【風俗トラブル】知らない番号からの電話に出て認めるようなことを言ってしまったら?

若井亮

若井亮

テーマ:風俗トラブル

風俗店を利用した数日後、登録していない番号から電話がかかってきて、出たところ「この前の件、本番しましたよね」「認めるなら穏便に済ませます」と畳みかけられ、思わず「はい」「すみません」と答えてしまった。こうしたご相談は少なくありません。電話を切ってから、あの一言で全部が決まってしまったのではないかと不安になる方が多いようです。

この記事は、2026年10月15日時点の憲法、刑法、刑事訴訟法、民法の規定をもとに、風俗店の利用客の立場から書いています。個別の事情によって見通しは変わりますので、具体的な対応は弁護士にご相談ください。


 結論から言えば、電話で認めるようなことを言ってしまったとしても、それだけで請求に応じる義務や刑事上の責任が確定するわけではありません。ただし、発言が録音されている可能性を前提に、その後の動き方を整えておくことが大切です。この記事では、電話での発言がどのように扱われるのか、認めてしまった直後に何をしておくか、次の連絡にどう向き合うかを順に整理します。

知らない番号からの電話で起きやすいこと

 風俗トラブルの後にかかってくる電話は、相手が誰なのかが最初は分からないことがほとんどです。店のスタッフのこともあれば、キャスト本人、キャストの知人や交際相手を名乗る男性、相手方の代理人である弁護士、警察のこともあります。予約時に伝えた電話番号が連絡先として使われる流れについては、【風俗トラブル】予約時に伝えた本名・電話番号はどう使われるのかで解説しています。

 また、示談をまとめる仲介役を名乗り、振込を求めてくる詐欺的な電話の例も報告されています。相手の正体が分からないまま話が進むこと自体が、この場面の難しさです。

 電話をかけてくる側は、相手が動揺しているうちに結論を引き出そうとすることがあります。「やりましたよね」「はいかいいえで答えてください」といった問いかけは、答える側に考える時間を与えません。驚きや後ろめたさ、早く電話を終わらせたいという気持ちから、事実と違うことや、事実よりも広い内容を認めてしまうことは珍しくありません。

電話で認めた発言は、どのくらい重く扱われるのか


録音されている前提で考えておく

 会話の当事者が相手に断らずに通話を録音することは、一般に違法とはされていません。そのため、相手がこちらの発言を録音している可能性は考えておく必要があります。録音が証拠としてどこまで使われるかについては、録音はどこまで証拠になるか|風俗トラブルでの残し方もあわせてご覧ください。

 一方で、録音は発言の一部だけを切り取って示されることもあります。どのような流れの中で、どのような問いかけに対して出た言葉なのかは、後から説明できる余地があります。

民事の話し合いでは、ほかの事情とあわせて評価される

 店やキャストからの金銭請求をめぐる民事の場面では、電話での発言は証拠の一つになり得ますが、それだけで結論が決まるものではありません。裁判になった場合、裁判官は、提出された証拠や当事者の説明の全体を踏まえて事実を判断します(民事訴訟法247条)。発言の前後のやり取り、利用当日の記録、相手の言い分との整合性などとあわせて評価されることになります。

 また、請求そのものに根拠があるかどうかは別の問題です。仮に何らかの禁止行為があったとしても、店が一方的に決めた「罰金」や高額な請求に、そのまま応じなければならないとは限りません。

刑事手続では、本人の発言だけで有罪にはできない

 刑事手続では、本人に不利益な事実を認める内容の発言が、一定の要件のもとで証拠として扱われることがあります(刑事訴訟法322条1項)。電話の録音が捜査機関に提出されれば、取調べでその内容を前提に質問される場面も考えられます。

 ただし、憲法と刑事訴訟法は、本人の自白だけを唯一の証拠として有罪とすることを認めていません(憲法38条3項、刑事訴訟法319条2項)。電話で認めたという事情だけで、刑事上の責任が決まるわけではありません。

「謝った」と「事実を認めた」は同じではない

 電話口で出た言葉にも、受け取られ方にはいくつかの段階があります。後から整理する際の目安として、次のように分けて考えることができます。

電話での発言の例受け取られやすい意味後で説明しておきたい点
「すみません」「申し訳ない」謝罪の気持ち、その場を収めたい意図何について謝ったのか、事実を認めた趣旨かどうか
「はい」「そうかもしれません」問いかけへの同意どのような質問への返事だったか、誘導の有無
「本番をしました」など具体的な行為の承認事実の承認事実と合っているか、範囲が広すぎないか
「払います」「○万円用意します」支払いの約束金額や相手が特定されていたか、どのような状況での発言か


認めてしまった直後にしておくこと


  1. 電話を切ったらすぐに、通話の日時、相手の番号、相手の名乗り、相手が言ったこと、自分が答えたことを、できるだけ言葉どおりに書き出します。
  2. 着信履歴の画面を、日時と番号が分かる形で保存します。ショートメッセージや留守番電話も削除せずに残します。
  3. 利用当日の予約画面、支払いの記録、入室と退室の時刻など、当日の経過が分かる資料を手元にまとめます。
  4. 訂正や弁解のために、自分から折り返しの電話をかけることは控えます。
  5. キャスト本人や店に、自分から直接連絡を取ることも控えます。


