マナーうんちく話342≪マナー美人⑨「旅館のマナー」≫
トマト、ナスビ、キュウリ、オクラなどより少し遅れますが、この時期になると「かぼちゃ」が収穫できるようになります。
私は毎年好んでカボチャを植えます。
スーパーで切り身のカボチャを購入し、食べてみて美味しければ、その種を蒔きます。他の野菜の様に手がかからないので助かります。
ところでまだ私が幼い頃には、夏になると土手にカボチャを植えているのをよく見かけたものです。
戦後間もない頃にはまだ日本は食料が十分ではありません。
だからこれを補うために、日当たりのいい斜面で太陽のエネルギーを効率良く吸収するのと、空間の有効利用も兼ねて土手でかぼちゃを作るわけです。
だから「土手カボチャ」と呼ばれたようですが、サツマイモとともに、戦争の面影が感じられる気がします。
ちなみにカボチャは「南瓜」と呼ばれます。
南からやってきたウリという意味ですが、江戸中期には「かぼちゃ」の名前で統一されたようです。
以前《マナーうんちく話》で、見栄をはって初鰹を食すために江戸の男性が蚊帳を質に入れた話をしましたが、カボチャやサツマイモは女性に好まれたようで、美味しいカボチャを食すために、当時の女性は「浴衣」を質に入れたとか・・・。
それにしても江戸時代の人は質屋が好きだったのですね・・・。
もっとも庶民が保証人もなく、手早く金を用意するには、質屋が一番身近だったのではと考えます。
さて和風月名では8月は「葉月」ですが、これは「葉落ち月」が語源です。
旧暦の8月は、今の9月上旬から10月上旬ですから、そろそろ落葉の季節になるわけですね。
また春や初夏を迎える時にはウキウキしますが、8月はめでたいことは避けたい気分になりそうです。
お盆と「戦争記念日」があるからです。
8月6日に広島、続いて9日には長崎に原爆が投下されています。
また8月15日は「戦争記念日」です。
終戦から77年経過しますが、8月はいまでも毎年感慨深い気持ちになります。
遠い過去の話にしてはいけませんね。
原爆が投下されて以来、日本は放射能や核兵器に非常に敏感になりましたが、最近原爆投下を、人道上の大変残虐な攻撃とした意識が薄れていく気がしてなりません。
さらに日本は世界でも唯一の戦争被爆国でありながら、今の日本では国防強化の議論の方が高まっていることも個人的には気になります。
国防強化には賛否両論あってしかりですが、ロシアのウクライナ侵攻などによる戦争不安が高まることは避けたいものですね。
今世界中がコロナというウイルスと戦っていますが、手ごわい相手で、思うようにはいきません。
こんな時こそ、改めて平和や戦争について考えてみるのもいいと思います。
戦争は教科書の中だけの世界ではありません。
日本は1945年に敗戦を迎えて以来、77年間戦争に無縁の国です。
つまり日本は1945年以来、戦闘で一人の戦死者も出していないということです。
終戦以来平和主義を貫いたおかげで、日本は世界が驚く経済発展を遂げ、栄養や衛生状態を改善し、健康寿命も平均寿命も世界のトップレベルにしました。
国連に加入している193か国の中でも、非常に珍しい状況で、世界に誇ることでしょう。
もともと長い歴史を有する日本は、平安時代は400年以上、江戸時代は250年以上政権が続いた国で、平和な社会背景のもと数多くの素晴らしい文化を築き上げた国です。
和の「礼儀作法」もしかりです。
戦争で明け暮れた国のマナーはどうしても危機管理的要素が強くなりますが、平和な社会から生まれた日本のマナーは、「他者への思いやり」が根源になっています。
この概念は世界平和にも貢献できると考えます。
改めて先人に感謝ですね。
ただしこの平和に慣れてしまい、平和が空気のようなものになってはいけません。
日本人が度重なる戦争で数百万人が亡くなり、空襲で24万人が亡くなっていることを忘れてはいけませんね。
常に戦争に対する危機感を持つことは大切です。
近年の世界情勢からすると、危機感を有することは、ごく自然の成り行きになりそうですね。
世界中の人に「平和を愛する心」を持ってほしいものです。
「世界中の人が一日一回素敵なマナーを発揮したら、世界中がもっと暮らしやすくなる」といった有名な喜劇役者の言葉が思い浮かびます。
8月の終戦記念日には明治・大正・昭和の時代に繰り返された戦争犠牲者に祈りを捧げ、今ある繁栄に感謝の思いを伝えたいものです。
現代を生きる私たちは、彼らが命を懸けて繋いでくれた日本という国で、豊かに生きていられることに感謝しなければいけないと思います。
加えて世界で2回も被爆した国として、世界中に対して原爆の恐ろしさを伝えていく義務があると思うのですが・・・。
口先だけでなく、その様な熱意と行動力がある人に国会議員になっていただきたいと願っています。
日本人は昔から自然や目に見えないものにも常に思いやりの心を発揮し、自然と共生し、さらに調和を愛する「和する心」を維持してきました。
各地で夏祭りが盛大に開催されていますが、お祭りに神輿を担ぐときに「ワッショイ・ワッショイ」と掛け声をかけます。
まさに「和を背負う」ということです。
ちなみに明治維新で活躍した人や、戦中を一生懸命生きてきた人は、一本筋が入っていて、長い月日をかけて育まれてきた日本人としての誇りや信念や心を受け継いでいたように思います。
いま世界屈指の長寿を実現し、平和を謳歌している私たちは、次世代にそれを紡いでいかなくてはいけません。
このことを1人1人が自覚するとともに、特に報道やマスメディアに登場するような人には、社会受けや忖度ばかりすることなく、いいことは良い、悪いことは悪いとはっきり言ってほしいと願います。
それにしても最近は、テレビや新聞からではなく、週刊誌やネットニースでないと知りえない情報が多くなってきましたね。