治療費・検査費・休業損害は認められるのか|請求項目別の検討
キャストへのLINEやSNSでの連絡がきっかけで、店から「これ以上連絡しないでください」「次は出入り禁止にします」といった警告を受けることがあります。警告の文面に罰金や違約金の話が含まれていたり、「警察に相談する」と添えられていたりすると、何から手をつければよいか分からなくなる方も少なくありません。本記事では、店からの警告を受けた客側の立場から、状況ごとにやるべきこと・避けたいことを判断表の形で整理します。
本記事は、キャストへの連絡を理由に店から警告を受けた客側の方に向けた一般的な解説です。ストーカー規制法は近年改正が重ねられており、個別の事案でどの規定が適用されるかは、行為の時期や内容によって異なります。
店からの「警告」にはどのような種類があるか
| 警告の内容 | 法的な位置づけの目安 | 受け止め方のポイント |
|---|---|---|
| キャストへの連絡をやめるよう求める | 店の管理上の要請であり、それ自体に法的な強制力はない | 連絡を続けると、別の法的な問題に発展するおそれがある |
| 来店・予約を断る(出入り禁止) | 施設の管理者の裁量として認められる範囲が広い | 撤回を求める場合も、感情的なやり取りは避けたい |
| 罰金・違約金の支払いを求める | 客が合意した根拠があるか、損害の裏付けがあるかで評価が分かれる | その場で支払いや署名に応じる前に、根拠を確かめたい |
| 「警察に相談する」と告げる | 店やキャストが警察に相談すること自体は自由 | 警察からの連絡に備えて、やり取りの記録を整理しておく |
店からの警告は、大きく分けると「連絡の中止を求めるもの」「出入りを断るもの」「金銭を求めるもの」「警察への相談を予告するもの」の4つに整理できます。これらが一つの連絡にまとめて書かれていることも多いため、まずは文面を読み分け、何を求められているのかを切り分けることが出発点になります。
判断の前に確かめたい3つの視点
警告を出しているのは誰か
店の担当者からの警告なのか、キャスト本人の意思を伝えるものなのか、あるいは店の関係者を名乗る第三者からの連絡なのかで、対応は変わります。店の名前や担当者名、連絡に使われた電話番号やアカウントを控えておくと、後で状況を説明しやすくなります。
キャストが連絡を望んでいないことが示されているか
キャスト本人がブロックした、返信をしなくなった、店を通じて「連絡しないでほしい」と伝えてきたといった事情がある場合、その後の連絡は相手が拒んでいる中での連絡と受け取られやすくなります。ストーカー規制法では、好意の感情などを充足する目的で、拒まれたにもかかわらず電話やメッセージ、SNSでの送信を繰り返す行為が「つきまとい等」の一つとして定められています(同法2条1項5号)。
金銭の請求が伴っているか
警告に罰金や違約金の請求が含まれている場合は、連絡の問題と金銭の問題を分けて考える必要があります。連絡を控えることには応じつつ、金銭の請求については根拠を確かめるという対応は両立します。
状況別の判断表
| 状況 | やるべきこと | 避けたいこと |
|---|---|---|
| 店から連絡をやめるよう求められた | キャストへの連絡を止め、店からの文面を保存する | 理由を説明するためにキャストへ再度連絡する |
| キャストにブロックされた後、店から警告が来た | 別のアカウントや電話番号での接触を含め、連絡を一切控える | 別のSNSや知人を通じて連絡を取ろうとする |
| 出入り禁止を告げられた | 店舗への来店や予約を控える | 店舗や待機場所の周辺に出向いて話をしようとする |
| 系列店も含めて出入り禁止と言われた | 対象となる店舗の範囲を文面で確認する | 偽名や別の電話番号で予約を取り直す |
| 罰金・違約金を請求された | 請求の根拠(誓約書、規約、損害の内容)を書面で求める | その場で支払う、金額が空欄の書面に署名する |
| 家族や勤務先に連絡すると言われた | やり取りを記録し、早めに弁護士への相談を検討する | 口止めのために言われるまま金銭を渡す |
| 「警察に相談する」と言われた | これまでの連絡の履歴を時系列で整理しておく | やり取りの履歴を削除する、キャストに取り下げを頼む |
| 警察から連絡が来た | 呼び出しの日時や担当部署を確認し、弁護士に相談する | 事実関係が整理できていないまま説明を重ねる |
避けたい行動とその理由
判断表の中でも、相談の場面で特に多く見られる行動について、避けたい理由を補足します。
謝罪や説明のためにキャストへ連絡する
