【不貞慰謝料】うつ病など健康被害が生じた場合の請求
本記事は、交際中または交際していた相手に妊娠を伝えた後、連絡が取れなくなった方を念頭に置いています。体調や妊娠週数に関わる判断は、医療機関の助言を優先してください。
妊娠したと伝えた途端にLINEをブロックされ、電話もつながらなくなった。住所も詳しくは知らない。このような状況で「相手を探せるのか」と悩むご相談は少なくありません。
結論からいえば、相手を探せるかどうかは、手元に残っている手がかりによって大きく変わります。氏名や以前の住所、電話番号などが分かっていれば、弁護士が使える調査の手段があります。一方で、下の名前とSNSのアカウントしか分からない場合には、見つけることが難しいこともあります。この記事では、手がかりごとの見通しと、自分で探すときの注意点、探すことと並行して進めておきたいことを整理します。
手がかりごとに見る、探せる範囲の目安
相手を探す手段は、何が分かっているかによって選び方が変わります。主な手がかりと、弁護士が取り得る手段、その限界をまとめると次のとおりです。
| 手元の手がかり | 弁護士が取り得る手段 | 主な限界 |
|---|---|---|
| 氏名と以前の住所 | 住民票や戸籍の附票を取得し、転居先をたどる | 住民票を移していない場合は現住所にたどり着けないことがある |
| 携帯電話の番号 | 弁護士会照会で、電話会社に契約者の氏名・住所を照会する | 照会に応じない事業者もある。解約済みなら解約時点の情報にとどまる |
| 勤務先 | 書面の送付先として検討する | 職場への配慮が必要。退職していれば使えない |
| 下の名前とSNSのIDだけ | 運営会社への照会を検討する | 回答が得られないことが多く、見つからない場合もある |
複数の手がかりを組み合わせることで、たどり着ける可能性が高まります。たとえば電話番号から氏名と住所が分かれば、その後は住民票などで転居先を追える場合があります。
弁護士会照会という仕組み
弁護士会照会は、弁護士法23条の2にもとづき、弁護士が受任している事件について、弁護士会を通じて企業や団体に必要な事項を問い合わせる制度です。電話番号から契約者の情報を照会する場面でよく使われます。
照会を受けた側には回答することが求められていますが、すべての照会先が回答に応じるわけではありません。照会先によって運用に差があり、結果が出るまでに数週間から1か月以上かかることもあります。また、この制度は受任した事件のために使うものなので、相手への請求などの依頼を前提に検討することになります。
住民票・戸籍の附票から転居先をたどる
相手の氏名と以前の住所が分かっていれば、弁護士は受任した事件に必要な範囲で、住民票や戸籍の附票を取得できる場合があります。転居の届出がされていれば、新しい住所を確認できます。ただ、引っ越しても住民票を移していない人もいるため、確実な方法とまではいえません。
探偵に依頼する場合
聞き込みや張り込みなどで所在を調べる探偵に依頼する方法もあります。費用は調査の内容や期間によって大きく変わるため、見積もりの内訳と、調査結果の報告の形を事前に確認しておくと安心です。違法な手段で情報を集める業者もあるため、探偵業の届出をしているかどうかも確かめておきたいところです。
自分で探すときに気をつけたいこと
相手への怒りや不安から、自分で行方を追いたくなるのは自然なことです。ただ、やり方によっては、こちらが不利な立場に置かれるおそれがあります。特に次のような行動は、慎重に考えたほうがよいでしょう。
- 勤務先や自宅に押しかけ、待ち伏せをすること。
- 職場の同僚や取引先に、妊娠や連絡を絶たれた事情を伝えること。
- 相手の家族や友人に、何度も繰り返し連絡すること。
- SNSに相手の名前や写真とともに事情を書き込むこと。
事情を広めるような行動は、名誉毀損やプライバシーの侵害として相手から責任を問われることがあります。また、連絡や訪問を繰り返すと、相手側から「つきまとわれている」と主張され、その後の話し合いがかえって難しくなることもあります。
共通の知人に連絡先を知らないか一度尋ねる、相手の実家に事情を伝える手紙を1通送る、といった落ち着いた方法であれば、問題になりにくいと考えられます。それでも反応がない場合は、自分で追い続けるより、弁護士を通じた調査に切り替えることを検討してみてください。
探すことと並行して進めておきたいこと
相手を探しているあいだにも、妊娠週数は進んでいきます。相手が見つかるまで何も決められない、という状態にならないよう、並行して進められることがあります。
医療の判断を後回しにしない
