【親子問題】少年鑑別所・少年院に入った後の家族の関わり

若井亮

若井亮

テーマ:親子問題

本記事は2026年9月時点の法令(少年院法・少年鑑別所法・更生保護法など)と公表資料に基づいて作成しています。面会の受付時間や持ち込める物などの細かな運用は施設ごとに異なるため、実際に出向く前に各施設の案内をご確認ください。


「少年院に入った息子に会いに行ってよいのか、行くと本人の気持ちを乱してしまうのではないか」というご相談があります。反対に、「家で暴れていた子なので、正直なところ会うのが怖い。それでも親として行くべきなのか」と迷われている親御さんもいます。立場は違っても、施設に入った後に家族がどこまで、どのように関わればよいのかが分からないという点は共通しています。

 インターネット上では「面会できるのは3親等以内の親族」「平日の日中のみ」といった説明がよく見られます。これらは運用の説明として誤りではありませんが、法律が家族にどのような役割を期待しているのか、施設から家族に何が知らされるのか、出院後の受け入れをいつから考えればよいのかといった点は、あまり触れられていません。

 この記事では、お子さんが少年鑑別所・少年院に入った後の段階に絞って、面会・手紙などの制度と、家族の関わり方、出院後の受け入れ準備を整理します。逮捕直後の対応については家族が逮捕されたと連絡が来た|最初の24時間にやること、親子の問題全体の相談先については【親子問題】親子の問題はどこに相談すればよいのか|警察・行政・弁護士の役割分担をご覧ください。

少年鑑別所にいる間の家族の関わり

少年鑑別所は「審判の前」に入る施設

 家庭裁判所が観護措置を決めると、お子さんは少年鑑別所に収容されます。期間は原則として2週間で、更新されると最長4週間、一定の重大な事件では最長8週間まで延びることがあります(少年法17条)。この間に、少年鑑別所の職員による心理検査や面接、家庭裁判所調査官による調査が行われ、その結果を踏まえて審判で処分が決まります。

 少年鑑別所の調査では、必要に応じて保護者との面接も行われます(少年鑑別所法16条3項)。家庭での様子や、これまでの経緯を聞かれる場面です。取り繕うよりも、家庭で起きていたことをありのままに伝えるほうが、お子さんに合った処遇を考える材料になります。

面会できる人と回数

 少年鑑別所では、保護者や親族などの「保護者等」から面会の申出があれば、原則として許されます(少年鑑別所法80条1項)。施設が面会の回数を制限する場合でも、1日1回を下回ってはならないとされています(同法83条2項)。実際の受付は平日の日中に限られるのが一般的です。

 面会には原則として職員が立ち会い、録音・録画されることもあります(同法81条1項)。一方、付添人である弁護士との面会には立会いがなく、時間帯や人数の扱いも異なります(同法84条)。審判に向けて本人の話を落ち着いて聞き取るのは、付添人の役割の一つです。

少年院での面会・手紙・電話の制度

制度を表で整理する

 審判で少年院送致が決まると、どの少年院に入るかは少年鑑別所の長が指定します(少年鑑別所法18条1項)。自宅から離れた施設になることもあります。少年鑑別所と少年院の外部交通の主な違いは、次のとおりです。

項目少年鑑別所(観護措置中)少年院
面会できる主な相手保護者等、身分上・法律上などの重大な用務のため必要な人(少年鑑別所法80条)保護者等、重大な用務のため必要な人、更生保護に関係のある人など(少年院法92条)
面会の回数制限する場合も1日1回を下回らない(同法83条2項)制限する場合も1か月2回を下回らない(同法95条2項)
職員の立会い原則として立会い・録音・録画あり(同法81条)原則として立会い・録音・録画あり(同法93条)
手紙原則として発受できる。制限する場合も1日1通を下回らない(同法92条、95条2項)原則として発受できる。制限する場合も1か月4通を下回らない(同法98条、102条2項)
電話等観護措置中の子については規定なし改善更生などに資すると認めるときに許されることがある(同法106条)
宿泊面会規定なし相当と認めるときに実施できる(同法97条)


