マナーうんちく話500≪継続は力なり、500回ありがとう!≫
雪が舞い散る頃ですが、冬空を明るく照らすイルミネーションには人の暖かさや地域の元気さが感じられます。
そしてこの時期は暦の上では「橘初黄」(たちばなはじめてきばむ)頃でもあります。
我が家の庭の金柑が早くも黄色く熟し始めましたが、金柑は中国が原産です。
一方、「橘」は数ある柑橘類の中でも唯一日本原産といわれ、古事記や日本書紀にも登場しているそうです。
常に薫り高く、緑の葉を絶やさないので当時はとても重宝されていたのでしょう。
「右近の橘・左近の桜」という言葉があります。
京都御所にも植えられていますが、ひな人形でおなじみですね。
いずれも桃と同様、魔除けや邪気を払う効果があるとされ、子どもの健やかな成長の象徴とされていたのでしょう。
花に蝶、梅に鶯、紅葉に鹿などのように、その組み合わせがいかにも日本人らしくとても好感が持てますね。
1960年代にヒットした「唐獅子牡丹」の曲があります。
「唐獅子」は《百獣の王》であり、「牡丹」は《百花の王》で最高の組み合わせといわれていますが、この唐獅子牡丹の歌い始めは「義理と人情を秤にかけりゃ・・・」です。
AI全盛の時代に「義理」とか「人情」と言えば、古臭いとか、時代にミスマッチとか思う人もいるかもしれませんね。
ところでマナーは良好な人間関係を築くうえで潤滑油になってくれますが、義理や人情は社会生活を送るうえでの潤滑油であり、何時の時代にもマナーと同様不可欠であると私は思っています。
ただ体制側にいいように利用されてきた側面もあるので、使い方が大切です。
ちなみに「義理」とは、社会において守り通さなければいけない道理で、カネや仕事の貸し借りの世界で情緒的側面を有していますが、歌にも詠まれているように「義理が廃れば闇」となり、日常の生活はとても味気ないようになるでしょう。
一方「人情」とは人としての情けであり、他者に対する思いやりです。
男と女、親と子、友人などにおける心情、つまり心の中の思いのことです。
長年生きてきて、それなりの年を重ねてきたわけですから、人の情けが十分わかる人間として精進を重ねていきたいものです。
以前このコラムでも触れましたが「和顔愛語」を大切にするのもお勧めです。
※「マナーうんちく話494《和顔愛語》」を参考にしてください。
また歌の世界では「義理と人情を秤にかけりゃ、義理が重たい男の世界・・・」とありますが、男社会であれ、女社会であれ、義理と人情を天秤にかけるのは難しいと思います。
しかし義理・人情深い人になるには、日頃から「約束はきちんと守る」「忘年会などの会合には前向きになる」「聞き上手になる」「褒め上手になる」「返礼を心がける」「迷惑かけたら埋め合わせを大切にする」「他者に対する配慮を大切にする」などを心がければいいでしょう。
マナー美人を目指せばいいということですね。
令和になっても政治の世界を始め、ビジネスの世界、さらにスポーツ界などでも不祥事が絶えることなく、品格、義理・人情、道理、道徳、和、慈愛、正義、誠実という言葉や価値観が失せてきた感があります。
加えていじめも相変わらずですが、それに対する学校側の対応には常識では考えられない報道が多々あった気がします。
改めて義理、人情、品格などという言葉や価値が復活してほしいですね・・・。