誤解を解きたい、ひと言謝りたいという気持ちから、キャストに連絡したくなる方は少なくありません。しかし、連絡をやめるよう求められた後の連絡は、内容が謝罪であっても、相手が拒んでいる中での連絡として受け取られることがあります。伝えたいことがある場合は、自分で連絡を取るのではなく、店を通すか、弁護士を通じて伝える方法を検討することが考えられます。
店舗や周辺に出向いて話をしようとする
直接会って話せば分かってもらえると考え、店舗に出向いたり、キャストの出勤時間に合わせて周辺で待ったりすると、待ち伏せや見張りと受け止められるおそれがあります。出入り禁止を告げられた後に店舗へ立ち入った場合には、建造物侵入罪の成否が問題になる場面もあります。
求められるまま支払いや署名に応じる
警告と同時に罰金の支払いや誓約書への署名を求められ、早く終わらせたい一心で応じてしまうケースがあります。いったん支払った金銭を取り戻すことや、署名した書面の効力を後から争うことは、不可能ではないものの、手間と時間がかかります。応じる前に、請求の根拠と金額の内訳を確かめることが大切です。
SNSや口コミサイトに店への不満を書き込む
警告や請求に納得できないとしても、店名やキャストを特定できる形で不満を投稿すると、名誉毀損や業務妨害を理由に、こちらが責任を問われるおそれがあります。
罰金・違約金を求められたときの考え方
店が客に対して罰金や違約金を求める場合、まず問題になるのは、客がその支払いに合意していたかどうかです。来店時や会員登録時に規約が示されていたとしても、金額が実際の損害に比べて大きすぎる場合には、消費者契約法9条や民法90条(公序良俗)の観点から、その全部または一部の効力が否定される余地があります。
また、規約に基づく請求ではなく損害賠償として請求する場合、店の側で、どのような損害がいくら生じたのかを示す必要があります。キャストへの連絡があったことだけを理由に、損害の内容を示さずに高額の支払いを求める請求については、そのまま応じる前に、内訳の説明を求めることが考えられます。
一方で、連絡の態様によっては、キャスト本人から精神的な苦痛を理由とする損害賠償を求められる可能性もあります。店に対する支払いとキャスト個人に対する支払いは別のものとして整理されるため、誰に対する何の支払いなのかを確かめておくことが欠かせません。
警察が関わる可能性があるとき
拒まれた後の連絡が続き、それがストーカー規制法上の「つきまとい等」に当たると判断されると、警察から警告や禁止命令が出されることがあります。警告そのものは刑罰ではありませんが、その後も同じ行為を続けた場合には、禁止命令や検挙に進む可能性があります。ストーカー行為をした場合の法定刑は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金、禁止命令に違反してストーカー行為をした場合は2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金とされています(同法18条、19条)。
また、好意の感情に基づかない連絡であっても、各都道府県の迷惑防止条例で、執拗な連絡や待ち伏せなどが規制されていることがあります。店から「警察に相談する」と言われた段階では、実際に相談がされたかどうかは分からないことが多いため、連絡を止めたうえで、これまでのやり取りを落ち着いて整理しておくことが、その後の対応の土台になります。
弁護士への相談を検討したい場面
- 罰金や違約金として高額の支払いを求められている場合。
- 家族や勤務先に知らせることをほのめかされている場合。
- 誓約書や示談書への署名を求められている場合。
- 警察から連絡があった、または呼び出しを受けた場合。
- キャスト本人や第三者からも個別に連絡が来ている場合。
弁護士が窓口になると、店とのやり取りを本人が直接行う必要がなくなり、請求の根拠の確認や、連絡を控えることの約束を含めた合意の内容を、落ち着いて詰めていくことができます。どの段階で相談すべきか迷う場合は、警告の文面と、キャストとのやり取りの記録を手元にそろえたうえでご相談いただくと、状況を把握しやすくなります。
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まとめ
キャストへの連絡を理由とする店からの警告は、それ自体に強制力があるわけではありませんが、警告を受けた後の行動によって、金銭の問題や刑事手続に発展するかどうかが左右されることがあります。まずはキャストへの連絡を止め、警告の文面とこれまでのやり取りを保存したうえで、求められている内容を「連絡の中止」「出入り禁止」「金銭の請求」「警察への相談」に切り分けて考えることが、落ち着いた対応につながります。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