「保護者等」とは誰か

 少年院法でいう「保護者等」は、保護者、配偶者、親族を指します(少年院法2条5号)。「3親等以内」という説明は施設の運用として紹介されることが多いものの、法律の条文自体は「親族」と定めています。きょうだいや祖父母が面会を希望する場合は、施設に問い合わせるのが確実です。

 また、在院者に虐待などをしていて、その健全な育成を著しく妨げると認められる人は「保護者等」から除かれます(同号括弧書き)。面会は家族であれば当然に認められる権利というより、本人の立ち直りに資するものとして位置づけられています。法律は「適正な外部交通が改善更生と円滑な社会復帰に資する」ことに留意するよう施設に求めています(同法91条)。

施設から家族に届く情報と、家族に求められること

入院後に保護者に通知されること

 少年院に入院すると、施設からその旨が保護者に通知されます(少年院法22条)。その後も、家族は施設の外で待つだけの立場ではありません。次のような情報が、保護者などに伝えられる仕組みになっています。

  • 入院したこと(少年院法22条)。
  • その子に合わせて作られる「個人別矯正教育計画」の内容(同法34条4項)。
  • 成績の評価の結果と、生活や心身の状況(同法35条3項・4項)。
  • けがや病気で重い状態になったときの知らせ(同法56条1項)。


 個人別矯正教育計画を作る際には、できる限り本人と保護者の意向も参酌するとされています(同法34条3項)。施設の職員と話す機会があれば、家庭で気になっていたことや、出院後の不安を率直に伝えてかまいません。

保護者会や家族参加の取り組み

 少年院の長は、保護者の理解と協力を得るよう努めるものとされています(少年院法17条1項)。令和7年版犯罪白書によると、令和6年には、保護者と在院者が一緒に取り組む保護者参加型プログラムが延べ207回、保護者会が延べ994回、家族間のコミュニケーションに関する講習会が延べ170回開かれました。出院後の生活などを話し合うための宿泊面会も、延べ24回実施されています。

 施設から参加を依頼されたときは、できる範囲で応じることが、出院後の関係づくりにつながります。なお、少年院の長は、保護者に対して監護の責任を自覚させるための指導や助言を行うこともできます(同法17条2項)。これは親を責めるための制度ではなく、家族の側の準備を支える仕組みと受け止めるのがよいでしょう。

面会で家族が気をつけたいこと

責める場ではなく、話を聞く場として

 少年事件を扱う法律事務所の解説でも、面会で親が頭ごなしに叱ったり、自分の負担ばかりを強調したりすると、家庭での監督に疑問を持たれかねないと指摘されています。起きたことへの向き合い方は、施設での教育の中で本人が取り組んでいます。面会では、まず本人の話に耳を傾け、家族としてもこれから考えていくという姿勢を示すことが大切です。

 面会には職員が立ち会いますが、立会いには、家族とのやりとりが円滑に進むよう助言や援助をする意味もあります(少年院法108条)。話しにくいことがあれば、面会の前後に職員に相談することもできます。

約束しすぎないこと

 面会の場では、「出てきたら前と同じように暮らせばいい」「欲しい物は何でも用意する」といった言葉をかけたくなるかもしれません。しかし、出院後の生活は、家族の状況や本人の課題によって組み立てが変わります。守れるかどうか分からない約束は避け、「一緒に考えよう」という伝え方にとどめておくほうが、後の話し合いがしやすくなります。

会うことがつらいときは

 家庭内暴力が入院の背景にある場合など、親御さんが面会に強い不安を感じることもあります。その場合、無理に対面にこだわらず、まず手紙から始める、職員と面談して状況を聞くといった方法もあります。子から暴力を受けていた時期の記録や安全の確保については、【親子問題】子から暴力を受けている|まず確保すべき安全と記録で解説しています。

出院後の受け入れ準備

多くは仮退院となり、保護観察が続く

 少年院からの出院は、処遇の段階が最高段階に達した後、地方更生保護委員会の決定による仮退院となるのが一般的です(少年院法135条)。仮退院の後は、保護観察所の保護観察官や保護司による保護観察を受けながら社会生活を送ります。

