年収のカラクリ ~年商5億円を超えた経営者たちの、自分の年収の決め方の技~
前回のコラムでは、年商1億円の壁を超えて、さらに売上を伸ばしていくための基本的な考え方として、
「売上=集客数×転換率×客単価」
という売上構造の分解について解説しました。
まだお読みになっていない方は、まず前回の記事をご覧ください。
年商1億円の壁を超えるには?売上を「集客数×転換率×客単価」に分解する経営戦略
https://mbp-japan.com/tokyo/yoshinori-matsumoto/column/5066731/
今回は、その中の最初の要素である、
「集客数」
について考えていきます。
ただし、最初に重要なことを申しあげておきます。
集客では、
「とにかく多くの人を集めればよい」
わけではありません。
自社の商品やサービスを購入する可能性がほとんどない人を大量に集めても、広告費や営業工数が増えるだけだからです。
年商1億円前後から、さらに会社を成長させようとする経営者が考えるべき集客とは、
「人数を増やすこと」
ではなく、
「自社の商品・サービスを必要としている見込み顧客との接点を、効率的に増やすこと」
です。
集客数を増やす前に、「誰を集めるのか」を決める
集客施策を考えると、
SEOをやろう。
Web広告を出そう。
SNSを始めよう。
Googleマップを強化しよう。
というように、すぐに手法の話へ進んでしまうことがあります。
しかし、その前に決めなければならないことがあります。
それは、
「誰を集めたいのか」
です。
例えば、年商1億円を超えることを目指しているBtoB企業が、
「中小企業の経営者なら誰でもよい」
と考えてWeb広告を配信すれば、多くのアクセスを集められるかもしれません。
しかし、自社の商品が、
従業員30人以上の製造業。
首都圏。
年商3億円以上。
設備更新を検討している会社。
に最も適しているのであれば、本来集めるべきなのは、その条件に近い企業の経営者や担当者です。
10000人を集めて1人しか購入しない集客よりも、100人を集めて10人が購入する集客の方が、事業として優れている場合があります。
したがって、集客戦略の最初の問いは、
「どうやって集めるか?」
ではありません。
「誰を集めるのか?」
です。
前回の記事で説明した「集客数×転換率×客単価」は、それぞれ独立した数字ではありません。
質の低い集客を増やせば、集客数は増えても、転換率が下がります。
経営者は、集客数だけを見るのではなく、その後の問い合わせ、商談、購入、利益まで一連の数字として見る必要があります。
中小企業の集客は、「検索される仕組み」を持つことから始める
現在、中小企業の集客において非常に重要なのが、検索です。
何か困ったことが起きたとき。
商品を探したいとき。
専門家を探したいとき。
取引先を探したいとき。
多くの顧客は、まずインターネット上で情報を調べます。
そのため、自社の商品・サービスを必要としている人が検索をしたときに、自社の情報へたどり着ける状態を作ることが重要です。
代表的な方法がSEOです。
SEOでは、
顧客がどのような言葉で検索するのか。
どのような疑問を持っているのか。
購入前に何を知りたいのか。
を考え、それに答えるWebページやコンテンツを作ります。
例えば、
「東京 オフィス移転」
「食品 海外輸出」
「中小企業 情報セキュリティ」
というように、顧客が実際に検索するテーマから、自社への入口を増やします。
しかし、現在の検索環境では、従来型の検索エンジンだけを見ていればよいわけではありません。
検索エンジンの検索結果だけでなく、AIによる回答や要約、生成AIを利用した情報探索も広がっています。
そのため、
SEO。
AEO。
GEO。
を意識して、
顧客の質問に明確に答える。
専門性のある情報を継続的に発信する。
会社や専門家の実績・経験を明確にする。
商品やサービスの内容を具体的に説明する。
という情報設計が重要になっています。
集客のためのWebサイトは、単なる会社案内ではありません。
見込み顧客が問題を認識し、情報を探したときに、自社と出会うための営業資産なのです。
検索広告は、「今、探している顧客」と出会うために使う
SEOには大きなメリットがありますが、成果が出るまでには一定の時間が必要です。
そこで、短期間で見込み顧客との接点を作りたい場合に有効なのが、検索広告です。
検索広告の強みは、
「ある商品やサービスについて、自分から検索している人」
に広告を表示できることです。
例えば、
「税理士 港区」
「工場 省エネ設備」
「海外進出 コンサルティング」
と検索している人は、そのテーマについて一定の関心を持っている可能性があります。
そのため、テレビCMや不特定多数への広告とは異なり、
「今、情報を探している人」
との接点を作りやすいという特徴があります。
ただし、
クリック数が増えた。
サイトアクセスが増えた。
というだけで、広告が成功したとは判断できません。
重要なのは、
広告費。
クリック数。
問い合わせ数。
商談数。
成約数。
売上。
粗利益。
まで追いかけることです。
例えば、100万円の広告費を使って大量のアクセスを獲得しても、利益が50万円しか増えていなければ、その広告施策は見直す必要があります。
逆に、広告費が20万円でも、そこから継続顧客を獲得し、十分な利益を得られているのであれば、広告投資を増やす余地があります。
