年商1億円の壁を超えるには?売上を「集客数×転換率×客単価」に分解する経営戦略
前回までのコラムでは、年商1億円の壁を超えて売上を伸ばしていくために、
「売上=集客数×転換率×客単価」
という考え方を取り上げ、その第一の要素である「集客数」について解説しました。
まだお読みになっていない方は、まずこちらの記事をご覧ください。
年商1億円の壁を超えるには?売上を「集客数×転換率×客単価」に分解する経営戦略
https://mbp-japan.com/tokyo/yoshinori-matsumoto/column/5066731/
年商1億円の壁を超えるには?中小企業が「集客数」を増やすための集客戦略
https://mbp-japan.com/tokyo/yoshinori-matsumoto/column/5070369/
さて、今回は、その次の要素である、
「転換率」
について考えていきます。
集客数を増やすことができても、そこから、
問い合わせ。
予約。
商談。
購入。
契約。
へ進む顧客が増えなければ、売上は増えません。
年商1億円前後からさらに会社を成長させるためには、
「何人集めたか」
だけではなく、
「集めた見込み顧客を、どれだけ売上につながる行動へ転換できたか」
を見ることが重要になります。
転換率とは?コンバージョン率・CVRとの違い
転換率とは、簡単にいえば、
集めた見込み顧客のうち、企業が目的とする行動まで進んだ人の割合
です。
Webマーケティングでは、一般的に、
「コンバージョン率」
あるいは、
「CVR」
と呼ばれることもあります。
例えば、店舗に100人が来店し、そのうち20人が商品を購入したのであれば、
転換率
=20人÷100人×100
=20%
となります。
しかし、転換率の「転換」が必ずしも購入とは限りません。
事業によって、目標となる行動は異なります。
例えば、
ECサイト
→購入。
飲食店
→予約・来店。
住宅会社
→資料請求・来場予約。
BtoB企業
→問い合わせ・商談。
コンサルティング
→相談申し込み。
SaaS
→無料トライアル・有料契約。
というように設定できます。
したがって、経営者が転換率を管理する際には、
「自社では、何をコンバージョンと定義するのか」
を最初に決める必要があります。
転換率100%を目指せばよいわけではない
では、転換率は高ければ高いほどよいのでしょうか。
単純には、そうとは限りません。
例えば、店舗に入った人全員に必ず商品を購入してもらおうと考えれば、
「買う意思のない人は入店させない」
という方法も考えられます。
確かに数字だけを見れば、転換率は高くなるかもしれません。
しかし、
たまたま立ち寄った人。
情報を収集している人。
今日は買わないが、後日購入する人。
家族や会社へ相談してから決める人。
を排除してしまえば、将来の顧客まで失います。
Webサイトでも同じです。
問い合わせの可能性が極めて高い人しかサイトへ来ないようにすれば、CVRは高くなるかもしれません。
しかし、将来顧客になる可能性のある人との接点そのものが減ってしまいます。
転換率の目的は、数字を100%へ近づけることではありません。自社にとって適切な顧客を集め、その顧客が次の行動へ進みやすい仕組みを作ることです。
集客数と転換率は、分けて考えながら、つなげて管理する
前回、集客数について説明しました。
今回の転換率とは、分けて管理する必要があります。
例えば、
広告によってWebサイトのアクセス数が2倍になった。
しかし問い合わせ件数は変わらなかった。
という場合、
「集客は成功した」
とは言い切れません。
仮に、
改善前
アクセス数 1000人
問い合わせ数 20件
転換率 2%
だったものが、
広告実施後
アクセス数 2000人
問い合わせ数 20件
転換率 1%
となったのであれば、アクセスは増えていますが、売上につながる見込み顧客が増えていない可能性があります。
だからこそ、
「アクセスが何件増えたか」
だけではなく、
「そのアクセスから、何件問い合わせが生まれたか」
まで見る必要があります。
一方で、集客数と転換率を完全に切り離して考えてもいけません。
集めている顧客の「質」が変われば、転換率も変わるからです。
例えば、自社の商品をほとんど必要としていない人を広告で大量に集めれば、アクセス数は増えても転換率は低下します。
