【腹筋トレーニングの新説】腹筋は、”伸ばして”鍛えよう!
こんにちは、
姿勢トレーナーの八巻です。
今回は、慢性的な腰痛にお悩みの方と、
ヒップアップをしたい方それぞれに
参考にしていただけるであろう、姿勢づくりのお話です。
腰の痛みとお尻の形。
そこには、姿勢を通じて密接な関係があるのです。
腰痛に悩む人がよく陥る姿勢”反り腰”はどうして起こる?
最近、コラムで姿勢のお話をさせていただいていることで、
反り腰についてのご相談を多くいただきます。
反り腰とは、そもそも何なのかと言うと、
腰椎が過剰に前弯してしまっている状態の事です。
おへその辺りが前に出て、
逆にお尻は後ろに出たような姿勢になる(俗に言う”出っ尻”)
そんな姿勢ですね。
これで腰椎周辺の筋肉が過緊張したり、
背骨の後側が詰まったりしてコリや痛みにつながる訳です。
反り腰の原因は、”胸椎の後方崩れ落ち”
反り腰のメカニズムを説明するとこうです。
座っているとだんだん胸が下がって背中が丸くなりますよね?
胸郭(肋骨のかご)が後下方へ縮んで沈みます(左上の矢印)
胸郭と共に、接している胸椎も後下方へ落ちます。
胸椎が後下方へ崩れ落ちる事で、この反り腰姿勢が生まれます。
体が崩れてつぶれるので、腰椎は詰まると言いますか、
胸椎と腰椎の境目位のところで背骨が「折れる」ような状態になります。
反っていると言うよりは、「折れている」訳です。
”ペルヴィック・ティルト”を間違うと、
反り腰を自らつくる事に!
自然にこうなっている人も多いですが、
ヨガなどのエクササイズやバレエなどをする事で反り腰をつくっている人も多いようです。
それは、体の使い方・動かし方を間違って認識している為に起こってしまうのです。
「ペルヴィック・ティルト」という、骨盤を前傾後傾させるエクササイズがあります。
このエクササイズ自体は否定するものでは無いのですが、
これを上記の「胸椎後方崩れ落ち」のままで特に前傾を行うと、
反り腰がより強くなります。
ペルヴィック・ティルトをする際は、
その前に崩れ落ちた胸椎を元に戻してからにすれば問題ありません。
このように、体を上へ引き上げて元に戻します。
胸郭を骨盤から遠ざけるように上へ引き上げるんですね。
下腹やお尻の上くらいまでストレッチ感が伝わる位伸ばします。
反り腰の場合は、ここから後ろをさらに引き伸ばすようにして屈んでいくと
「後方崩れ落ち」したところも引き上がっていきます。
(もちろん座ってやってもOKです)
”後方崩れ落ち”を改善すると、ヒップアップも楽になる!
上記の「引き伸ばし」をすると、
骨盤も上へ引っ張られ、自然に起きて立ってくれます。
広背筋からつながる筋膜が骨盤の後側にある
「仙骨」を引っ張り上げるような形になるので、
お尻の位置自体が上がります。
反り腰の大きな原因である、「胸椎の後方崩れ落ち」を改善すると、
お尻の位置や向きも一緒に改善してくれるのです。
”お尻の穴を締める”エクササイズは、逆効果です!
最近、憂慮している事があります。
美人インストラクターと言われる類の人が多く提唱している、
ヒップアップに関するトレーニング。
そこでよく言っているのが、「お尻の穴を締めるように」と
ヒップまわりの筋肉を鍛える事を目的としたエクササイズ。
これははっきり言って、ヒップアップには全く役に立ちません!
(タレントさんなどを使って、「この人はこのトレーニングで美尻になりました!」と言っていますが、見る限りそのタレントさんは元々姿勢が良く、そこに程よく筋肉がついたからキレイに見える。姿勢の悪い人には効果はあまり出ないと思います)
お尻の筋肉の使い方を間違えないように!
下手すると、坐骨神経痛の素をつくってしまいますよ!
骨盤後部の筋肉の図です。
左の大きな筋肉が「大臀筋」というお尻の筋肉です。
ヒップアップの為にもし筋肉を鍛えるなら、
この大臀筋を斜め上の方向に収縮させるといいです。
大臀筋の上部は前述の「仙骨」についていますので、
仙骨が先に行った引き伸ばしで上へ上がれば、
自然に大臀筋も上への伸ばしが伴います。
この状態で使ってあげる事が、お尻の筋肉にとってはベストです。
しかし、先ほど言った「お尻を締める」ようなエクササイズをすると、
大臀筋は逆に斜め下の方向への収縮になります。
骨盤は逆に後傾させる方向への収縮になります。
(仙骨を下へ引っ張る方向への収縮になります)
さらに、その力を入れる事で、
「外旋筋群」と言われるお尻のインナーマッスルが収縮します(赤丸)。
これが硬くなると「お尻コリ」が起こります。
ここが硬くなって近くを通る脚の神経を圧迫し、
「梨状筋症候群」や「坐骨神経痛」へとつながるケースもあります。
上述のイントラさん達は、おそらくここまでの知識は持ち合わせていないでしょうし、
「何かお尻の筋肉使っている気がする!」くらいの感じでやっているのだと思いますが・・
筋肉は、ただ鍛えればいいのではありません!
どう使うか・どういうコンディション下で使うか。
それが大事なのです。
それをやらずしての筋トレは、逆に体を壊す可能性もあります。
今日は、反り腰とヒップアップに必要な姿勢のお話をしました。
一見別の問題だと思いがちな両者ですが、
根本の問題は一緒だという事がおわかり頂けたのではないでしょうか?
是非参考にしていただければと思います。
おまけ:ヒップアップの姿勢をつくる、調整エクササイズです。
ヒップアップのための調整エクササイズを動画でご紹介いたします。
ただ筋肉をつけるのではなく、
ヒップアップに必要なツボをおさえたエクササイズです。
こちらもやってみてください。
(腰痛の方、やると腰が痛くなる方はやらないようにしてください)