人工妊娠中絶ができる時期は、妊娠22週未満とされています。母体保護法が同意を求めているのは配偶者であり、婚姻していない相手の同意は法律上の要件ではないと整理されています。医療機関から相手の署名を求められた場合は、相手と連絡が取れない事情を伝えて相談してみてください。出産を考えている場合も、健診や出産費用の準備は相手の所在とは別に進めておく必要があります。
手がかりと記録を残しておく
後で相手を探したり、費用や認知を求めたりする場面では、手元の記録が大切な材料になります。次のようなものは消さずに保存しておきましょう。
- 妊娠を伝えたときのLINEやメッセージの画面。
- 費用の負担や今後について相手が約束した内容。
- 相手の氏名、電話番号、勤務先、出身地、車のナンバーなど分かっている情報。
- 二人で写った写真や、交際していたことが分かるやり取り。
- 受診の記録や、かかった費用の領収書。
アカウントが削除されると、相手の表示名やIDが見えなくなることがあります。気づいた時点で画面を保存しておくと、照会の手がかりとして役立つ場合があります。
相手が見つかった後、または見つからない場合に求められること
相手を探す目的は、多くの場合、費用の負担や子どもの認知・養育費を求めることにあります。見つかった場合と見つからない場合で、進め方の考え方を整理しておきます。
中絶・出産にかかる費用
妊娠は二人の行為の結果であるため、中絶や出産にかかる費用は、相手にも負担を求められる場合があります。法律で負担割合が決まっているわけではありませんが、裁判例には、妊娠に伴う身体的・経済的な負担を分かち合おうとしない対応を不法行為と評価したものもあります。費用の領収書や、相手が負担を約束したやり取りが残っていれば、請求の根拠になります。
認知と養育費
出産を選んだ場合、子どもとの法律上の親子関係は、相手が認知することで生じます。相手が認知に応じない場合は、出生後に家庭裁判所の調停や訴えで認知を求めることになり、DNA鑑定が行われることもあります。相手の住所を調べても分からない場合には、公示送達という方法で手続を進められることがあります。
認知されると、相手には子どもを扶養する義務が生じ、養育費を求められるようになります。養育費を調停調書や判決などで定めておけば、支払いが滞ったときに、市町村などから相手の勤務先の情報を取得する手続も用意されています。一度見つけた相手をまた見失わないためにも、取り決めは書面や裁判所の手続で残しておくことが大切です。
慰謝料
連絡を絶たれたことの精神的な苦痛は大きいものですが、連絡を絶ったことだけで直ちに慰謝料が認められるとは限りません。既婚であることを隠して交際していた場合や、結婚の約束があった場合など、事情によっては慰謝料の請求を検討できることがあります。
弁護士に依頼すると何が変わるか
弁護士に依頼すると、弁護士会照会や住民票などの取得といった、個人ではできない方法で相手の所在を調べられます。相手が見つかった後は、弁護士から書面を送り、窓口を弁護士に一本化して話し合いを進められます。相手と直接やり取りせずに済むため、妊娠中の心身の負担を軽くすることにもつながります。
どの手段が使えるか、どの程度の見込みがあるかは、手元の手がかりによって変わります。依頼するかどうかを決める前に、分かっている情報を持って相談し、見通しを確認しておくとよいでしょう。
よくあるご質問
電話番号しか分からなくても探せますか
電話会社に対する弁護士会照会によって、契約者の氏名や住所が分かる場合があります。ただし、照会先が回答しない場合や、すでに解約されている場合には、たどり着けないこともあります。
弁護士会照会だけを頼むことはできますか
弁護士会照会は、受任した事件のために使う制度です。所在を調べることだけを目的とした依頼は受けられないことが多く、費用や認知などの請求とあわせて依頼を検討する形になります。
相手の親に連絡してもよいですか
相手の居場所や連絡先を尋ねるために、落ち着いた内容で一度連絡すること自体は、直ちに問題になるものではありません。ただし、成人した相手の親には、子の費用を支払う法的な義務は原則としてありません。親に支払いを求めたり、繰り返し連絡したりすることは避けたほうがよいでしょう。
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妊娠を伝えた後に連絡を絶たれると、相手を探すことと、自分と子どもの今後を決めることを、同時に抱えることになります。手がかりが少なく見えても、組み合わせ次第で調べられる場合がありますので、一人で追い続ける前に、分かっている情報を整理するところから始めてみてください。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


