【ストーカートラブル】SNSのアカウントは消すべき?非公開にするべき?

若井亮

若井亮

テーマ:ストーカートラブル

元交際相手やSNSで知り合った相手から、DMやコメントが続いている。ブロックしても別のアカウントから見られている気がする。こうしたご相談では、「いっそアカウントを消したほうがよいのか、それとも非公開にすれば足りるのか」という質問をよくいただきます。

 結論から申し上げると、消すか非公開にするかは、被害の内容や相手の動き方によって向き不向きが分かれます。ただ、どちらを選ぶ場合でも共通して大切なのは、先に記録を残してから操作するという順序です。本記事では、アカウントを消す・非公開にする・そのまま残す、それぞれの利点と注意点を整理し、操作の前にしておきたいことと、法的な手段へのつなぎ方を解説します。

本記事は2026年11月時点の法令(2025年改正後のストーカー規制法、情報流通プラットフォーム対処法)を前提にしています。各SNSの機能や保存期間はサービスごとに異なり、変更されることもあるため、操作前に各サービスの案内をご確認ください。


先に決めるのは「消すか」より「何を残すか」

 アカウントを削除すると、受け取ったDMや相手からのコメント、通知の履歴などが自分の側からは見られなくなることがあります。後から警察に相談したり、弁護士を通じて相手に警告したりする段階で、相手の行為を示す材料が手元に残っていないと、説明が難しくなるおそれがあります。

 また、相手が匿名のアカウントを使っている場合、相手をたどるためにはサービス運営者に記録の開示を求める手続が必要になることがあります。運営者や通信事業者が持っている接続記録には保存期間があり、時間が経つと消えてしまう場合があります。アカウントの操作は後からでもできますが、記録は後から取り戻せないことが多いため、まず保存を済ませることをおすすめします。

操作の前に残しておきたい記録


  • 相手から届いたDM・コメント・リプライの画面(送信日時と相手のアカウント名・IDが写るように)。
  • 相手のアカウントのプロフィール画面と、そのページのURL。
  • 相手が投稿した、自分に関する内容の画面とURL。
  • ブロックや「連絡しないでほしい」と伝えたやり取りの画面。
  • 相手がアカウントを作り直してきた場合は、それぞれのアカウントの画面と気づいた日付。
  • 自分の行動や居場所を知っていると示すような書き込み(「今日〇〇にいたね」など)。


 スクリーンショットは、画面の一部だけを切り取るより、日時やURLが分かる状態で保存しておくほうが後で使いやすくなります。保存した画像は、スマートフォン本体だけでなく、パソコンや外部の保存先にも複製しておくと、端末の故障や紛失に備えられます。いつ、どのような被害があったかを時系列で簡単にメモしておくと、相談の場で状況を伝えやすくなります。

消す・非公開にする・残す、それぞれの特徴


選択肢主な利点注意しておきたい点
アカウントを削除する相手からの接触の入口を閉じられる。投稿から生活を探られる心配が減る受け取った記録が見られなくなることがある。相手が別の手段で接触を試みることがある
一時停止(休止)する多くのサービスで一定期間内なら元に戻せる。記録を残したまま様子を見られる停止中の扱いはサービスごとに異なる。停止期間を過ぎると削除される場合がある
非公開(鍵)にする承認した相手以外に投稿を見られにくくなる。記録は手元に残るフォロワー経由や共通の知人経由で内容が伝わることがある
そのまま残しブロック等で対応する相手の行為を記録し続けられる。生活を大きく変えずに済む見られている不安が続く。投稿内容の見直しが欠かせない


削除を選ぶ場合

 削除は、相手からの接触の入口を物理的に減らせる点で、精神的な負担が大きいときには有力な選択肢です。一方で、SNS上の接触が途絶えたことで、相手が自宅や職場など現実の場所での接触に切り替える例もあります。相手がどの程度こちらの生活圏を知っているかを踏まえ、削除の前後で身の回りの安全も確認しておくと安心です。多くのサービスには、すぐに削除せず一定期間停止する仕組みがあるため、まず停止して様子を見るという段階的な方法も考えられます。

非公開を選ぶ場合

 非公開にすると、承認していない相手からは投稿が見えにくくなり、記録も自分の手元に残ります。ただし、非公開は「誰にも見られない」状態ではありません。すでにフォローを承認している人の中に相手やその知人が含まれていれば、内容は伝わり得ます。非公開にする際は、フォロワーの一覧を見直し、心当たりのないアカウントや最近承認したアカウントがないかを確かめておくことが大切です。

そのまま残す場合

 相手の行為を記録しておきたい、仕事などでアカウントを手放せないといった事情があれば、アカウントは残したまま、ブロックやメッセージの受信制限、コメントの制限を組み合わせる方法もあります。その場合でも、自分の居場所や行動の予定が分かる投稿は控え、過去の投稿も見直しておくと、相手に伝わる情報を減らせます。

非公開にしても情報が伝わりやすい経路


  • 友人や家族の投稿に自分が写っている、または名前や場所が書かれている。
  • 共通の知人のフォロー欄やコメント欄から、新しいアカウントを探し当てられる。
  • プロフィールのアイコン、ユーザー名、自己紹介が以前と似ている。
  • 写真に写り込んだ景色、最寄り駅、店舗、窓からの眺め。
  • 写真に付いた位置情報や、投稿時の位置情報の付与。
  • 電話番号やメールアドレスからアカウントを探せる設定のまま。


