マナーうんちく話2275《人生が好転する?!美しい食べ方のすすめ》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:日常生活におけるマナー

突然ですが「二十日正月」をご存じでしょうか?

最近では耳にしたり口にしたりすることはなくなりましたが、日本には正月の祝い収めの日である1月20日の「二十日正月」があります。

正月飾りなども、この日のうちに全て片付け終えて、締めくくります。

また正月には一匹丸ごとの鰤や鮭などの魚料理を食べますが、その骨までを食べつくしてしまうので「骨正月」とも呼ばれます。
それぞれの風習にちなみ「麦正月」とか「頭正月」と呼ぶ地域もあります。

正月のご馳走はすべて食べてしまうという、実りや収穫に感謝する思いが込められたしきたりと言えるでしょう。


物が豊かになると同時に、国際化やIT化が急激に進展するにつれ、日本の素晴らしい文化が影を潜めていくのはもったいない限りです。

なかでも、現在の「食事の在り方」はお世辞にも褒められたものではありません。

日本の和食はユネスコの無形遺産にも登録された素晴らしい文化です。
また現在の日本は、ミシエランガイドの星の数も世界一であり、さらに食のジャンルもとても多彩で、とにかく食べることに関しては世界でも大変恵まれた国と言えるでしょう。

でもせっかく食べるのであれば、単に楽しく、美味しく戴くのではなく、美しく頂きたいものですね。

そこで「美しい食べ方」のポイントをいくつか挙げてみます。
難しいことではありません、意識していただくだけで格段に美しい食べ方になると思います。

ホテル業界でフレンチレストラン、バンケット、ブライダルの仕事を通じ、数えきれないくらいのお客様の食事の様子を拝見し、思うところをしたためてみました。
是非参考にして下さい。

●感謝の気持ちを持つ
美味しい食事を楽しむことは、当たり前の事ではありません。
生産する人、流通する人、料理を作る人、サービスを提供する人などなど、多くの人の手がかかっています。先ずは多くの人のお陰でご馳走にありつけることへの感謝の気持ちを持ってください。これだけで所作が大きく変わってくるでしょう。
日本には、世界でも大変ユニークな「頂きます」という食前の感謝の言葉があります。「食材の命」に感謝する、日本独特の美しい文化です。

●美しい姿勢を心がける
和食も洋食も、はたから見て食べ方が美しい人は、例外なく姿勢が良いと感じますが、良い姿勢は急には無理です。
日頃から心がけて下さい。
椅子には深く腰掛けて、背もたれは、あってないモノと心得て下さい。
おなかとテーブルの間は握りこぶし一つか、せいぜい二つまでで、両足はしっかり床に付けます。くれぐれも足を組んだりしないで下さいね。
逆に姿勢が悪ければ、どんなにフォークナイフや箸を上手に扱っても、全体的評価は下がると思います。特に高齢になれば誤嚥性肺炎のリスクも生じてきます。
また髪の長い女性の場合、食事をするときには、なるべく髪を纏めて下さい。

●一回一動作のすすめ
食事をするときは食事に集中してください。
スマホ見ながらの食事、新聞読みながらの食事などは感心しません。
「…しながら食」は時間の有効利用という捉え方もありますが、古今東西「生きることは食べること」であり、食べるという行為はとても神聖な行為だと思います。
食べるために働くわけですから・・・。
言い方を変えれば、食べるという行為は人生の質を左右する文化的行為ともいえます。さらに健康管理能力を促進する大事な行為でもあるわけです。
現に世界のほとんどの国には食べるという行為は神聖な行為であると捉え、それを尊ぶ食習慣があります。形は異なりますが、日本の箸食や手食文化はその典型的なものだと考えます。
食べる時には食べることに集中するということです。

●とにかく美味しそうに食べて下さい⇒食べることを好きになって下さい
食材の生産者、料理を作る人・サービスを提供する人などにとって、食事をおいしそうに食べてくれる人をみると、とても嬉しい気分になります。
朝食や夕食を作るお母さんが、自分の作った料理を、家族がおいしそうに食べてくれる姿を見ればハッピーな気分になるでしょう。
大げさなくらい、美味しいという表情を身体全体で表現して下さい。
また、長い人生で、食事を楽しむという姿勢はとても大切です。
ちなみに食事は味覚を始め、視覚、触覚、聴覚、臭覚など五感全体で楽しむものです。