中小企業のWeb広告では、
「安くクリックを獲得したか」
ではなく、
「いくらの費用で、利益につながる顧客を獲得したか」
を見ることが重要です。
Googleマップ・地域検索は、店舗型ビジネスの重要な集客経路
飲食店。
美容室。
クリニック。
不動産店舗。
士業。
小売店。
オフィスサービス。
など、地域性の高い事業では、Googleマップなどの地域検索も重要です。
顧客は、
「銀座 蕎麦」
「新宿 税理士」
「八王子 工務店」
のように、地域と商品・サービスを組み合わせて検索します。
この場合、
所在地。
営業時間。
写真。
商品・サービス情報。
Webサイト。
口コミ。
予約方法。
などが、顧客の意思決定に影響します。
したがって地域型ビジネスでは、
SEOだけ。
広告だけ。
ではなく、
Webサイト。
Googleマップ。
口コミ。
SNS。
店頭。
地域での認知。
を連動させる必要があります。
オンラインとリアルを別々に考えないことが重要です。
SNSは、「広告媒体」ではなく、顧客との接点として考える
SNSも、中小企業の重要な集客経路の一つです。
しかし、
「Instagramが流行っているから始める」
「とにかく毎日投稿する」
という考え方では、経営施策にはなりません。
商品によって、
Instagram。
YouTube。
X。
Facebook。
LinkedIn。
など、顧客が利用している媒体は異なります。
さらに、
商品を知ってもらう。
専門性を伝える。
商品を理解してもらう。
経営者や社員の人柄を知ってもらう。
既存顧客との接点を維持する。
Webサイトへ誘導する。
といった役割も違います。
重要なのは、
「SNSをやっているか」
ではなく、
「自社が集めたい顧客がいる場所で、適切な情報を発信しているか」
です。
PR・コンテンツは、広告では届きにくい顧客との接点を作る
広告以外にも、集客を増やす方法があります。
その一つが、情報発信です。
専門的なコラム。
事例紹介。
調査データ。
動画。
セミナー。
プレスリリース。
メディア掲載。
などによって、自社の専門性を伝えます。
特にBtoBや、高単価・高関与の商品では、
広告を見た瞬間に購入する顧客は多くありません。
まず、
「この会社は信用できるのか」
「専門性があるのか」
「自社の問題を理解しているのか」
を確認します。
そのため、継続的なコンテンツ発信そのものが、将来の集客基盤になります。
僕自身がマイベストプロで継続的に経営に関する情報を発信しているのも、同じ考え方です。
一つの記事から、すぐにコンサルティング契約につながるとは限りません。
複数の記事を読み、
僕の経営に対する考え方を理解し、
プロフィールやサービス内容を確認し、
「この経営者に相談してみよう」
と思っていただく。
この一連の接点が、集客です。
最も強い集客チャネルの一つが、既存顧客と紹介
集客というと、新しい人を広告で集めることばかり考えがちです。
しかし、中小企業にとって非常に重要なのが、
既存顧客。
過去の顧客。
過去の問い合わせ。
失注した見込み客。
取引先。
提携先。
から生まれる集客です。
既存顧客が新しい商品を購入してくれる。
過去の顧客から再び相談が入る。
取引先から新しい顧客を紹介してもらう。
以前は受注にならなかった見込み客が、半年後に顧客になる。
このような売上は、新規広告だけに依存するよりも、効率的に獲得できる場合があります。
年商1億円前後からさらに成長する企業では、
「新規顧客をどう増やすか」
だけではなく、
「すでに会社が持っている顧客接点を、どのように売上機会へ変えるか」
も重要な経営テーマになります。
AIを活用して、眠っている見込み客を営業機会へ変える
現在は、AIを活用することで、過去に獲得した見込み客との継続的な接点づくりも進化しています。
例えば、
展示会で集めた名刺。
セミナー参加者。
過去の問い合わせ。
資料請求者。
既存顧客。
休眠顧客。
過去の商談先。
といった情報を、そのまま社内に眠らせている企業は少なくありません。
これらの見込み客へ継続的に情報を提供し、
誰がメールを開いたのか。
誰が資料を見たのか。
誰が問い合わせページへ進んだのか。
を把握できれば、営業担当者は、
「今、営業すべき相手」
を優先してフォローできます。
URVグローバルグループでは、この考え方をAIエージェントと組み合わせ、企業が保有するリードを継続的な営業機会へつなげるエージェンティックマーケティング支援を行っています。
エージェンティックマーケティングプロジェクト
https://urv-group.com/services/marketing/digitalmarketing/
集客数ではなく、「集客の質」と費用対効果を測る
これまで見てきたように、現在の集客方法には、
SEO。
AEO。
GEO。
検索広告。
Googleマップ。
SNS。
コンテンツ。
PR。
紹介。
既存顧客。
休眠顧客。
AIを使ったリード育成。
など、さまざまな方法があります。
だからこそ、
「あの会社がSNSで成功したから、自社もSNSをやろう」
という経営判断は危険です。
自社が見るべき数字は、
集客数。
だけではありません。
例えば、
どのチャネルから来たのか。
問い合わせにつながったか。
商談につながったか。
契約につながったか。
一顧客を獲得するためにいくらかかったか。
