1%です。
最初の2回の調停を経験して、私自身も、
「新規募集賃料」と「既存入居者の継続賃料」は違う
ということを改めて理解したからです。
ところが、今回は合意できませんでした。
そこで調停を申し立てましたが不成立。
そのまま賃料増額訴訟へ進みました。
■調停500円、裁判でも追加500円
事例③の費用は、
【調停】
申立手数料 500円
郵便料 1,600円
合計 2,100円
でした。
そして、調停不成立後に裁判へ進んだ際には、
【裁判】
追加申立手数料 500円
郵便料 9,000円
合計 9,500円
でした。
したがって、
調停+裁判=11,600円
です。
そのうち申立手数料だけを見ると、
調停500円+裁判500円=1,000円
でした。
「裁判」と聞いたときに想像する金額とは、かなり違うのではないでしょうか。
今回、一般的な申立手数料と、私自身の3件の実例を一枚にまとめてみました。
■「裁判=高額」とは限らない
少なくとも、本人で手続きをする場合の入口費用は、私も最初に想像していたほど高額ではありませんでした。
今回紹介した3件はすべて、
弁護士費用0円。
自分で調停を申し立て、自分で資料を作成し、裁判になった事例③についても自分で対応しています。
ただし、
「裁判所に支払う手数料が安いこと」と、
「裁判そのものが簡単であること」
は別問題です。
裁判になれば、
「なぜ現在の家賃が不相当なのか」
「なぜ請求する家賃が妥当なのか」
を、客観的な資料とともに説明する必要があります。
そして、家賃増額訴訟で大きな費用になる可能性があるのが、
「不動産鑑定」
です。
私の現在の裁判でも、鑑定となれば30万円~50万円程度という話が出ています。
月額数千円の家賃改定に、30万円、50万円の鑑定費用をかける。
できれば避けたいところです。
■不動産鑑定士が登場しなくても判断できるようにしておく
だから私は、調停の段階から、
「不動産鑑定士が登場しなくても、裁判官がある程度判断できるだけの材料を準備しておく」
ことを意識しています。
例えば、
・同一マンションの募集・成約事例
・近隣の類似物件の賃料相場
・面積、築年数、駅からの距離など、できるだけ条件をそろえた比較資料
・現行賃料と現在の新規募集賃料との差
・これまでの家賃改定の経緯
・継続賃料の考え方
・一度に新規募集賃料まで上げず、段階的に補正した合理的な値上げ幅
などです。
つまり、
「周辺相場が上がっているから、この家賃にしてください」
ではなく、
「客観的な相場はこの水準です。そのうえで継続入居であることも考慮して、今回はこの金額までの増額を求めています」
という形にしておく。
第三者が見ても分かるようにしておくわけです。
■できるだけ調停で成立させたい
私は、調停を裁判へ行くための単なる通過点とは考えていません。
できれば調停で合意して終わらせたい。
その方が貸主にも入居者にも、時間と費用の負担が小さくなります。
そのためにも、
「適正な相場資料を用意すること」
そして、
「合理的な値上げ幅を設定すること」
この2つが重要だと思っています。
それでも合意できなければ裁判へ進む。
そして裁判になったとしても、調停までに十分な資料を揃えておけば、その資料はそのまま裁判でも使えます。
最終的に鑑定が必要かどうかを判断するのは裁判所です。
しかし、貸主側としては、
「鑑定をしなければ何も分からない」
という状態にしておく必要はありません。
できるだけ、
「裁判官が手元の資料から判断できる状態を作っておく」
これも家賃改定の準備の一つだと思っています。
■私が「10%前後」を意識するようになった理由
最初の2件では、新規募集賃料をかなり強く意識して申立額を決めました。
しかし、実際の調停成立額は、
事例① +12.6%
事例② +13.5%
でした。
そこで3件目では、
54,500円 → 60,000円
約10.1%の増額を最初から請求しました。
もちろん、
「10%が法律上の上限」
という意味ではありません。
現行賃料が相場から大きく離れていれば、それ以上の増額が合理的なケースもあるでしょう。
逆に、それほど乖離していなければ小さくなることもあります。
私は現在、
新規相場を確認する
↓
継続賃料を考える
↓
10%前後を一つの目線にする
↓
必要なら段階的に改定する
という考え方で進めています。
結果として、調停委員や裁判官にも説明しやすくなります。
そして、必要以上に大きな金額を申し立てなければ、申立手数料にも無駄がありません。
■「まだ1年しか経っていないから上げられない」わけではない
家賃改定については、
「前回の改定から何年経てば、また上げられるのか?」
という質問もあります。
この点について、最高裁判所は、
「一定期間が経過していること自体は、賃料増額請求の要件ではない」
と判断しています。
一定期間が経過したかどうかは、現在の賃料が不相当になっているかを判断する事情の一つにすぎません。
この判例についても、別途一枚にまとめました。
今回は費用がテーマなので詳しくは触れませんが、
「前回改定から○年間は家賃を上げられない」
という単純なルールではない、という点は知っておいてよいと思います。
■管理会社には頼らない
今回、費用一覧を作ったきっかけは、私の物件を管理してもらっている管理会社から、
「最近、家賃改定を検討するオーナーさんが増えている」
という話を聞いたことでした。
家賃改定通知を出しても、回答しない入居者も目立つそうです。
そこで、他のオーナーにも参考になるように、一般的な費用と私自身の3件の実例を一枚にまとめました。
ただし、資料の冒頭には、
「管理会社に頼らない。必ず自分で行うこと」
と明記しています。
調停や裁判まで管理会社にやってもらう話ではありません。
法的な問題もありますし、そもそも自分の資産の家賃を改定するのはオーナー自身です。
管理会社には管理会社の仕事があります。
オーナーが自分でできる部分は、自分でやればいいと思っています。
■分からなければ裁判所に聞けばいい
申立書の書き方。
必要書類。
申立手数料。
郵便料。
納付方法。
分からないことがあれば、私は普通に裁判所へ電話して確認しています。
今回の資料にも、
福岡簡易裁判所
代表 092-781-3141
と記載しました。
裁判所というだけで、必要以上に構える必要はありません。
実際に聞いてみれば、普通に教えてくれます。
私は資料の最後に、
「やさしいです。」
と書きました(笑)。
■まとめ
今回伝えたかったのは、
「大家は裁判をやるべきだ」
という話ではありません。
むしろ逆です。
できるだけ合理的な資料と金額を準備して、
「調停で成立するなら、それが一番いい」
と考えています。
それでも合意できなければ、裁判という次の手続きがある。
そのくらいに考えています。
そして、実際に3件やってみて分かったのは、
「家賃増額調停の入口費用は、思っているよりずっと小さい」
ということです。
一方、裁判で不動産鑑定まで必要になれば、一気に費用は大きくなります。
だからこそ、
適正な相場資料を集める。
合理的な値上げ幅を設定する。
できるだけ調停で成立させる。
そして、それでも裁判になった場合には、
「不動産鑑定士が登場しなくても、裁判官が判断できるだけの材料を最初から揃えておく」
私はそこまで含めて、家賃改定の準備だと考えています。
家賃改定も結局、
「いくら上げるか」
だけではなく、
「どこまで進んでも合理的に説明できる状態を作っておくこと」
「管理会社にすべてを任せるのではなく、オーナー自身が自分の財産を守るための最後の手段として、調停や裁判の仕組みを知っておく」
が大切なのだと思います。
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