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松本尚典

年商5億円の壁を突破したい社長のための経営コンサルタント

松本尚典(まつもとよしのり) / 経営コンサルタント

URVグローバルグループ 

コラム

「商品やサービスが売れない」経営者のための「売れる化」対策マニュアル

2023年5月17日

テーマ:売上あげる 売れる化 コツ

コラムカテゴリ:ビジネス


1.まず「商品やサービスが売れない」理由を認めること


現在の日本のマーケットは、既に成熟をしています。

消費者は、生活に必要なものを、ほとんど持っており、日常的な食料品などを除いては、新規に購買する意欲は買い替え以外、あまり高くはありません。少子高齢化の極端な進行によって、新たに世帯を構える人の数は減っており、まとまった消費は減少しています。

一方、商品ラインナップは激増しています。特に、Webマーケティングの発展によるロングテイル論の発展から、従来は、小売店の棚の体積によって制約されていた商品アイテムが、激増しています。ブランドも多数、生まれ続けています。

今の日本は、明らかに、需要を大きく上回る供給が行われる社会になってきています。

商品開発者や販売者が、自分では非常に画期的であると思って、商品に投資を行い、開発や販売をしても、商品量の大きさに阻まれて消費者に情報が届かず、届いても、購買に結び付きません。

広告に要する費用は供給の競争激化に比例して増えてゆき、しかも、消費者は広告の量の膨大さと質の低下によって、広告を信用しなくなっているため、その費用対効果は、ますます落ちてゆきます。

商品は、それを取り巻く外部環境の総体として、売れなくなっており、売れるためには、その競合に勝ち、かつ消費者にその購買価値を認めさせなければなりません。

だた、この一般論は、すべての商品サ-ビスの段階で一律ではありません。以下では、この売れない状態を、掘り下げるため、商品ライフサイクル論を導入して、深堀して考察してみたいと思います。

2.「商品ライフサイクル」と、売れない理由


商品には、商品ライフサイクルが存在します。

商品ライフサイクルとは、一定の商品が誕生して(導入期)、成長期を迎え、成熟期に達し、衰退期を迎える過程のサイクルのことです。

商品ライフサイクル論が示唆するのは、いかに成長する商品も、期間の長短はあれ、必ず成熟期に達し、衰退を迎える、ということです。成長し続ける商品はなく、したがって、成長から成熟し、衰退に入る時期を見極め、その過程での適切な戦略をとるべし、ということを、示した議論です。

商品ライフサイクル論と、「売れない」という現象を総合して考えると、「売れない理由」には、商品ライフサイクルのどこにいるかによって、異なってきます。したがって、売れない場合の対策も、商品ライフッサイクルの段階によって異なります。

売れない商品を「売れる化」するためには、その商品が、商品ライフサイクルステージのどこにいるかを見極め、そのステージにあった手法をとる必要があります。

尚、商品ライフサイクのどこに、自社の商品があるかを見極めることは、なかなか難しいので、是非、迷っている方は、僕にご相談ください。

松本尚典の中小企業経営者支援コンサルティングサービス

https://mbp-japan.com/tokyo/yoshinori-matsumoto/service1/5002501/


3.「売れる化」をする4つの手法


導入期の商品が売れない場合


なぜ、導入期の商品が売れなくなるのか?


導入期は、商品のアーリーステージであり、ここで売れないのは、商品の認知度が低く、消費者がその商品とその効用をまだ知っていないためです。

「早すぎる」商品であるためです。

したがって、この導入期にある商品が売れない場合、この時期を「我慢して売り続ける」ことが必要です。導入期にある商品は、消費者の認知が進んでおらず、そのため、マーケティング策を打っても、なかなか成果がでないものです。

この段階は、あきらめてしまうかどうかが、勝敗の分け目になります。気持ちが折れてしまうこととともに、資金が続かなくなり、投げ出してしまうことが多いのが、この段階の「売れない」状態です。

<導入期の商品の「売れる化」は、マーケティング活動に対する投資の継続をあきらめないこと


資金を調達し続け、自分を信じて、我慢を続けることが、導入期の商品が売れない場合の対処法です。この時期の商品は、売れなくて当然と割り切り、マーケティンングを打ち続けることが肝要です。

そしてそれをするための、資金調達が欠かせません。成長企業M&Aなどの手法で、資金調達を行い、続けることが重要です。そのあとに、大きな成長期が待っています。

URVグローバルグループの成長企業M&Aアドバイザリーサービス
https://urv-group.com/services/consulting/growing-manda/


成長期の商品が売れない場合


なぜ、成長期なのに、売れなくなるのか?