●動作はゆっくりと
せかせか食べないことです。
味わいながら、ゆっくり、よく噛んで食べる癖をつけて下さいね。
ちなみに日本の箸は3手ですが、これにはそれなりの理由があります。
ひとつ一つの動作に心を込めゆっくり行うことで、次の動作がスムーズになり、ひいては咀嚼回数を高める効果があります。
日本独特の美しい所作です。

●一口サイズ+音が静か
概ね口に入れる食べ物は1寸(約3センチ)くらいを目安にします。
そうすることにより、口の汚れも最小限に抑えられます。また会話もスムーズになります。早食い防止にもつながり咀嚼回数も増えます。
食器の扱いも自然に丁寧になると同時に、動作がスロウになり、さらに不要な音を立てなくなります。「くちゃくちゃ音」がしないというわけです。

●マナーへの配慮
周囲への細かな配慮、食器の扱い、箸・フォークナイフの美しい持ち方等も大事です。
さらに周囲と食事のスピードを合わせることも大事にして下さいね。
自分らしく、自分の好きなように気楽に食べればいいという意見もありますが、会食時のテーブルマナーの世界では、それは通じないと思います。

●その他
食事をきれいにするためには、食材の背景や旬の恵み、さらに食文化への理解は、とても大切なことです。
加えて、今口にしている食べ物や飲み物が、どんなものであるかは最低限把握したいものです。

また何十年も洋食・和食のテーブルマナーに関わってきて痛感することは、日本人の食べ方はお世辞にも美しいとは言えないということです。

また飽食の国、美食の国になった日本人が、最も考慮しないといけないことは、世界の飢餓を共有することではないでしょうか。
それにより食品廃棄物もかなり減ると考えます。
勿論精神論だけでは無理ですが・・・。

●終わりを美しく
「テーブルマナー講座」ではいつもお話しすることですが、テーブルマナーといえば、食べ方ばかりがきになりがちですが、実は食事が終わった後の食卓の前には、その人の品格が出るものです。
食べ終わりの状態を美しくしてください。
特に和食の場合は、使用した箸は箸袋に戻すとともに、元の位置にきれいに並べておくだけでもかなりよくなります。
さらに蓋のある器は元通りに蓋をするとか、食べ残しをきれいにまとめるとか、しなければいけないことが多々あります。
「立つ鳥跡を濁さず」です。


終わりに《食べ方はその人の評価に直結する!常に意識することが大切》

生きていく上で必要不可欠なのが飲食ですが、この行為は、意外に人に見られているものです。
意識しないことが多いのですが、自分の食べる姿が他人にどのように見られているのかを心にとめて下さいね。

現在ではほとんどなくなりましたが、つい数十年前までは結婚の際、結納の儀や両家初顔合わせなどがあり、初めての人同士が、食事を伴にする機会が結構ありました。
「お里が知れる」という言葉がありますが、食事をする姿を通して、その人の人となりを把握するためです。
私は今でも、これらの儀式は、とても理にかなっていると思います。

「素敵な人だな」と周囲から思われる人は、美しい食べ方を心得ています。
食事の仕方が美しい人は、それだけで思わず見とれてしまうほど魅力があるものです。
結婚式やホテルや料亭などの会食の席など、特別な宴席だけで意識するのではなく、普段から美しい食べ方を意識してください。

私は常に「家庭の食卓をきれいにして下さい」とお願いしています。
食卓が綺麗で、四季の花がさりげなく飾ってあれば、自然に食べ物に対する美意識を生まれ、きれいな食べ方を心がけるようになります。
くどいようですが、人は食べるために働くわけですから、食べるという行為を犠牲にして生まれるものは、何もないと思っています。

最後に食品をおいしく、人間らしく美しく食べるということは、バランスよく栄養が補給できるので、免疫機能の向上も期待できます。
加えて美しく食べることで得られる心理的満足感は、私たちの日頃の生活において、とても重要な役割を果たしているということをしっかり認識してください。

今年も目標の一つに「美しい食べ方」を加えてはいかがでしょうか。
古今東西「生きることは食べること」ですから、美しい食べ方は、素晴らしい人生に直結するというのが私の持論です。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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