【男女トラブル】指輪を買ってもらっただけで、婚約は成立している?
この記事は、2020年4月1日に施行された改正民法(保証に関するルールの見直し)を前提にしています。それより前に結ばれた保証契約には、改正前の民法が適用される場合があります。
交際中に部屋を借りるとき、交際相手に保証人になってもらった、あるいは交際相手が借りる部屋の保証人を引き受けた、という方は少なくありません。関係が続いている間は気にならなくても、別れた後になって「元恋人の家賃の保証人のままでいるのは不安だ」「別れた相手に保証人を続けてもらうのは気が引ける」と感じることがあります。
結論から言うと、別れたことだけを理由に保証人が自動的に外れることはありません。ただし、外れる道がまったくないわけではなく、手順を踏めば保証人を交代できる場合もあります。この記事では、保証人になった側と、保証人を立てた側(借主)の両方の立場から、確認しておきたいことと進め方を整理します。
別れても、保証人の立場はそのまま残る
賃貸借契約の保証は、貸主(大家)と保証人との間で結ばれる「保証契約」です。借主である元恋人と保証人との間の約束ではないため、二人の交際が終わっても、保証契約そのものには影響しません。保証人をやめるには、原則として契約の相手方である貸主の同意が必要になります。
また、普通借家契約が更新された場合、保証人は特段の事情がない限り更新後の家賃などについても責任を負う、というのが判例の考え方です(最高裁平成9年11月13日判決)。「最初の契約期間が過ぎれば終わる」と考えていると、思わぬ時期に請求を受けることがあります。
保証人が負う可能性がある支払いには、主に次のようなものがあります。
- 滞納された家賃・共益費。
- 契約で定められた更新料。
- 退去時の原状回復費用。
- 明渡しが遅れた期間の賃料相当額や遅延損害金。
まず確かめたい、自分がどの書面に何として署名したか
賃貸借契約書の保証人欄か、保証会社の書類か
最近の賃貸借契約では家賃保証会社の利用が条件になっていることが多く、個人の保証人が、保証会社との保証委託契約の連帯保証人として求められる場合もあります。賃貸借契約書の保証人欄と保証会社の書類の両方に署名していると、一方から外れても、もう一方の保証は残ることがあります。手元にある書類をすべて確認し、どの契約の保証人になっているのかを把握することが出発点です。
「連絡先」として名前を書いただけではないか
緊急連絡先として名前や電話番号を書いただけであれば、それだけで保証人としての支払い義務を負うわけではありません。保証契約は書面でしなければ効力を生じないとされており(民法446条2項)、どの欄に、どのような説明を受けて署名したかが問題になります。仲介会社に言われるまま保証人欄に記入してしまった、というケースもあるため、記入した欄と特約の内容を確かめておくとよいでしょう。
極度額(上限額)が書かれているか
2020年4月1日以降に個人が賃貸の保証人になる場合、保証する金額の上限(極度額)を書面で定めなければ、保証契約は効力を生じません(民法465条の2)。改正前に結ばれた保証契約には原則として改正前の民法が適用されますが、改正後に保証人自身が署名して契約を更新した場合などは、扱いが変わることがあります。契約日と更新の経緯、極度額の記載の有無は、早めに確認しておきたい点です。
| 確認すること | 見る書類 | 分かること |
|---|---|---|
| 署名した欄 | 賃貸借契約書・保証委託契約書 | 保証人か、緊急連絡先か |
| 契約日と更新の経緯 | 契約書・更新契約書 | 改正前後のどちらの民法が問題になるか |
| 極度額の記載 | 保証人欄・特約 | 保証の上限と、保証契約の有効性 |
| 保証会社の利用 | 保証委託契約書 | 保証が二重になっていないか |
保証人から外れるための現実的な道筋
代わりの保証人や保証会社を用意してもらう
最も現実的なのは、借主である元恋人に新しい保証人を立ててもらうか保証会社に加入してもらい、それと引き換えに貸主に保証人の交代を認めてもらう方法です。保証人から管理会社に相談しても「借主本人からの申し出がないと手続きできない」と言われることが多く、元恋人の協力が欠かせません。
元恋人が応じない場合、保証人の立場から交代を強制する手段は限られます。それでも、書面で協力を求めること自体はできます。別れ話の段階で、金銭の清算や荷物の返還とあわせて「保証人の変更に協力する」という内容を合意書に盛り込んでおくと、その後のやり取りが進めやすくなります。
更新のタイミングを生かす
契約の更新時期は、貸主や管理会社が保証人の状況を見直す機会になります。更新書類への署名を求められたときに、保証人を続ける意思がないことを伝え、交代の手続きを相談するのが一つの方法です。もっとも、合意による更新ができず法定更新となった場合でも、従前の保証が続くと考えられているため、黙っていれば外れるというものではありません。
元恋人が退去すれば、その後の家賃の保証はなくなる