 在院中から、保護観察所が出院後の住まいや就業先などを調べ、整える「生活環境の調整」が行われます(更生保護法82条)。家族のもとに保護観察官や保護司が訪ね、受け入れの意思や家庭の状況を確認することがあります。受け入れについて迷いがある場合は、その迷いも含めて伝えておくことが大切です。

自宅に戻すことだけが選択肢ではない

 少年院は、出院後に自立した生活を営む上で困難のある在院者について、住まいの確保や修学・就業を助ける社会復帰支援を行います(少年院法44条1項)。帰住先は必ずしも実家に限られず、就労先の寮や更生保護施設などが検討されることもあります。

 特に、入院前に家庭内で暴力や金銭の要求が続いていた場合、同じ家で同じ距離のまま生活を再開すると、以前の関係に戻ってしまうことがあります。親子が物理的な距離をとることは、見放すことではなく、双方が落ち着いて関係を立て直すための一つの方法です。親が家を出るという選択については【親子問題】避難先の確保|一時的に親が家を出るという選択も参考になります。

出院した後も相談できる

 少年院の長は、退院・仮退院した本人や保護者から、交友関係や進路などの相談を求められた場合、相当と認めるときは職員に相談に応じさせることができます(少年院法146条)。出院後に困りごとが生じたとき、在院中の様子を知る施設に相談するという道もあります。

よくあるご質問

きょうだいや祖父母も面会できますか。

 少年院法は面会の相手方として「親族」を定めているため、きょうだいや祖父母も対象になり得ます(少年院法2条5号、92条1項1号)。ただし、面会の人数や日時は施設ごとに運用が定められているため(同法95条1項)、事前に施設へ確認してください。

遠方の少年院で、なかなか面会に行けません。不利になりますか。

 面会の回数だけで処遇が決まるわけではありません。手紙のやりとりは原則として認められており(少年院法98条)、施設によっては電話等による通信が許されることもあります(同法106条)。行けない事情がある場合は、施設の職員に伝えておくとよいでしょう。遠方の家庭からのご相談への対応については、【親子問題】遠方でも依頼できるのか|全国対応の実際でご説明しています。

子が面会を拒んでいます。どうすればよいですか。

 本人が会いたくないと言う背景には、合わせる顔がないという気持ちや、家族への複雑な感情などさまざまな事情があります。面会を無理に求めるよりも、手紙で近況を伝えたり、職員を通じて様子を聞いたりしながら、時間をかけて関係を保つ方法が考えられます。

まとめ


  1. 少年鑑別所では、保護者等からの面会は原則として許され、制限する場合も1日1回を下回らない(少年鑑別所法80条、83条2項)。
  2. 少年院では、面会の回数を制限する場合も1か月2回を、手紙は1か月4通を下回らない(少年院法95条2項、102条2項)。
  3. 面会には原則として職員が立ち会うが、付添人である弁護士との面会は別扱いとなる(同法93条1項)。
  4. 入院の事実、個人別矯正教育計画、成績の評価などは保護者に通知される(同法22条、34条4項、35条3項)。
  5. 施設は保護者の理解と協力を得るよう努めるものとされ、保護者会や宿泊面会などの機会がある(同法17条、97条)。
  6. 出院に向けて、保護観察所による生活環境の調整が行われ、帰住先は実家に限られない(更生保護法82条、少年院法44条)。
  7. 出院後も、本人や保護者が少年院に相談できる仕組みがある(少年院法146条)。


少年鑑別所・少年院に入ったお子さんのことでお悩みの方へ

弁護士法人若井綜合法律事務所では、親子の問題に関するご相談を池袋と新橋の事務所でお受けしています。お子さんの少年事件について付添人としての活動をお受けするほか、ひきこもりや家庭内暴力など、出院後の親子関係に関するご相談にも、民間の自立支援カウンセラーと連携して対応しています。

お子さんが施設に入り、面会や受け入れについてどう考えればよいか迷っている方も、出院後の生活に不安を抱えている方も、一人で抱え込まずにご相談ください。人が関わる問題のため結果をお約束することはできませんが、ご家庭の状況に合わせた関わり方を一緒に考えます。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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