売上向上を目指す中小企業が陥る、サイト戦略の落とし穴
さて、今回のコラムから、年商1億円の壁を超えるための「売上公式」の要素の一つである、転換率の向上策についてみていきましょう。
転換率とは?
では、そもそも、転換率とはなんでしょうか?
わかりやすく説明しましょう。
商品を売る、お店を想像してみてください。ある店に来店する人の中には、たまたま店の前を通りかかって、ちょっとぶらりと立ち寄っただけの方もいるでしょう。ロードサイドのコンビニだとすると、トイレを借りたいだけ、という方もいます。
転換率というのは、実際に店舗に来た方の数に対する、何かを購買するお客様の割合のことを言います。
転換率を、集客数とわけて考えなければならない理由
勿論、一番ベストなのは、店舗に来店する方のすべてが何かを必ず購買することでしょ、とあなたは、と思うかもしれません。確かにそうなのですが、このようにマーケティング施策を考えてしまうと、失敗することが多くなります。なぜかと言いますと、来店しても、何も買わないヒトは、そもそも店に入れなければよい、そうすれば、転換率は100%になるとの考えに繋がるからです。
つまり、このような考え方でマーケティング策を考えてしまうと、「なにも買わない人は、店にこないでください」という施策に繋がりかねないということです。
例えば、ロードサイドのコンビニで、トイレを使いたいために、店に立ち寄った方が、トイレを済ませた後、「ついでに」飲み物やお弁当を買う場合も少なくありません。また、特定のなにかを買おうと思って店に来ても、買わないで帰ってしまうヒトもいます。
来客のなかで、はじめから結果的に購買をするヒトと、そうでないヒトをわけることはできないのです。
したがって、必ず購買をする人だけしか店に入れないようにすれば効率がよい、と考える経営者は、商売というものを、勘違いしている経営者です。そういう方策をとれば、店に来てから購買をしたくなるお客様も逃してしまいます。
そこで、適切なマーケティング施策は、前回のコラムで書いた、店にとにかく来てもらう手段、すなわち、「集客数の向上」と、「転換率の向上」をわけて検討することです。
一方、Webマーケティングの場合、ネットサーフィンが検索エンジンなどの発展で、実際の店舗よりもしやすいため、集客数が増大しやすくなる反面、転換率が下落しがちです。
例えば、最近、Webマーケティングの世界で、多くの業者が参入しているコンテンツ型SEOや、リスティングなどの手法を過度に使用して、大量な集客を、費用投資をして集めているのに、転換率が大きく下落してしまい、その結果、投下費用に販売実績が伴わず、失敗するというケースが増えてしまいます。
従って、重要なことは、SEO業者や、リスティング業者の売り込みを真に受けるのではなく、集客数の向上策と、転換率の向上策を、バランスよく行うことです。これが、店舗型販売でも、We販売でも求められます。
実際のマーケティングでは、集客数の向上策よりも、転換率の向上策のほうが、ずっと時間がかかります。そのため、どうしても、業者は、端的にクライアントに、集客数の向上策を中心に提案をすることが多いのが、マーケティングの世界の傾向です。
この点に、皆さんは、十分注意してください。
マーケティングミックス 4P戦略で考える
では、まず、比較的わかりやすい、店舗での転換率の向上策から考えていきましょう。
お店に来店をした方に、
・必ず何かを買っていただく施策
・何かをかっていただいた方に、もう一品追加で買っていただく施策
です。
この施策は、マーケティングミックスと呼ばれる4Pの分野ごとに考えていくことになります。
4Pとは、
Product(商品)
Price(価格)
Place(店装)
Promotion(販売促進)
の、頭文字をとった施策のことを言います。
次回のコラムから、転換率を向上させる施策を、このマーケティングミックスに沿って、丁寧にみていきたいと思います。
お楽しみに!
続く
[囲み装飾]松本尚典の中小企業経営者支援コンサルティングサービス
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