【親子問題】中高生の子の家庭内暴力、学校や児童相談所に相談できる?
家族で営んできた会社では、子を早い段階から取締役に就けていることが少なくありません。ところが、子が会社の仕事にほとんど関わらないまま役員報酬だけを受け取っている、会社のお金を私的に使っている、親への暴言や金銭の要求が続いているといった事情から、「子を役員から外したい」というご相談をいただくことがあります。
役員から外す手続そのものは会社法に定めがありますが、家族の会社では株式の持ち方や子の立場が会社ごとに異なり、手順を誤ると後から争いが大きくなることがあります。この記事では、子を役員から外す方法と、それぞれで確かめておきたい点を整理します。
この記事は、取締役会を置かない株式会社(株式の譲渡に制限がある非公開会社)を主に念頭に置いて説明しています。特例有限会社や合同会社、取締役会を置く会社では手続が一部異なることがありますので、実際の対応は定款と登記の内容を確かめたうえで進めてください。
手続を考える前に確かめておきたいこと
同じ「子を役員から外したい」というご相談でも、会社の株式を誰が持っているか、子がどのような立場で会社に関わっているかによって、取れる方法と難しさが変わります。最初に次の点を確認しておくと、その後の見通しが立てやすくなります。
株式を誰がどれだけ持っているか
取締役を選んだり外したりするのは、株主総会です。そのため、親がどれだけの株式(議決権)を持っているかが出発点になります。相続対策として株式の一部を子に移していることや、設立の際に親族の名前を借りて株式を引き受けた、いわゆる「名義株」があることも珍しくありません。株主名簿のほか、法人税の申告書に添付する別表二(同族会社等の判定に関する明細書)などで、現在の株主構成を確かめておくとよいでしょう。
子は役員だけか、従業員を兼ねているか
子が取締役として登記されているだけなのか、営業や現場の仕事を担う従業員の立場も兼ねているのかによって、外す手続が変わります。取締役の地位は会社法の手続で外せますが、従業員としての地位は労働契約の問題になり、解雇には客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が求められます(労働契約法16条)。給与と役員報酬をどのように分けて支払っているかも、あわせて確認しておきたい点です。
定款と登記事項証明書
定款には、取締役の任期や人数、株主総会の招集の方法などが定められています。非公開会社では取締役の任期を最長10年まで延ばせるため(会社法332条2項)、子の任期がいつまでなのかを確かめておくと、後で説明する「再任しない」という方法を検討できます。登記事項証明書(履歴事項全部証明書)では、子が代表取締役になっているかどうかも確認できます。
子を役員から外す主な方法
| 方法 | 進め方 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 辞任してもらう | 子と話し合い、辞任届を出してもらう | 子の同意が必要。辞任の条件を書面に残す |
| 任期満了で再任しない | 任期が来たときに、株主総会で子を選び直さない | 任期が長く残っていると時間がかかる |
| 株主総会で解任する | 株主総会の決議で任期の途中に外す | 正当な理由がないと損害賠償を求められることがある |
話し合いで辞任してもらう
取締役と会社の関係は委任に関する規定に従い(会社法330条)、取締役はいつでも辞任することができます(民法651条1項)。子が辞任に応じてくれれば、株主総会で争う必要がなく、家族の関係への影響も比較的小さく抑えられます。
ただし、子が辞任を受け入れる条件として、退職慰労金や当面の生活費を求めてくることもあります。条件を合意する場合は口約束で済ませず、辞任の日付、金銭の額と支払方法、会社の資料や備品の返還などを書面にしておくことが大切です。書面の考え方は【親子問題】親子間で合意書を作る|約束を書面にする意味と限界で解説しています。なお、子の同意がないまま辞任届を作成して登記することは、文書の偽造として刑事責任を問われるおそれがありますので、避けてください。
任期満了を待って再任しない
任期が満了すれば、株主総会で改めて選任しない限り、子は取締役の地位を失います。解任のように「正当な理由」が問題になりにくい点で、穏当な方法といえます。ただし、取締役の人数が法律や定款で定める数を下回る場合には、新しい取締役が就任するまで、退任した取締役が引き続き取締役としての権利義務を持つことになります(会社法346条1項)。後任の取締役を同じ株主総会で選んでおくことが必要です。
株主総会で解任する
取締役は、任期の途中でも、株主総会の決議によっていつでも解任できます(会社法339条1項)。決議は原則として、議決権の過半数を持つ株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数の賛成で行います(会社法341条)。親が過半数の株式を持っていれば、手続上は解任を決議できる立場にあります。
反対に、子や子の側につく親族が多くの株式を持っている場合は、株主総会で解任が否決されることがあります。その場合でも、取締役の職務に関して不正な行為や法令・定款に違反する重大な事実があるときは、一定の議決権を持つ株主が、株主総会の日から30日以内に裁判所へ解任の訴えを起こすことができます(会社法854条)。
