マナーうんちく話499≪習慣は第二の天性なり≫
3月は「花見月」とか「弥生」と表現されますが、「弥」にはますますという意味が含まれていますので、弥生とは草木がますます生い茂る月ということになります。
そして草木が芽吹いてくると、長い冬の間、土の中でうずくまっていた虫たちが、春の気配を察して地上に出てきます。
3月5日は二十四節気の一つ「啓蟄」です。
「啓」は開くという意味で、「蟄」は冬の間虫が土の中に閉じこもっているという意味があります。
春の陽気を感じて行動を開始するのは草木も虫も同じですね。
ただここでの「虫」は、現在よりはるかに広義な意味で使用されており、爬虫類も両生類も含まれます。
蛇やカエルも含まれるということですが、実際に蛇やカエルを見かけるのはまだまだ先になります。
また同じ虫でも、「虫が好かない」とか、「腹の虫がおさまらない」、あるいは「虫が知らせる」「虫の居所が悪い」「虫がいい」といいますが、昔の人は人の体の中にも感情をコントロールする虫が住んでいたと考えていたのでしょうかね。
古代中国の思想が影響しているという説もあります。
これから一雨ごとに温かくなり本格的な春を迎えるわけですが、寒くもなく、暑くもなく例年なら大変心地よい気候になります。
こうなってくると「春眠暁を覚えず」という言葉が浮かんできますね。
春の夜は短くて気持ちがいいので、夜が明けたのに気づかずに寝すぎてしまうという意味で使われています。
ところで朝寝坊して、遅刻したり打ち合わせに遅れたりした経験をお持ちの方も多いと思いますが、如何でしょうか・・・。
マナーの中でも「時間のマナー」はとても大切です。
では時間のマナーで特に大切なことは何でしょうか?
●相手を待たせない。
●相手をイライラさせない。
この2点に尽きると思います。
慌ただしい現代生活でも、スローライフの江戸時代においても同じです。
江戸しぐさにも有名な「時泥棒」があります。
約束の時間に遅れて相手の時間を奪うのは重罪に当たり、10両の罰金が科せられたとか・・・。
人やモノと同じくらい時間というものを大切にして、良好な関係を築こうとした江戸商人の心構えは素晴らしいですね。
ちなみに私は打ち合わせなどで、待ち合わせをするときには、ホテルのロビーや喫茶店、公民館などを利用しますが、相手が私より年長者であれ、若い人であれ、約束の15分から10分前には到着するように心がけています。
殆どの場合、私が先になるので、私が相手を待つ形になります。
「なぜそんな無駄なことを?」と思われるかもしれませんが、こうすることにより、相手が到着した瞬間、相手を笑顔で迎えることができ、不思議に温かい雰囲気が漂います。ゆとりも生じ、和やかな気分になります。
日本の挨拶は「先手必勝」といわれますが、先に挨拶を仕掛けると、その後の話が有利に展開するから先手必勝なのです。
待ち合わせの時間しかりです。
たとえ1分でも遅れて着いたら、開口一番遅れたことの謝罪からのスタートになり、重たい空気になってしまいます。また相手がいつ頃に来るか?で、おおよそ相手の人柄を知る材料にもなります。
時間はマナーの原点だと思ってください。