反対に、自社の商品をまさに探している顧客を集めることができれば、アクセス数が少なくても高い転換率になる場合があります。
つまり、
集客
=適切な顧客との接点を作ること
転換
=その顧客を次の行動へ進みやすくすること
と考えると分かりやすいと思います。
転換率が少し上がるだけでも、売上は大きく変わる
転換率は、売上に直接影響します。
例えば、
Webサイト訪問者数 1000人。
転換率 2%。
購入者数 20人。
客単価 5万円。
であれば、
1000人×2%×5万円
=売上100万円
です。
ここで、集客数も客単価も変えずに、転換率だけを2%から3%へ改善できたとします。
すると、
1000人×3%×5万円
=売上150万円
となります。
追加でアクセスを集めなくても、50万円売上が増える計算です。
これは、非常に重要な考え方です。
売上を伸ばしたい会社ほど、
「広告を増やそう」
「アクセスを増やそう」
と考えがちです。
しかし、すでに十分な見込み顧客を集めているのであれば、
新しい顧客を集めるより、現在集まっている顧客の転換率を改善した方が、費用対効果が高い場合があります。
BtoB企業では、「最終成約率」だけを見てはいけない
転換率は、店舗やECだけの考え方ではありません。
むしろ、年商1億円を超えて成長するBtoB企業では、非常に重要です。
例えば、
見込み顧客 100社。
問い合わせ 30社。
商談 15社。
提案 10社。
成約 3社。
だったとします。
この場合、
見込み顧客→問い合わせ。
問い合わせ→商談。
商談→提案。
提案→成約。
という、それぞれの転換率を確認します。
仮に、
問い合わせは多い。
商談にも進んでいる。
しかし、提案から契約への転換率だけが非常に低い。
のであれば、集客が問題なのではありません。
商品内容。
価格。
提案書。
営業担当者。
競合との差別化。
契約条件。
などに問題がある可能性があります。
逆に、商談からの成約率は非常に高いのに、そもそも商談件数が少ないのであれば、集客や問い合わせ獲得を強化する必要があります。
転換率を見る目的は、「数字が低い」と嘆くことではありません。顧客が、どの段階で止まっているのかを発見することです。
転換率が低い原因を、顧客の視点から探す
転換率を改善するためには、
「なぜ顧客は買わなかったのか」
を考える必要があります。
よくある原因として、
商品が自分に必要だと思えない。
競合との違いが分からない。
価格が高いと感じる。
料金体系が分かりにくい。
購入方法が面倒。
問い合わせフォームが使いにくい。
会社が信用できるか不安。
導入後のイメージが分からない。
実績が見えない。
営業担当者の説明が分かりにくい。
購入する理由はあるが、今すぐでなくてもよい。
などがあります。
つまり、転換率の低下は、
Webサイトだけ。
営業だけ。
広告だけ。
の問題とは限りません。
Product。
Price。
Place。
Promotion。
そして、
営業。
顧客対応。
購入導線。
など、複数の要因が関係します。
Product 顧客が「自分のための商品だ」と思えるか
転換率を左右する最も基本的な要素は、Productです。
どれほどWebサイトを改善しても、顧客が欲しいと思わない商品を売ることは困難です。
重要なのは、
「自社では高品質だと思っている」
ことではありません。
顧客が、
「これは自分の問題を解決してくれる」
「これなら欲しい」
「他の商品より、自分に合っている」
と思えるかどうかです。
年商1億円前後の企業では、
商品を増やしすぎて、
「結局、この会社は何が一番強いのか」
が分かりにくくなっているケースもあります。
転換率を高めるためには、
誰のための商品なのか。
どの問題を解決するのか。
他社の商品と何が違うのか。
を明確にすることが重要です。
Price 値下げすれば転換率が上がる、とは限らない
転換率を上げるために、
「値段を下げればよい」
と考えることがあります。
確かに、値下げによって購入者が増えることはあります。
しかし、
転換率が上がった。
客単価は下がった。
粗利益も下がった。
という結果になれば、経営上の改善とは限りません。
また、価格が安すぎることで、
「品質に問題があるのではないか」
と顧客が不安を感じる場合もあります。
重要なのは、
「安い価格」ではなく、「提供される価値に納得できる価格」を設計することです。
価格。
転換率。
客単価。
粗利益。
