【風俗トラブル】示談金を現金で持ってこいと言われた|受け渡しの場所と方法を決める前に
風俗店を利用した後、キャストや店から「妊娠した」「性病をうつされた」と告げられ、中絶費用や治療費、慰謝料などを求められるご相談は少なくありません。体に関わる話であるうえ、家族や職場に知られる不安も重なるため、事実を確かめる前に支払ってしまう方もいます。
本記事では、妊娠・性病を理由とする請求について、ご相談の場で多く寄せられる質問を12問にまとめ、それぞれの考え方を整理します。
本記事は、風俗店を利用した側が、キャストや店から妊娠・性病を理由に金銭を求められた場面を前提にしています。実際の結論は、行為の内容や時期、やり取りの記録などによって変わります。
妊娠と性病の請求で、まず分けて考えること
妊娠を理由とする請求と性病を理由とする請求は、どちらも「体に生じた結果を原因として金銭を求める」点で似ていますが、確かめるべき事柄は異なります。最初に、何を前提に請求されているのかを切り分けておくと、その後の判断がしやすくなります。
| 項目 | 妊娠を理由とする請求 | 性病を理由とする請求 |
|---|---|---|
| 主に求められる費目 | 中絶費用、通院費、休業中の収入、慰謝料など | 検査費、治療費、休業中の収入、慰謝料など |
| まず確かめること | 妊娠の事実、妊娠の時期と利用日の前後関係 | 診断の有無と病名、感染の時期、ほかの感染経路の可能性 |
| 争点になりやすい点 | ご自身との行為による妊娠といえるか | ご自身から感染したといえるか |
| 手元に残したい資料 | 利用日時の記録、相手とのやり取り | 利用日時の記録、ご自身の検査結果 |
どちらの場合も、請求する側が「ご自身との行為が原因であること」を示す必要がある、という出発点は共通しています。
請求を受けた直後の疑問
「妊娠した」「性病をうつされた」と言われたら、支払わなければならないのか
告げられた時点で、直ちに支払う義務が確定するわけではありません。法的に費用の負担を求めるには、妊娠や感染という結果があること、それがご自身との行為によって生じたこと、どの費目がどの程度生じたかが前提になります。
これらが確かめられないまま示された金額に応じると、後から返還を求めるのは容易ではありません。まずは請求の根拠を確認し、支払うかどうかはその後に判断するという順序が基本になります。
本番行為をしていた場合、請求を断れないのではないか
店の規約に反する行為があったことと、示された金額を支払う義務があることは、別の問題として考えます。売春防止法は売春を禁じていますが(売春防止法3条)、客の側を罰する規定は置いていないため、本番行為があったことだけを理由に処罰の対象になるわけではありません。ただし、同意の有無が争われている場合は、別の検討が必要になります。
妊娠を理由とする請求では、本番行為の有無は妊娠の可能性に関わる事情の一つです。規約違反の罰金と妊娠による費用とがまとめて請求されている場合は、項目ごとに分けて考えることが大切です。詳しくは本番後に妊娠・中絶費用を請求された場合の対処法|弁護士が解説でも解説しています。
連絡を無視していれば、そのうち終わるのか
返信をしないことで連絡が途絶える場合もありますが、相手が自宅や勤務先を知っていると、連絡が家族や職場に向かうおそれがあります。相手が弁護士を通じて請求してくることもあります。
無視するか応じるかの二択ではなく、事実を確かめる問い合わせだけをする、弁護士に窓口を移すといった選択肢もあります。感情的な返信や、事実を認める内容の返信は、後の交渉で不利な材料になることがあるため、送る前に文面を見直すことをおすすめします。
妊娠を理由とする請求の疑問
妊娠が本当か、自分との行為によるものかをどう確かめるか
確認の手がかりになるのは、医療機関の診断の有無と、妊娠の時期です。市販の検査薬の写真だけでは、撮影日や本人のものかを確かめにくい面があります。医療機関で示される妊娠週数は、一般に最終月経の開始日から数えるため、行為の日から数えた期間におおむね2週間を加えた数字になります。告げられた週数と利用日が大きく食い違う場合は、説明を求める理由になります。
キャストの仕事の性質上、ほかの相手との行為による可能性を検討しなければならない場面もあります。出生前でも父子関係の鑑定が行われることはありますが、相手の協力が必要で、費用もかかります。確認の求め方によっては相手の感情を害し、話し合いがこじれることもあるため、伝え方には配慮が必要です。見極めの視点は「妊娠した」「病気になった」と請求されたら|妊娠詐欺・示談金詐欺の見極め方にまとめています。
中絶費用はどこまで負担することになるのか
ご自身との行為による妊娠であることが前提になりますが、中絶に伴う負担は、行為をした双方が分け合うべきものと考えられています。裁判例にも、中絶による身体的・経済的な負担を男女で分担すべきことを前提に判断したものがあります(東京高裁平成21年10月15日判決)。そのため、全額ではなく、折半を一つの目安として話し合いが進むことがあります。
