マナーうんちく話1967《コロナ禍で有効!?挨拶の形としての「会釈・目礼・行き会いの礼」》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:日常生活におけるマナー

世界には多様な挨拶の形が存在します。
肩を抱き合ったり握手や口づけを交わしたり、それぞれ民族色豊かですが、いずれも親愛や敬意から生ずるもので、これが作法の基本でしょう。

多くは身体接触を伴うものが多いようですが、日本の場合はお辞儀が主流です。
ただお辞儀は大昔から存在していたのではなく、お辞儀が生まれる前は「柏手」でです。

いわゆる両手をたたく挨拶の動作で、現在では神前で神様を排する際の挨拶として受け継がれています。

ところでお辞儀には「立礼」と「座礼」がありますが、平安時代の初めころに確立されたようで、色々な基準が設けられていました。今では立礼は、45度くらい頭を下げる「最敬礼」、30度くらいの「敬礼」、15度くらいの「会釈」が一般的です。

座礼は会釈程度の軽いお辞儀の「指建礼」から、「折手礼」「拓手礼」「双手礼」「合手礼」があり、TPOに応じて使い分けます。

ちなみに日本のお辞儀は立礼や座礼とも神様・仏様に対しては最大限に頭を下げます。従って神事・仏事のときには深々と頭を下げて下さいね・・・。

お辞儀の際注意したい点は、頭を下げる角度によらず、頭、背筋、腰が一直線になるよう心掛けて下さい。

また親しい人とは顔を見ながら視線を合わせて話をするのが一般的で、「視線」という礼儀作法が存在します。
ただし相手が上位になればなるほど視線を落とすことが必要です。
目と胸の間、肩幅くらいを目安にすればいいでしょう。

そして顔みしりの人に、目で軽く挨拶する「目礼」があります。
コロナ禍で非接触、社会的距離の確保に加えて、マスク姿での挨拶となれば、何かと不自由ですが、視線を向けるだけで挨拶ができる「目礼」は便利がいいかも。

声が思うように出せない時。
身動きが取れない時。
相手が誰かと話しているとき。
相手が遠くにいる時。
声が出せない状況の時などなど。
以上のような時には、軽く頭を下げながら、目線を合わす「目礼」は便利です。

目礼の場合は、首を垂れて一礼したり、にこやかに頷いたりします。

ただ目礼の場合は、明るく元気な声がないわけで、しかもマスク姿ですから、相手が自分のことを確認できない恐れはあるかもしれませんね。ご注意ください。

また日本の礼法には「行き会いの礼」があります。
わたしも現役時代には職場のホテルでよく行っていましたが、廊下などで大切なお客様や上位の人が向こう側よりいらした場合には、数歩前で立ち止まり、廊下の端に控えて相手を待ち受け、近づいたら敬礼の挨拶をします。

そして相手が通り過ぎるまで控え、おもむろに歩き始めるわけですが、この際相手方は軽く会釈程度の浅いお辞儀をすることが多いです。

また互いに同等の立場であって、そんなに親しくない場合には、歩きながら会釈程度の挨拶をすればいいでしょう。

どこの国であれ、お国柄を表す「挨拶」の習慣は昔からありますが、いずれにせよ今のように、顔の半分くらいを覆ったマスク姿での挨拶は想定していません。

マスク姿の目礼は便利がいいものの、挨拶の目的の一つである「相手の所在の確認」ができない可能性も多々あるということです。

では、このような状況下でどのように挨拶をかわし、友好を深めるか?

いろいろと検討する必要があるかもしれませんね。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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