は、必ず一緒に確認する必要があります。
Place 購入・問い合わせまでの「面倒」を減らす
Placeは、単に店舗の場所や店装だけを意味するものではありません。
顧客が、
商品を見つける。
比較する。
問い合わせる。
予約する。
購入する。
受け取る。
までの販売チャネル全体を考えます。
例えば、
問い合わせフォームの入力項目が多すぎる。
スマートフォンでページが読みにくい。
料金がどこに書いてあるか分からない。
予約方法が分からない。
電話でしか予約できない。
購入には会員登録が必須。
という状態では、それだけで転換率を下げる可能性があります。
顧客が「買いたい」と思った瞬間に、簡単に次の行動へ進める状態を作ることが重要です。
Promotion 顧客の疑問と不安を解消する
Promotionも転換率に大きく影響します。
ただし、
広告をたくさん出す。
SNS投稿を増やす。
という話ではありません。
顧客が購入前に感じる、
本当に効果があるのか。
自分にも合うのか。
いくらかかるのか。
どのような会社なのか。
実績はあるのか。
導入後に何が起きるのか。
失敗するリスクはないのか。
という疑問に答えることが重要です。
そこで、
商品説明。
料金。
導入事例。
顧客の声。
実績。
FAQ。
会社・経営者のプロフィール。
動画。
専門的なコンテンツ。
などを整備します。
転換率を高めるPromotionとは、「買ってください」と繰り返すことではありません。顧客が安心して意思決定できる情報を提供することです。
Webサイトでは、「デザイン」より先に確認することがある
転換率の改善というと、
Webサイトをきれいにする。
ボタンの色を変える。
写真を大きくする。
といったデザイン改善を思い浮かべることがあります。
もちろん、使いやすさや視認性は重要です。
しかし、その前に、
誰のためのサイトなのか。
何を提供しているのか。
顧客にどんなメリットがあるのか。
他社との違いは何か。
料金はいくらなのか。
問い合わせた後、どうなるのか。
が明確になっている必要があります。
サイトのデザインが美しくても、
「結局、何をしてくれる会社なのか分からない」
のであれば、問い合わせにはつながりません。
逆に、派手なデザインではなくても、
自分の問題を理解してくれている。
解決方法が分かる。
実績が確認できる。
次に何をすればよいか分かる。
というサイトであれば、転換につながりやすくなります。
転換率は、「全体平均」だけを見てはいけない
転換率を改善するときには、全体の数字だけを見ないことも重要です。
例えば、
Google検索から来た顧客。
Web広告から来た顧客。
SNSから来た顧客。
紹介から来た顧客。
既存顧客。
では、転換率が違う可能性があります。
また、
経営者。
担当者。
個人顧客。
法人顧客。
商品Aを探している顧客。
商品Bを探している顧客。
でも異なります。
例えば、
検索広告経由 転換率1%。
自然検索経由 転換率3%。
紹介経由 転換率20%。
という結果なら、経営判断も変わります。
集客数だけを見れば広告が最大チャネルでも、利益まで見ると紹介や自然検索の方が優れている場合があります。
したがって、
転換率は、顧客層・商品・流入経路ごとに分けて確認することが重要です。
「もう一品買ってもらう」は、転換率ではなく客単価の問題
ここは、売上構造を考えるうえで整理しておきたいところです。
来店した100人のうち、20人が購入した。
これは転換率の問題です。
一方、その20人が、
一品だけ購入するのか。
二品購入するのか。
上位商品を購入するのか。
関連商品も一緒に購入するのか。
は、主として客単価の問題です。
例えば、
アップセル。
クロスセル。
セット販売。
上位プラン。
追加サービス。
などは、客単価を高める施策です。
したがって、
集客数
=何人の見込み顧客と接点を持つか
転換率
=そのうち何人が購入・問い合わせ等へ進むか
客単価
=転換した顧客が一回当たりいくら購入するか
と分けて考えます。
こうして売上の問題を分解することで、
「何となく売上が伸びない」
という状態から、
「転換率が問題だから、ここを改善する」
という具体的な経営判断ができるようになります。
年商1億円を超える会社は、「転換率を上げる仕組み」を組織化する
年商数千万円程度までであれば、社長自身の営業力によって高い転換率を維持している会社があります。