導入期の商品は売れなくて当然なのですが、成長期から成熟期に至った商品が「売れない」場合は、少し問題があります。

導入期を脱すると、商品に対する消費者の認知が進み、この段階の商品は「売れるのが当たり前」なのです。

競合がいまだ少なく、消費者の認知が進んだ段階では、マーケティングにそれほど費用を投下しなくても、売り上げが上がっていきます。

この段階に至っているにもかかわらず、売れない場合、それはその商品が、消費者の限界購買意欲が低い商品である可能性があります。

限界購買意欲とは、経済学の用語で、消費者が特定の商品を買い足す意欲の程度のことです。

例えば、あなたがTシャツを購入しようとします。1枚目のTシャツは、生活にどうしても必要であるため、1枚2,000円でも購入しようとします。しかし、2枚目は、既に1枚目が手元にあるので、購買意欲が少しだけ下がります。1割引きの1,800円で同じTシャツが値下がりすれば、これを購入しようとします。

1枚目の2,000円から10%下がった1,800円なら購入しようと考えているわけですから、限界購買意欲は10%の減少ということになります。

商品によって限界購買意欲の減少は、一律ではありません。

例えば、生活必需品である主食のお米やパンは、限界購買意欲は、まったく減少しません。ヒトは繰り返し、これを同じ価格でも購買し続けます。

しかし、一方、家に飾る絵画のような商品の場合、家に大量の絵画を飾れませんので、限界購買意欲は減少を続ける商品になります。

経営者は、自社の販売する商品の、限界購買意欲の減少をマーケティング戦略に読み込まなければなりません。限界購買意欲が大きく下がる商品の場合、成長期にも、消費者の限界購買意欲は下がり続けます。したがって、このような商品の場合、競合が発生していなくても、リピーターに対して価格を下げていかなければ、売れなくなってしまうのです。

特定の商品の、ターゲティングを明確にして導入し、競合に先んじて、ポジショニングを奪ったとしても、限界購買意欲が下がる商品の場合、商品の生産における原価管理を徹底し、生産量にあわせて原価を下げ、利益率を確保しながら、リピーターに対する価格を、下げていく必要があるのです。

これを見誤り、限界購買意欲が減退する商品であるにもかかわらず、リピーターに対する商品ラインナップを増加させ続け、コストを上昇させる経営者が、時々見受けられます。

これは、限界購買意欲があまり減退しないマスト商品と呼ばれる商品群に対するマーケティング手法であって、限界購買意欲が減少する商品で行うと、売れない商品になってしまいます。

限界購買意欲の減少と戦う、「売れる化」


限界購買意欲が大きく減退する商品を売っている場合、その売れる化の決め手は、マーケティング戦略の中の、商品戦略とリピーターに対する価格戦略の両輪を進めることにあります。

限界購買意欲が大きく減退する商品は、消費者が同じ商品を追加的に買いにくい商品です。したがって、その商品の価値を見極め、追加的に購買を促す商品をマイナーチェンジ的に追加してゆく商品戦略が求められます。

成長期にある商品の場合、次に述べるような新規事業開発によるイノベーションを急ぐ段階ではありません。むしろ、その商品のソリューションを見極め、そのソリューションで、消費者が「もうひとつ買う」商品をマイナーチェンジ的に追加し続けることが肝要です。

一方で、従来商品に関しては、リピーターに対する価格戦略を進めます。ここで注意していただきたいのは、あくまでも、リピーターへの価格戦略が重要なのであって、一律の価格の値下げを行うべきではないということです。

商品に一律の価格値下げは、衰退期に入り、かつ競合がさらに激化を続けているような商品に対する末期的な手法です。

これに対して、成長期にある商品の限界購買意欲の減退に対抗する手法は、リピーターのへ価格戦略です。あくまでも、
「次に買っていただく場合には、サービスをします」
という考え方です。

以上のような、マイナーチェンジの商品開発と、従来品にはリピーターに向けた価格戦略を両立させることが、売れる化のポイントになります。

成熟期の商品が売れない場合


成熟化は、なぜ起きるのか?