その顧客はいくらの粗利益を生んだか。
継続購入したか。
まで確認します。
1000人集めるチャネルより、100人しか集めなくても、質の高い見込み顧客が多いチャネルの方が優れている場合があります。
年商1億円を超えて会社を成長させる経営では、
「広告を出した」
「アクセスが増えた」
「フォロワーが増えた」
という活動量ではなく、
「売上と利益につながる顧客接点が、どれだけ増えたか」
で集客施策を評価することが重要です。
SEO・広告・SNSのどれを選ぶかではなく、集客ポートフォリオを作る
僕は、集客施策を一つだけに依存することも、中小企業にとってリスクだと考えています。
例えば、Web広告だけに依存していれば、広告単価が上昇したときに収益性が悪化します。
検索だけに依存していれば、検索環境の変化によってアクセスが影響を受ける可能性があります。
特定のSNSだけに依存していれば、その媒体の利用者やアルゴリズムの変化に左右されます。
そこで、
中長期ではSEO・AEO・GEO。
短期では検索広告。
地域事業ではGoogleマップ。
信頼形成にはコンテンツ・PR。
継続接点にはメールやSNS。
既存資産の活用には顧客・休眠リード。
というように、複数の集客チャネルを組み合わせます。
中小企業の集客戦略で重要なのは、
「最新の集客手法を使うこと」
ではなく、
「自社の顧客に合う複数の集客経路を持ち、それぞれの費用対効果を測りながら、経営資源を配分すること」
です。
集客の前提になるWebサイトを、「売上を生む経営資産」に変える
SEO。
Web広告。
SNS。
PR。
Googleマップ。
これらの施策によって見込み顧客を集めても、最終的に顧客がWebサイトを確認するケースは少なくありません。
そこで、
自社は何を提供しているのか。
誰のための商品なのか。
競合と何が違うのか。
価格やサービス内容はどうなっているのか。
どのような実績があるのか。
どう問い合わせればよいのか。
が明確に伝わるWebサイトが必要になります。
集客施策だけを強化し、受け皿となるWebサイトが弱い状態では、
前回の「売上公式」で説明した転換率が低下してしまいます。
URVグローバルグループでは、企業ホームページや事業別集客サイトの企画制作から、SEO、公開後の改善運用まで、経営戦略とマーケティング戦略を踏まえたWebサイトづくりを支援しています。
マーケティング支援事業 サイト企画制作&SEO支援プロジェクト
https://urv-group.com/services/marketing/site-and-seo/
集客数を増やしたら、次は「転換率」を見る
今回、集客数の向上策について見てきました。
しかし、集客が増えれば、自動的に売上が増えるわけではありません。
1000人をWebサイトへ集めても、
誰も問い合わせない。
誰も購入しない。
のであれば、売上にはなりません。
そこで次に見る数字が、
「転換率」
です。
前回の売上公式に戻れば、
集客数を増やす。
↓
その集客を問い合わせ・購入へ転換する。
↓
一顧客当たりの売上を高める。
という順番で売上構造を考えます。
次回は、
「集客できているのに、なぜ売れないのか?」
という問題を、転換率の観点から考えていきます。
年商1億円の壁を超える中小企業の「転換率の向上策」
https://mbp-japan.com/tokyo/yoshinori-matsumoto/column/5072130/
年商1億円から先の集客を、経営戦略から見直したい経営者の方へ
集客が伸びない原因は、広告手法だけにあるとは限りません。
そもそもターゲット顧客が明確でない。
商品が市場ニーズと合っていない。
競合との差別化ができていない。
Webサイトで価値が伝わっていない。
価格戦略が合っていない。
営業体制が弱い。
既存顧客を活用できていない。
ということもあります。
したがって、年商1億円前後からさらに会社を成長させる場合、
「どの広告を使うか」
だけを考えるのではなく、
経営戦略。
商品。
価格。
マーケティング。
営業。
組織。
人材。
財務。
まで含めて、どこが売上成長のボトルネックになっているのかを確認する必要があります。
URVグローバルグループのマーケティング支援事業では、4P戦略の整理から、Webサイト、SEO・AEO・GEO、広告、PR、コンテンツ、ブランディングなど、売上成長に必要なマーケティング施策を総合的に支援しています。
マーケティング支援事業
https://urv-group.com/services/marketing/
年商5億円の壁を突破するための経営者伴走コンサルティング
年商3000万円から4億円程度のオーナー社長を対象に、松本尚典が、集客・売上・利益の構造分析から、経営戦略、組織、マーケティング、財務、実行計画まで、経営者の意思決定と実行に継続して伴走します。
https://mbp-japan.com/tokyo/yoshinori-matsumoto/service1/5002501/
初回120分経営カンファレンス
継続的な経営コンサルティングをご検討いただいているオーナー経営者を対象に、現在の集客、売上、営業、組織などの課題を整理し、今後どこに経営資源を集中すべきか、本コンサルティングが課題解決に適しているかを双方で確認します。
https://direct.mbp-japan.com/menu/detail/936


