193【不動産投資】7月16日の裁判に向けた論点整理 ~鑑定士理論を真面目に考えてみた~

竹下昌成

竹下昌成

テーマ:不動産投資 回収・調停・裁判


193【不動産投資】7月16日の裁判に向けた論点整理 ~鑑定士理論を真面目に考えてみた~

現在、家賃増額請求訴訟を進めています。

次回期日は2026年7月16日です。

今回は判決も出ていません。

結論も出ていません。

そのため、

結果報告ではなく、

現時点で私が考えていることを記録として残しておこうと思います。

後から見返した時に、

判決前には何を考えていたのか。

何に違和感を持っていたのか。

その記録になると思っています。

---

■ 当初の争点は市場賃料だった

この事件は、

もともと市場賃料と継続賃料の事件でした。

市場賃料はいくらなのか。

現在の家賃54,500円は妥当なのか。

私の主張はシンプルです。

市場賃料は75,000円前後。

60,000円請求は市場賃料への一気の引上げではない。

継続賃料や契約安定性も考慮した金額である。

というものです。

---

■ 第2回期日で流れが変わった

ところが第2回期日で、

司法委員(不動産鑑定士)から、

①前回合意(2025年7月家賃調停成立)から1年で家賃改定なんて聞いたことがない

②どんな経緯であれ契約・合意は重い

③信義則

④相場と賃料は別

⑤上げ幅は前回の契約・合意以降のアップ率のみ

という趣旨の発言がありました。

私には、被告の主張と極めて近い内容に聞こえました。

その場では、

あまり公平とは言えない、個人の思想、経験則に偏った発言だと感じました。

また、「断言」されていたのも違和感を持っています。

「原告、被告の相場資料についてはどう評価しますか?」

という私の質問にも

「それ以前の問題です」

とまともに回答はありませんでした。

不動産鑑定士なのに相場を語らず、思い込みの法律を語りにきたのか?、と感じました。

しかも、当初は30分の意見交換と聞いていましたが、

一方的に10分程度、意見を述べて退席。

「反論があれば書面で提出してください」(笑)