成熟期に入った商品が売れなくなるのは、消費者の限界購買意欲の減少が原因ではなく、競合の激化により、需要量を供給量が上回るためです。

成熟期には、商品の認知がいきわたります。その分、その商品やサービスを先行者と同じ販売方法やビジネスモデルで売ろうとする競合が増えます。

世の中には、他社が売れているビジネスモデルをそのまま真似てビジネス化する大小さまざまなビジネスマンで溢れています。華々しくメディアでとりあげられたり、人気のインフルエンサーによって紹介される商品は、その瞬間は売れますが、その顧客は流行に敏感なだけの消費者で、リピーターとして残らず、かえって、競合として新規参入を目指す他社の目にとまり、商品ライフサイクルの成熟化を早める結果になります。

競合の入りにくさは、参入障壁によってあらわされます。参入障壁の高い商品は、比較的、成長期が長く、成熟期を遅らせることができます。それでも、参入障壁が絶対という商品は存在せず、商品やサービスには、必ず成熟期が訪れます。

それは、その商品の参入に障壁があっても、類似商品や同じ機能を果たす商品によって、競合が増えるからです。

また、参入障壁を崩しやすい川上企業や川下企業が、競合として参入し、参入障壁を崩しにくることもあります。

成熟期の商品を扱っている場合、価格競争ではなく、新規事業へのイノベーションを!


さて、成熟期に達している商品を売るために、成長期の限界購買意欲が低い商品に適用する価格戦略を採用する企業は意外とおおいものです。

商品がいまだ成長期にあるのか、あるいは成熟期に入っているのかは、見分けがつきにくく(その差は消費者の供給よりも需要は高いが限界購買意欲が低いだけなのか、需要そのものが低下し、競合の供給が需要を上回っているのかで見分けます)、成熟期に入っているにもかかわらず、いまだに成長期にあると信じようとして、価格戦略を無理に進める企業が多いのです。

しかし、残念ながら、この戦略の採用を見誤ると、企業としては、大変なことになります。成熟期は、長く続かず、このあとには、需要が激減してゆく衰退期が待っています。そこに向けて、競合と体力で競い合うと、体力が弱い企業から脱落をしてゆきます。

成熟期に入った場合、競合との価格戦略で消耗をすることよりも、商品の用途開発によるイノベーションを図り、差別化を図る戦略をとりながら、次なる新規事業へのインベーションを進めることが肝要です。

成熟期は、製品の原価コストを抑えることができ、利益がとれる時期にあたります。その利益を価格戦略で消耗するのではなく、消費者目線に立った用途の再開発を進め、更に、次に会社を支える柱に育つ新規事業を、現在の事業とのシナジーを考えながら、進めることです。日本で競合が激しくなった商品の海外販売展開を図ることも、重要な視点です。

衰退期に入り、確実に売れなくなる前に、商品を磨きなおし、新たな海外市場を開発し、更に、新規事業に参入することを着々と進め、衰退期に備えなければなりません。

4.「「売れる化」を真剣に行わない経営者は非常に多い


商品が売れないという場合、その商品が消費者の目線に立って、消費者の用途の課題をしっかりと解決する商品になっているか、消費者がリピート購入する限界購買意欲は高いか、競合を意識しながら、需要と供給がどのような状態にあるのか、といった観点から市場を観察し、その現状にあった「売れる化」を図る必要があります。

「売れる化」を真剣に行わない経営者は多いのですが、それを適切に行うことで、会社は長期的に存続するのです。

松本尚典の中小企業経営者支援コンサルティングサービス

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