マナーうんちく話53≪接客の歴史と社会貢献≫
和食と洋食のテーブルマナーに30年以上関わっていますが、まさか「孤食」に続いて「黙食」という言葉が出てくるとは夢にも思いませんでした。
感染拡大防止策となれば仕方ないと思いますが・・・。
加えて「マスク会食」に「団扇会食」・・・。
新型コロナも一年も経験すれば、色々な知識やデータが得られたと思うのですが、その結果が「マスク会食」に「団扇会食」では、個人的には違和感を覚えます。
さらに、そんな中で政治家や官僚の豪華な会食や接待の報道には不快感が漂いますね。そもそも接待にせよ会食にせよ、高級レストランや料亭で官僚が民間の業者と食事を共にする必要があるのでしょうか?
仕事の打ち合わせなら職場でしょう。
ところで毎回報道によれば、「宴会」とは言わずに「会食」という表現をしていますが、「宴会」と「会食」、あるいは「接待」とどう違うのでしょうか・・・。
【会食】
人々が集ってともに食事をすることで、平たく言えば「食事会」です。
ちなみに「会」は顔を向かい合わせる意味です。
集まった人々が食事や会話をしながら、親睦を深める目的で、ビジネスシーンから冠婚葬祭まで幅広く行われています。
もちろん2人だけの食事でも会食になります。
さらに会食は色々な目的で行われますが、会食の目的によりドレスコードも変わりますのでご注意ください。
【宴会】
ある程度以上の人数で、飲食や会話を共にすることによって、お互いのコミュニケーションを深める行為で、新年会、歓迎会、送別会、忘年会などがあります。
わたしの頃もそうでしたが、学生や若者のグループでは「コンパ」とか「飲み会」とも言います。
今では企業社会の宴会の在り方がいろいろ話題になりますが、日本ではすでに平安時代に、貴族階級の間で儀式的な饗宴(客をもてなすための宴会)が行われていたようです。古い歴史があるということです。
【接待】
お茶や食事で客をもてなすことです。
ただし、もてなす方と、もてなしを受ける方が、必ずしも親しい間柄ばかりではありません。「接」は人と交わる意味で、「待」は待遇の意味があります。
主にビジネスシーンで取引先などをもてなすことが接待で、店員がお客様をもてなす場合は【接客】と表現します。
先人はお客様をもてなすときに、露骨に「一杯やりませんか?」というのではなく、相手のプライドを重んじ、また相手を教養人や紳士と見込んで「宴席を設けています」と遠回しな表現しました。
誘われる方は「宴席に連なる」となるわけで、とても丁寧な表現ですね。
そこまで立てて頂いたら、あとは潔い振る舞いをしたいものです。
「恥を知る」という言葉を大切にしていただきたいということです。
それにしても諸外国では、どんどんワクチン接種がいきわたり、明るい光が差し込んできているのに対し、日本では「マスク会食」「団扇会食」が推奨されたり、政治家や高級官僚の会食が話題になったりで、この差はどこから来るのでしょうか・・・。
そもそも今の日本は、なぜワクチンが桁違いに遅れているのか?
こんな大切なことがなぜ話題にならないのか不思議ですね?