元恋人が部屋を解約して退去すれば、それ以降の家賃が新たに発生することはありません。ただし、退去時までの未払いの家賃や原状回復費用については、保証人としての責任が残ります。退去の時期や鍵の返却、立会いの日程などを管理会社に確認しておくと、後から想定外の請求を受けにくくなります。
保証人の側から一方的にやめられる場面は限られる
個人が賃貸の保証人になっている場合、法律上、保証の対象となる金額が確定する場面がいくつか定められています。たとえば、保証人が破産手続開始の決定を受けたときや、借主または保証人が亡くなったときなどです(民法465条の4)。また、借主の滞納が長く続いているのに貸主が契約の解除などの手を打たなかった事案で、保証人への請求が信義則に照らして制限された裁判例もあります。ただし、こうした扱いが認められる場面は限られており、「別れたから」「もう関わりたくないから」という理由だけで一方的に保証をやめることは難しいのが実情です。
借主の側から、元恋人を保証人から外したいとき
反対に、自分が借りている部屋の保証人に交際相手を立てていた、という借主の立場の方もいます。別れた後も元恋人が保証人のままだと、支払いが遅れたときに管理会社から元恋人へ連絡が入ったり、元恋人から「早く外してほしい」と求められたりして、関係を終えたつもりでも接点が残り続けます。
この場合は、借主から管理会社に保証人の変更を申し出るのが基本です。代わりの保証人を立てるか保証会社に加入するかを管理会社と相談し、審査を経て貸主の承諾を得ます。手続きが済んだら、保証人が交代したことを書面で確認し、元恋人にもその事実を伝えておくと、不要な連絡を減らせます。元恋人への連絡は用件を絞り、直接のやり取りが難しければ第三者を通すことも検討してください。
外れるまでの間に、保証人として気をつけたいこと
交代の手続きが済むまでは、保証人としての立場が続きます。不安を抱えたまま待つよりも、次の点を押さえておくと状況を把握しやすくなります。
- 借主から頼まれて保証人になった場合は、貸主に対して家賃の支払い状況や滞納額を問い合わせることができます(民法458条の2)。
- 滞納分の請求を受けたら、請求の内訳と対象期間を書面で確認し、極度額の範囲内かどうかも見ておきます。
- 保証人として支払った分は、後から元恋人に返還を求めることができます。振込の控えなど、支払いの記録は残しておきます。
- 元恋人の勤務先や家族に何度も連絡するなど、相手が困惑するような接触の仕方は避け、用件を書面にまとめて伝えるようにします。
正当な用件での連絡であっても、回数や伝え方によっては相手とのトラブルにつながることがあります。連絡の仕方に迷うときは、【刑事事件】元交際相手に荷物やお金の清算で連絡したい|正当な用件でもストーカーと言われる場面もあわせてご覧ください。
よくあるご質問
保証人が交代する前の滞納分は、交代した後も払う必要がありますか
保証人の交代が認められても、交代前に発生していた滞納分については、元の保証人の責任が残るのが通常です。交代の手続きの際に、その時点で未払いがないかを管理会社に確認し、清算の方法を書面で取り決めておくと安心です。
元恋人と連絡が取れなくなった場合、保証人にできることはありますか
借主と連絡が取れなくなっても、保証人が借主に代わって賃貸借契約を解約することは、原則としてできません。まずは管理会社に事情を伝えて支払い状況を確認し、契約の解除や明渡しの手続きなど、貸主側がどのように対応する見通しかを聞いておくことが大切です。滞納が続いたときに貸主がどう動くかによって、保証人の負担の大きさが変わることがあります。
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保証人の問題を弁護士に相談すると
保証人の交代には元恋人・貸主・管理会社が関わるため、当事者だけで話を進めようとすると、連絡が途切れたり、感情的な対立に発展したりすることがあります。弁護士に依頼した場合、賃貸借契約書や保証委託契約書を確認して、どの契約の保証人になっているのか、極度額の定めはあるのかといった点を整理したうえで、元恋人や管理会社とのやり取りの窓口を担うことができます。
交際関係の解消にあたっては、保証人の問題だけでなく、同棲中の家計や家財の清算、合鍵の返却、別れた後の連絡の取り方など、整理すべきことが重なりがちです。保証人の変更への協力を含めて合意書にまとめておけば、別れた後の接点を減らすことにもつながります。当事務所の取り組みは、【男女トラブル】弁護士が交際関係の解消時のトラブルに介入するサービス|金銭の清算・画像の削除・ストーカー・脅迫まで全国対応でご紹介しています。
保証人の立場は、別れたからといってすぐに消えるものではありませんが、契約の中身を確かめ、交代の手順を一つずつ踏むことで外れられる場合があります。元恋人との関係を整理する作業の一つとして、早めに取りかかっておくことをおすすめします。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