終了後、契約書や調停証書を見直しているうちに、

いくつも疑問が出てきました。

---



■ 矛盾①

「どんな経緯であれ契約・合意は重い」

2025年7月に合意している調停証書をベース、起点にすべきと言いました。


私は、

契約・合意は重い。

という考え方には賛成です。

しかし、

どんな経緯であれ合意が重いなら、

調停証書全体が重いはずです。

しかも調停証書は裁判所自身が作成した公文書です。

強制執行力も備えている極めて強い文書と言えます。

その調停証書には、

「第1項以外は平成27(2015)年11月4日付建物賃貸借契約による」

という第4項があります。

つまり、

調停で変更されたのは第1項の賃料だけ。

原契約は継続。

増減額請求条項も継続。

契約期間も継続。

その他条項も継続。

という意味になります。

第1項だけ重い。

第4項は見ない。

という整理は難しいように思います。

---

■ 矛盾②

「前回から1年で家賃改定なんて聞いたことがない」

完全に経験則です。

少なくとも私は、そのような基準が法令や契約書、調停証書に書かれているのを見たことがありません。


さらに考えると

では、何年ならよいのか

2年ならよいのでしょうか。

3年でしょうか。

5年でしょうか。

その根拠は何でしょうか。

最大でも1年、または2年の賃貸借契約期間が条件の見直し時期になるはずです。

---

■ 今まで言われていない

「1年で改定なんて聞いたことない」について

2025年7月調停でも

2026年3月調停でも

言われていません。

ここも気になっています。

2025年7月の調停では、

「今後、1年で上げてはいけない」

という話は出ていません。

本当に大事な話なら、合意しておいて調停証書に明記しておくべきでしょう。

2026年3月の調停でも、

「前回調停から1年」の話にも

「前回合意からの上げ幅だけで考える」

という話にはなりませんでした。

もし本当に重要な論点なら、

2025年7月調停でも、

2026年3月調停でも、

同じ話が出ていてもおかしくありません。

ところが実際には出ていません。

それどころか、2026年3月の調停では

60分のうち50分が被告に費やされましたが調停不成立。

そのあとに調停委員(本件と別の不動産鑑定士)さんから

「お役に立てずすみません」

という言葉までいただいていました。

そのため、

一般的な考え方なのか。

個人の考え方なのか。

私は非常に興味を持っています。

---

■ 矛盾③

「1年で改定なんて信義則違反だ」


今回、

私が一番気になった言葉は

「信義則」

でした。

信義則違反。

これはかなり重い、強い言葉です。

単なる

「少し早い」

とは全く意味が違います。

私は、

通知



調停



訴訟

という法定手続を踏んでいます。

改定金額も急に2倍、3倍ではありません。

相場75,000円前後に対して54,500円→60,000円です。

信義則違反と言うなら、

どの行為が問題なのか。

なぜ信義則違反なのか。

その説明が必要だと思います。

同時に、一般的な交渉には一切応じず、「裁判所でしか話さない」

という被告の姿勢は信義則に違反しないのでしょうか?

司法委員(鑑定士)が使っていい軽い言葉ではありません。

---

■ 矛盾④

「相場と賃料は別」

新規賃料は上がってるかもしれないが、すぐに家賃につなげるのは難しいとのこと。

本当に意味不明です。

では何を基準に上げ幅を決めるのか? 契約書の意味は?

今回、

一番考えた論点です。

相場と賃料は別。

なるほど。

では、

何を基準に上げ幅を決めるのでしょうか。

消費者物価指数でしょうか。

市場賃料上昇率でしょうか。

差額配分法でしょうか。

結局、

何らかの形で市場賃料を見なければ計算できないように思えます。

原契約である賃貸借契約書には「相場」で家賃は変動請求可能と明記されています。

この考え方だと契約自体の意味もなくなります。

---

■ 矛盾⑤

「前回調停からの上げ幅だけを重視する」

ここも疑問です。

前回調停からの上げ幅だけを見るなら、

前回調停時の市場賃料はいくらだったのでしょうか。

現在の市場賃料との差はどう評価するのでしょうか。

結局、

市場賃料を無視することはできません。

また、直近契約のみ重視する、なら起点は常に直近の契約更新になってしまいます。

永遠に直近の契約更新以降の上げ幅しか認められない理屈になります。

今回だと2025年7月の調停以降のみの上げ幅になる

調停証書には原契約開始は平成27年11月4日開始と明記されています。

まず、これと矛盾する。

そして、この概念だと累積した相場賃料との乖離を補正できません。賃料は実質固定化されてしまいます。

これは借地借家法32条にも影響する部分だと思います。

---



■ 契約書を見直した

ここまで考えて、

改めて契約書を見直しました。

すると、

増減額請求条項があります。

近隣家賃があります。

物価変動があります。

公租公課があります。

さらに、

2ヶ月前通知条項もあります。

つまり、

契約書そのものが賃料改定を予定しています。

契約は重い。

私もそう思います。

だからこそ、

契約書全体を見なければならないと思います。

---

■ 私の現在の整理

シンプルに「契約・合意通りにしたい」ということです。

契約書には相場で家賃は変動できる、と書いてある

調停証書には賃料以外は原契約通り、と書いてある


私は契約安定性を否定していません。

むしろ重要な考慮要素だと思っています。

しかし、

契約安定性だけを主役にすることには違和感があります。

契約書。

調停証書。

市場賃料。

継続賃料。

契約安定性。

全部見なければならない。

これが現在の私の考えです。

そして、今回の司法委員(不動産鑑定士)が特殊であることを祈っています。

---

■ 7月16日の見どころ

以上を、裁判チックな言葉に変換して反論文書を送付済みです。


私が最も注目しているのは、

被告が調停証書第4項に触れるのか。

触れるならどう説明するのか。

そして裁判所が、

契約書

調停証書

市場賃料

継続賃料

契約安定性

をどう整理するのか。

ここです。

---

6月11日時点では、

前回調停調書は被告有利の資料だと思っていました。

しかし、

数日考え続けた結果、

今は原告側の重要証拠に見えています。

裁判は最後まで分かりません。

だからこそ面白い。

7月16日までにどのような反論が出てくるのか。

私自身、楽しみにしています。

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