156【不動産投資】入居者トラブルで裁判した結果 ペットで原状回復84万円 勝訴しても▲44万円!? 動画14分

204【最高裁判例】「1年では家賃改定できない」は本当?家賃改定訴訟で分かったこと
~35年前の最高裁判例~
現在、私は家賃改定訴訟の判決を待っています。
被告はコラムに何度も登場している不動産会社L社です。
今回の裁判では、
「前回の家賃改定から約1年しか経過していない。」
という点が、大きな争点になりました。
被告側からも、
「1年で家賃改定するなんて聞いたことがない。」
という趣旨の主張がありました。
さらに、裁判所の司法委員(不動産鑑定士)からも、
「1年で家賃改定というのは聞いたことがない。」
という趣旨の意見が述べられました。
しかし、その答えは35年前に最高裁判所が示していました。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 最高裁判所第二小法廷判決
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
判決日 平成3年11月29日
事件番号 平成3年(オ)第269号
事件名 家賃増額確認事件
【判旨】
「現行賃料が定められた時から一定期間が経過していることは請求要件ではなく、その期間は賃料が不相当となったか否かを判断する一事情にすぎない。」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 簡単に言うと…
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「前回の家賃改定から1年経っていない。」
それだけでは、家賃改定請求を否定する理由にはなりません。
もちろん、経過期間は判断材料の一つです。
しかし、それだけで結論が決まるものではなく、
現在の家賃が市場相場と比較して適正かどうか、
契約内容や個別事情などを総合的に判断して決める、
というのが最高裁判所の考え方です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 私が感じた違和感
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
私は裁判が始まってから、ずっと違和感がありました。
契約書には、
「1年間は家賃改定請求できない。」
とは書かれていません。
前回成立した調停証書にも、
そのような条項はありません。
むしろ、
「賃料以外の契約条件は従前どおり」
という、裁判所で一般的に使用される条項でした。
もし本当に、
「1年間は請求できない。」
というルールがあるのであれば、
契約書や調停条項に書かれているはずではないでしょうか。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 判例を探した
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
そこで私は判例を探しました。
AIにも何度も調べてもらいました。
しかし、
家賃改定に関する判例は数多く見つかっても、
「一定期間」
を真正面から扱った判例は見つかりませんでした。
それでも、
契約書、
調停証書、
裁判所の調停書式を見れば見るほど、
「何かおかしい。」
という違和感だけは消えませんでした。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 家賃改定制度は何を基準にしているのか
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
調べていくうちに、
家賃改定制度の基本構造も見えてきました。
裁判所の家賃増減額調停でも、
最初に確認されるのは、
「現在の家賃は周辺相場より高いですか、低いですか。」
という点です。
つまり、
家賃改定制度の出発点は、
市場相場です。
しかし、
市場相場だけを基準に毎回改定すると、
借主にも貸主にも負担が大きくなります。
そのため実務では、
・継続賃料
・一度の改定は概ね10%前後という実務上の目安
・市場との差を少しずつ縮める段階的補正
という考え方が発達してきました。
私は、
これが現在の家賃改定制度の本質だと思っています。
市場相場を基準としながら、
契約の安定性とのバランスを取る制度。
別件の家賃改定調停を通じて私自身が学んだことでもあります。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 結審してから、娘が見つけた
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2026年7月3日。
今回の裁判は結審しました。
判決は9月2日の予定です。
もう新しい主張や証拠を提出することはできません。
そんなある日、
宅建試験を勉強していた娘から
LINEに宅建問題集の写真が届きました。
そこに載っていたのが、
冒頭で紹介した最高裁判例でした。
「これやん!!」
そして、思いました。
「・・・、もっと早く見つけてよー(笑)」
写真をAIに読ませました。
するすると判例を引っ張ってきました・・・
「なんで見つけられなかった!?」
AIの説明を簡単にまとめると、
一般的な考え方や、不動産鑑定士、裁判所という権威に引っ張られ、
私の「おかしい。判例を探してほしい」という指示を十分に実行できなかった、
ということでした。
勝手に指示を無視しないでほしい。。。
契約書を読み返し、
調停証書を読み返し、
判例を探し続け、
AIにも何度も調べてもらいました。
それでも見つからなかった最高裁判例を、
結審した後に、
娘が見つけてくれたのです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 判決には間に合いませんでした
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
この最高裁判例は、
今回の裁判には間に合いませんでした。
しかし、
決して無駄ではありません。
私は、
判決後に司法委員(不動産鑑定士)へ送付予定の質問状にも、この最高裁判例を追加しています。
また、
今後の家賃改定のご案内や、
入居者様へお渡しする「家賃改定の流れ」の資料にも、この判例を掲載する予定です。
貸主だけではありません。
借主もこの判例を知っていれば、
「1年だから請求できない。」
という思い込みを避けることができます。
貸主も、
借主も、
管理会社も、
同じルールを知っていれば、
無駄な調停や裁判は減らせるかもしれません。
私は、この最高裁判例はもっと広く知られるべきだと思っています。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 判決はまだ。でも、法律の答えは出ていました。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
私の裁判の判決は、
まだ出ていません。
しかし、
法律の基本的な考え方については、
最高裁判所が35年前に、
すでに答えを示していました。
今回改めて感じたのは、
家賃改定は、
経験や慣習だけで考えるものではないということです。
契約書を読み、
市場相場を確認し、
判例を確認する。
その積み重ねが、
貸主にも借主にも、
無駄な争いを避けることにつながるのだと思います。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 最後に
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
私も宅地建物取引士なのに、
この最高裁判例を知りませんでした。当時は勉強したのかもしれません。
契約書を読み返し、
調停証書を読み返し、
判例を探し続け、
AIにも何度も調べてもらいました。
それでも見つからなかった最高裁判例を、
宅建試験を勉強していた娘が見つけてくれました。
今回、判決を待つ間に得た一番大きな収穫は、
家賃改定制度の本質を、
最高裁判例を通じて改めて理解できたことでした。
そして、私自身も思いました。
**たまには宅建テキストを読み返そう。**
そんな気持ちになった今回の裁判でした。
答えは、案外近くにありました。
関連コラム
131 家賃改定はどう進める? 値上げを拒否された場合の対応と家賃改定の全体像(実務33件)
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5213114/
140 家賃改定の考え方(配布用)
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5214797/
154 家賃値上げはいくらまでOK? 判断基準は“新規賃料”
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5218778/
191 家賃増額裁判 第二回期日 初めて聞いた「契約安定性」という考え方
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5226168/
193 7月16日の裁判に向けた論点整理 ~鑑定士理論を真面目に考えてみた~
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5226337/
194 家賃改定は「値上げ」ではなく「是正」だと思う
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5226591/
198 【FP】AI以上のことが言えないFPは不要になるのか
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5226869/
199 【不動産投資】AIと不動産投資 情報格差は埋まる 体験格差は埋まらない
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5226882/
203 【契約違反】家賃5,500円の裁判→500万円の事件になるかも!?
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5229390/