 アカウントを作り直した場合でも、ユーザー名や写真の雰囲気、つながっている友人が以前と同じだと、相手に見つけられることがあります。親しい友人に事情を伝え、自分が写った写真や居場所が分かる内容の投稿を控えてもらうよう頼んでおくことも、現実的な対策の一つです。位置情報を含め、スマートフォンや共有サービスから情報が伝わる経路については、【ストーカートラブル】スマホや共有サービスから居場所が漏れている|位置情報以外の経路を止めるでも解説しています。

SNS上の行為はどこからストーカー規制法の対象になるか

 ストーカー規制法では、恋愛感情やそれが満たされなかったことへの恨みの感情から、特定の人に対して一定の行為をすることを「つきまとい等」として規制しています。SNSに関しては、拒まれているのにメッセージを連続して送ることや、相手が利用するSNSやブログに繰り返し書き込むことも、対象になり得ます。また、「監視している」と思わせるような内容を伝える行為も、つきまとい等の一つとされています。

 一方で、公開されている投稿を相手が閲覧しているだけでは、それ自体が直ちに規制の対象になるとは限りません。ただ、閲覧した内容をもとに「今日はどこにいたね」などと伝えてくる場合や、閲覧と並行して待ち伏せなど現実の行動がある場合には、評価が変わってくることがあります。どのような行為が対象になるか、警察の警告や禁止命令の流れについては、SNS・LINEの執拗な連絡はストーカーになる?警告・禁止命令の流れや【ストーカートラブル】SNSに毎日コメントされる|ネット上の行為は規制法の対象になるかもあわせてご覧ください。

 このように、SNS上の行為が法的にどう扱われるかを判断する際には、相手が何回、どのような内容を、どの経路で送ってきたかが重要な材料になります。アカウントを消す前に記録を残しておくことが勧められるのは、このためです。

相手が誰か分からないとき、書き込みを消したいとき

 相手が匿名のアカウントを使っている場合でも、情報流通プラットフォーム対処法に基づく発信者情報開示の手続によって、相手をたどれる場合があります。ただし、開示の対象になるのは権利侵害が明らかといえる投稿などに限られ、手続には一定の時間もかかります。前述のとおり接続記録には保存期間があるため、検討するのであれば早めに動くことが望まれます。手続の進め方や、たどれない場合の守り方については、【ストーカートラブル】相手が誰か分からない|匿名のつきまといで相手をたどる方法と、たどれないときの守り方で整理しています。

 自分の住所や写真などが掲示板やSNSに書き込まれている場合は、自分のアカウントを消しても、その書き込み自体は残ります。サービス運営者への削除の申出などは、自分のアカウントの扱いとは別に進める必要があります。住所の書き込みへの対応は、【ストーカートラブル】ネットに自宅の住所を書き込まれた|削除とその日の安全確保をご参照ください。

よくあるご質問


ブロックすると、相手を刺激してしまいませんか

 ブロックをきっかけに相手が別のアカウントを作ってくることはあります。ただ、ブロックは「これ以上の連絡を望んでいない」という意思を示す行為でもあり、その後も相手が接触を続けた場合には、拒まれているのに続けたことを示す材料になり得ます。ブロックした日付は記録しておくとよいでしょう。相手を刺激しにくい関係の断ち方については、ストーカーを刺激せず関係を断つ|安全な接触遮断と証拠の残し方で解説しています。

相手に「アカウントを消して」と言われたら、従うべきですか

 相手からの要求に応じる義務はありません。また、相手と直接やり取りを続けること自体が、接触の機会を増やすことにつながるおそれがあります。返事をせず、要求があったことを記録として残したうえで、警察や弁護士に相談することをおすすめします。

アカウントを消した後でも、相談はできますか

 ご相談は可能です。手元に残っている画面の保存や、友人が保存していたやり取り、相手の投稿が公開されたまま残っているかどうかなど、別の材料から状況を整理できることもあります。消してしまったからといって、相談をためらう必要はありません。

警察・弁護士への相談を考えるタイミング

 SNS上の接触に加えて、自宅や職場の近くで相手を見かけた、知らせていないはずの居場所を相手が知っていた、といった事情がある場合は、アカウントの操作よりも先に、警察への相談を検討してください。現実の場所での接触が疑われる段階では、身の安全の確保が優先になります。

 弁護士に依頼すると、相手との連絡の窓口を弁護士に移し、本人が直接やり取りしなくて済むようにすることができます。証拠の整理や、警察への相談の同行、発信者情報開示や接近禁止を求める手続など、事案に応じた手段を組み合わせて検討することも可能です。詳しくは【ストーカートラブル】弁護士に依頼すると何が変わるのか|ストーカー被害で代理人を立てる意味をご覧ください。

関連する解説記事



弁護士法人若井綜合法律事務所へのご相談

 SNSのアカウントをどうするかは、被害の状況や相手の動き、ご自身の生活や仕事との兼ね合いで答えが変わります。消すにしても非公開にするにしても、記録を残してから操作するという順序を押さえておけば、後から取れる手段を狭めずに済みます。判断に迷う段階でも、手元の記録を一緒に確認しながら方針を考えることができます。

同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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