負担を考える際は、医療機関の領収書や明細で、実際にかかった金額を確かめます。中絶の費用は妊娠週数や医療機関によって幅があるため、示された金額が実費とかけ離れていないかを見ることが出発点になります。
慰謝料や休業中の収入まで求められている
中絶に伴う精神的な苦痛について慰謝料が問題になる場合でも、妊娠に至った経緯や行為の態様、その後の対応などによって判断は分かれます。費用負担の話し合いに誠実に応じていたかどうかも、考慮される事情の一つです。
休業中の収入についても、実際に仕事を休んだ期間と、その間に得られなかった収入の裏付けが必要になります。費目ごとに根拠となる資料を求め、ひとつずつ確かめていくことで、まとめて示された金額の中身が見えてきます。費目ごとの考え方は治療費・検査費・休業損害は認められるのか|請求項目別の検討もご参照ください。
産むと言われた場合、認知や養育費はどうなるのか
出産に至った場合、法律上の父子関係は認知によって生じます。任意に認知しない場合でも、子の側から認知の訴えなどの手続がとられることがあり、その中でDNA鑑定が行われるのが一般的です。父子関係が認められれば、養育費の負担が問題になります。
「認知しなければ職場に知らせる」などと迫られても、その場で書面に署名する必要はありません。認知や養育費は長い期間にわたって影響する事柄のため、親子関係の確認を経てから判断することが大切です。詳しくは風俗・パパ活相手から妊娠を理由に金銭請求された|認知・養育費の考え方で解説しています。
性病を理由とする請求の疑問
性病をうつしたと言われたが、本当に自分が原因か分からない
性感染症は、感染してから症状が出るまでの期間が病気によって異なり、症状が出ないまま経過するものもあります。そのため、いつ、誰から感染したのかを特定することは容易ではなく、ほかの接触による可能性が残ることも少なくありません。
確かめたいのは、診断を受けた日と病名、症状が出た時期、ご自身の利用日との前後関係です。診断書や検査結果を示してもらえない場合は、請求の前提が確認できていない状態といえます。検査結果の扱い方は【風俗トラブル】性病をうつしたと言われた|検査結果の扱いと請求への向き合い方でも取り上げています。
自分も検査を受けたほうがよいのか
ご自身の健康のためにも、医療機関などで検査を受けることをおすすめします。自治体によっては、保健所で匿名・無料の検査を受けられる場合もあります。
検査で陰性であれば、ご自身から感染した可能性を検討する際の資料の一つになります。ただし、検査の時期によっては感染していても陽性と出ないことがあるため、検査を受けた日付と結果の通知を保管しておきます。陽性であった場合も、それだけで相手の感染の原因がご自身だと決まるわけではありません。
性病をうつしたことで刑事事件になることはあるのか
感染を知りながら行為に及び、相手を感染させた場合には、傷害罪として扱われる余地があります。もっとも、刑事事件として扱われるには、感染していることの認識や、感染との因果関係を裏付ける事情が求められます。請求の場面で「警察に行く」と告げられても、それだけで捜査が始まるとは限りません。
警察から連絡が来た場合には、事実関係を話す前に弁護士に相談しておくと、説明すべきことと確認すべきことを整理できます。
支払いと交渉の場面の疑問
支払わなければ家族や職場に知らせると言われた
支払わなければ家族や職場に知らせると告げて金銭を求める行為は、内容や態様によっては恐喝罪(刑法249条)にあたる可能性があります。費用の請求そのものに理由がある場合でも、求め方によっては違法と評価されることがあります。
こうした言葉を受けたときは、やり取りを消さずに保存し、相手の連絡先と日時を記録しておきます。弁護士が窓口になることで、家族や職場への連絡を控えるよう相手に求めることもできます。郵便などで家族に届く不安がある場合は、【風俗トラブル】配偶者宛てに郵便を送ると言われた|家族に届く前にできることも参考になります。
払った後に追加で請求された、または妊娠が事実でなかったと分かった
合意の内容を書面にしないまま支払っていると、入院費や慰謝料などを後から追加で求められることがあります。支払いをする場合は、金額と費目、これで解決とする旨、今後の連絡の取り扱いを書面にしておくことが大切です。
支払った後に妊娠や感染が事実でなかったと分かった場合は、だまされて支払ったものとして返還を求める余地があります。ただし、相手の連絡先や所在が分からなくなると回収は難しくなるため、支払いの記録や相手の情報は早めに整理しておきます。
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妊娠・性病を理由とする請求でお困りの方へ
妊娠や性病を理由とする請求では、相手の主張を確かめる前に支払うかどうかを決めてしまうと、後から見直すことが難しくなります。診断の有無、時期の前後関係、費目の根拠を一つずつ確認し、支払う場合も書面で区切りをつけることが、話し合いを落ち着いて進めるための土台になります。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
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