社長が説明すれば売れる。
社長が商談すれば契約になる。
社長なら顧客の不安にその場で答えられる。
しかし、これは裏を返せば、
「社長以外では売れない会社」
です。
年商1億円、その先へ進むためには、
商品説明を標準化する。
営業資料を整備する。
顧客事例を蓄積する。
FAQを整備する。
営業プロセスを標準化する。
問い合わせ後のフォロー方法を決める。
商談結果を記録する。
失注理由を分析する。
という仕組みが必要になります。
つまり転換率改善とは、
Webサイトの改善だけでも、
営業研修だけでもありません。
「なぜ顧客が買うのか」を会社として理解し、それを再現できる営業・マーケティングの仕組みに変えることです。
これは、
「社長が売る会社」
から、
「会社として売れる会社」
へ変わるための重要な経営課題です。
転換率を改善するとき、経営者が確認する7つの数字
転換率を経営に活用するために、最低限確認したい数字を整理しておきましょう。
1.集客数・アクセス数
2.問い合わせ数・予約数
3.商談数
4.提案数
5.成約数・購入数
6.各段階の転換率
7.成約後の売上・粗利益
業種によって項目は変わります。
重要なのは、
「最終的に何件売れたか」
だけではなく、
「顧客が、どの段階で次へ進まなくなったのか」
を見つけることです。
その段階が見つかれば、
Productなのか。
Priceなのか。
Placeなのか。
Promotionなのか。
営業なのか。
購入導線なのか。
を分析できます。
次は、転換率を左右する「商品戦略」を考える
今回は、
「転換率とは何か」
そして、
「なぜ集客数と分けて管理する必要があるのか」
について説明しました。
ここからは、転換率を実際に高める方法を具体的に見ていきます。
最初に考えるべきなのは、4PのProductです。
どれほど広告を行っても、営業力を強化しても、
顧客が、
「欲しい」
「自分の役に立つ」
「この会社の商品を選びたい」
と思わなければ、転換率は上がりません。
次のコラムでは、
「顧客に選ばれる商品とは何か」
という観点から、転換率を高めるProduct戦略について考えていきます。
年商1億円の壁を超える中小企業が、ヒット商品で勝つための商品戦略
https://mbp-japan.com/tokyo/yoshinori-matsumoto/column/5073111/
集客はできているのに売上が伸びない経営者の方へ
「Webサイトへのアクセスは増えているのに、問い合わせが増えない」
「問い合わせはあるのに、商談につながらない」
「商談は多いのに、成約しない」
「社長が営業すれば売れるが、社員では売れない」
こうした問題は、単なる広告の問題ではありません。
ターゲット。
商品。
価格。
Webサイト。
営業。
ブランド。
顧客対応。
組織。
などを横断して、どこに転換を妨げるボトルネックがあるのかを確認する必要があります。
URVグローバルグループでは、4P戦略の整理から、Webサイト、SEO・AEO・GEO、広告、コンテンツ、ブランディングなど、企業の売上成長に必要なマーケティング施策を総合的に支援しています。
マーケティング支援事業
https://urv-group.com/services/marketing/
そして、マーケティングだけではなく、営業組織、人材、経営戦略、財務まで含めて売上成長のボトルネックを見直したいオーナー経営者の方には、経営者伴走コンサルティングをご用意しています。
年商5億円の壁を突破するための経営者伴走コンサルティング
年商3000万円から4億円程度のオーナー社長を対象に、松本尚典が、集客・転換率・客単価などの売上構造分析から、経営戦略、マーケティング、営業、組織、人材、財務、実行計画まで、経営者の意思決定と実行に継続して伴走します。
https://mbp-japan.com/tokyo/yoshinori-matsumoto/service1/5002501/
初回120分経営カンファレンス
継続的な経営コンサルティングをご検討いただいているオーナー経営者を対象に、現在の集客、問い合わせ、商談、成約、売上・利益、組織上の課題を整理し、どこに売上成長のボトルネックがあるのか、本コンサルティングが課題解決に適しているかを双方で確認します。
https://direct.mbp-japan.com/menu/detail/936