解任を選ぶときに気をつけたいこと
「正当な理由」がないと損害賠償を求められることがある
解任された取締役は、解任について正当な理由がある場合を除き、会社に対して解任によって生じた損害の賠償を請求できます(会社法339条2項)。損害の中心は、残りの任期中に受け取れたはずの役員報酬と考えられています。任期を10年としている会社で任期の早い時期に解任すると、請求される額が大きくなることもあります。
正当な理由として認められやすいのは、会社のお金の使い込みなど法令や定款に違反する行為、病気の療養のために職務を続けることが難しい状態(最高裁昭和57年1月21日判決)、職務を担えないほどの著しい能力不足などです。一方で、親子の不仲や経営方針の違いといった信頼関係の問題だけでは、正当な理由とは認められにくい傾向があります。家庭内での暴言や金銭の要求が続いていても、それが取締役としての職務とどう結びつくのかを整理しておく必要があります。
子が株主でもある場合は、招集の手続を省かない
家族の会社では、株主総会を実際には開かず、議事録だけを作成してきたというところもあります。普段は問題にならなくても、子が株主である会社で、子に知らせないまま解任の議事録を作ると、決議の取消しや不存在を争われるおそれがあります。招集通知を送る、株主全員の同意を得て招集手続を省略する(会社法300条)、議案に株主全員が書面で同意する(会社法319条)など、定款と会社法に沿った方法を選ぶことが大切です。
代表取締役になっている場合
子が代表取締役であれば、取締役から外すと代表取締役の地位も失います。取締役会を置く会社では、取締役のまま代表取締役の地位だけを外す(解職する)こともでき、これは取締役会の決議で行います(会社法362条2項3号)。代表者が替わると、金融機関や取引先への届出、会社の借入れに付いている保証の扱いなども確認が必要になります。
退任した後の登記
役員が替わったときは、2週間以内に本店所在地で変更の登記をしなければなりません(会社法915条1項)。解任の場合は株主総会の議事録を、辞任の場合は辞任届を添えて申請します。登記をしないままにしておくと、子が引き続き役員であるかのような外観が残り、取引の場面で混乱が生じることがあります。
役員から外した後に残りやすい問題
登記が終わっても、それで親子の問題が片づくとは限りません。役員から外した後に、次のような点が問題になることがあります。
- 子が従業員を兼ねている場合は、従業員としての地位を別に考える必要があります。
- 役員報酬が止まると、子の生活費や健康保険・年金の加入先が変わります。
- 退職慰労金は、定款に定めがなければ株主総会の決議で支給の有無や額を決めます。
- 子が持っている株式は、役員から外しても子の手元に残ります。
- 収入が減ったことをきっかけに、親への金銭の要求や反発が強まることがあります。
特に最後の点は、親子の関係が背景にある事案ほど起こりやすいところです。役員報酬が子の生活の支えになっていることは多く、それが急に止まれば、不満が親に向くこともあります。役員から外すことを伝える時期や伝え方、伝えた後に親の安全をどう確保するかまで、事前に考えておくことをおすすめします。金銭の要求への向き合い方は【親子問題】子から金銭を要求され続けている|断ることの法的な位置づけもご覧ください。
また、取締役の報酬を任期の途中で本人の同意なく減額することは、原則としてできないとされています(最高裁平成4年12月18日判決)。「外すのは難しいので報酬だけ下げたい」という場合も、同意の取り方を含めて検討が必要です。
家族だけで進めるのが難しいとき
子を役員から外す話は、会社の手続であると同時に、親子の間の問題でもあります。親が直接切り出すと、話し合いが感情的なやり取りになり、辞任の条件がまとまらなかったり、かえって要求が強まったりすることがあります。
弁護士が会社や親の代理人として窓口に立つと、子との連絡を弁護士に一本化しながら、辞任の条件の交渉、株主総会の手続、合意書の作成までを一連の流れとして進めることができます。当事務所では、親子の問題について、親の代理人として弁護士が子と向き合い、自立支援カウンセラーが子の生活の立て直しを支えるという形でも対応しています。役員から外した後の子の住まいや仕事、生活費の組み立てまで視野に入れて考えたい場合にも、ご相談ください。
なお、登記の申請や税務の処理は、司法書士や税理士と分担して進めることがあります。会社に顧問税理士がいる場合は、株主構成や役員報酬の資料をそろえるうえでも、早めに相談しておくとよいでしょう。
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子を役員から外す方法は一つではなく、株式の持ち方、子の立場、親子の関係の状況によって、選ぶべき方法や順序が変わります。家族の会社では、外すこと自体よりも、外した後の会社の運営と親子の生活をどう整えるかが大きな課題になることが少なくありません。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