折り返して訂正しようとしない方がよい理由

 「さっきのは違う」と伝えたい気持ちは自然なものです。ただ、動揺が残ったまま折り返すと、新たな発言が加わり、最初の発言と食い違う部分が生まれやすくなります。説明が二転三転していると受け取られることは、後の交渉や捜査の場面で不利に働くおそれがあります。

 訂正したい点があるなら、まず書き出して整理し、弁護士を通じて伝える方が、説明の一貫性を保ちやすくなります。すでに自分から連絡を重ねてしまった場合の考え方は、【風俗トラブル】弁護士に頼む前に自分で連絡してしまった|その後の交渉への影響で解説しています。

 また、キャスト本人への直接の連絡は、事件の当事者に働きかけたものと受け取られることがあり、慎重に考える必要があります。

電話で金額を約束してしまった場合

 契約は、原則として書面がなくても、申込みと承諾が合致すれば成立します(民法522条)。そのため、電話で「払います」と答えたことが、後で支払いの合意として主張される可能性はあります。

 もっとも、金額や支払いの相手、何に対する支払いなのかが曖昧なままであれば、合意の成立や内容を争う余地が残ります。また、相手から強く脅されて恐怖を感じた状態で約束した場合には、その意思表示を取り消せることがあります(民法96条1項)。支払期限を告げられている場合でも、期限までに払うかどうかを一人で決めず、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

次にかかってきた電話への向き合い方

 知らない番号からの電話に、出なければならない義務はありません。ただ、出ないまま着信が続くと、不安が長引くうえ、相手が別の手段で連絡してくることもあります。折り返す前に決めておきたいことは、【風俗トラブル】帰宅途中に店から着信が続いている|折り返す前に決めておくことで詳しく整理しています。

 電話に出る場合は、次の点を意識しておくと、同じことを繰り返さずに済みます。

  • 相手の氏名、所属、連絡の目的を最初に確認します。
  • 事実関係を尋ねられても、その場では答えず、弁護士を通じて回答すると伝えます。
  • 金額や支払方法、待ち合わせの日時は、その場で決めないようにします。
  • 通話の内容は、自分でも録音しておくことを検討します。


警察を名乗る電話だった場合

 警察を名乗る電話であれば、相手の所属と氏名を聞いたうえで、いったん電話を切り、その警察署の代表番号にかけ直して本人確認をする方法があります。警察から事情を聴きたいと言われた場合、任意の出頭であれば日程を調整できることが多く、取調べでは言いたくないことを言わない権利が保障されています(刑事訴訟法198条2項)。

 電話で認めてしまった内容があるなら、取調べでその点を確認されることも考えておく必要があります。出頭する前に弁護士に相談する意味については、【刑事事件】警察から電話が来た段階で弁護士に相談する意味をご覧ください。取調べでの供述が調書になる場面の注意点は、「認める調書」を作られないために|風俗トラブルの取調べ対応の注意点で解説しています。

実際の出来事によって、その後の組み立ては変わる


認めた内容が事実と違う場合

 電話で認めた内容が事実と違うのであれば、なぜそのように答えてしまったのかを、通話の流れとともに説明できるよう整理しておくことが大切です。突然の電話で動揺していた、問いかけが一方的だった、早く終わらせたかったといった事情は、発言を評価するうえで意味を持ちます。

 あわせて、利用当日の出来事を時系列で書き出し、作成した日付が分かる形で保存しておきます。否定する際の考え方は、【風俗トラブル】本番はしていないのに「した」と言われたら、何をもって否定すればいい?もあわせてご覧ください。

認めた内容に事実が含まれている場合

 実際に禁止された行為があった場合でも、電話で認めたことだけで先の展開が決まるわけではありません。大切なのは、認めている事実と、争う余地のある点を分けて考えることです。行為の態様、相手の同意の有無についての認識、請求額の根拠などは、事実を認めることとは別に検討できます。

 事実がある場合には、弁護士を通じて謝罪と示談の申入れを検討することも一つの選択肢です。示談が成立していることは、捜査機関が起訴するかどうかを判断する際に考慮される事情の一つになります(刑事訴訟法248条)。

弁護士に相談すると何が変わるか

 弁護士にご依頼いただいた後は、店や相手方からの連絡の窓口を弁護士に一本化できます。知らない番号からの電話に、その都度一人で対応する必要がなくなります。

 また、電話でどのような発言をしてしまったのかを弁護士と一緒に整理し、どの点を説明し、どの点を争うのかを方針として決めておくことができます。相手が誰なのか分からない場合や、警察に相談したと告げられている場合にも、状況に応じて確認の方法を検討します。

まとめ


  • 電話で認めるようなことを言ってしまっても、それだけで請求に応じる義務や刑事上の責任が確定するわけではありません。
  • 相手が通話を録音している可能性を前提に、その後の発言を慎重にすることが大切です。
  • 電話を切った直後に、通話の内容と着信履歴を記録として残しておきます。
  • 訂正や弁解のための折り返し、キャスト本人への直接の連絡は控えた方がよいと考えられます。
  • 金額の約束をしてしまった場合も、期限までに一人で判断せず、まずはご相談ください。


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 電話で一度口にしてしまった言葉は取り消せませんが、その後の対応は今から整えることができます。発言の内容を記録に残し、次の連絡を一人で受け止めずに済む形を作っておくことが、落ち着いて事実を説明するための土台になります。

同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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