マナーうんちく話1880《低下し続ける日本人の礼節。なぜ?》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:マナーの心得

9月になると急に秋の気配が濃くなってきた感があります。

柿や栗の実もかなり大きくなり、至る所で赤トンボを見ることができますが、山田耕作作曲の童謡「赤とんぼ」を思い浮かべたり、幼い頃の故郷の情景を思い浮かべる人も多いでしょう。

それもそのはず、三木露風は赤トンブの飛んでいる風景を見て、故郷を思い浮かべて作詞したといわれています。

しかし今の音楽はとてもテンポが速くなり、赤トンボに限らず情緒ある童謡をあまり聞く機会が少なくなった気がしますがいかがでしょうか。

時代の流れと言ってしまえばそれまでですが、私のような年代のものにとっては寂しい気がします。

寂しい思いをすることは何も音楽ばかりではありません。
最近日本人の《礼節》が極端に低下していると痛感しています。

繰り返し行われている様々な「お詫び会見」しかりです。
うんざりすることばかりのように思えてなりません。

テレビで会見を開くような人は例外なく知名度が高く、社会に与える影響が大きい人ですが、あの会見を聞いている限りでは潔さがみじんも感じられませんね。

それに一様にセコイ気がしてなりません。

加えて料理番組におけるコメンテーターの箸使いや器の扱い方にも、気配りしていただきたいと感じるシーンが多々あります。
もちろん美しい所作に美しい言葉遣いの人も多いことも確かですが・・・。

便利で豊かになった反面、礼節が低下したと感じますがいかがでしょうか?

その理由はいろいろ考えられます。
マナーは法律ではありませんから違反しても罰則規定はありません。

加えてどれが正しい、どれが悪いとも一概には言えません。
なぜなら、ある行動がいいか悪いかは、相手がどのように感じるかで、感じ方は様々だからです。

あえて礼儀が低下した理由を挙げると以下のような項目が浮かんできます。

〇国際化の進展。
マナーは思いやり、感謝、尊敬の気持ちを抱き、それを言葉・態度・表情・文章等で表現することですが、表現の仕方は国々の文化、気候風土、国民性、食べ物、宗教、歴史などにより異なります。

箸で食べる国もあれば手で食べる国もあります。
また電車が止まったら日本では、降りる人が優先でそれから乗りますが、止まると同時に我先に乗るのが普通という国もあります。

〇IT化の促進
近年電子通信機器の発展は目覚ましいものがあり、計り知れないくらいの恩恵をもたらしています。
しかし何もかも無機質になり、人と人とが直接触れ合う機会が無くなりました。

大変便利ですが、コンピューターに頼りすぎ、血の通った人と人との交流が苦手な人が増えてきたのも事実でしょう。

〇世代間の違い。
今は便利で物が豊かになったせいで、権利を主張し、自分らしさや個性に重きが置かれるようになりましたが、反面他者に対する配慮が乏しくなったようです。

私のような年配者は、まだ物が貧しく物質的には不自由な暮らしを経験しましたが、常に自分を律し、他者に迷惑をかけないように暮らしてきた感があります。だから箸使いにも細心の注意を払ったわけですが、今は何でもありになりました。

職場でも厳しく叱られて当然の時代でしたが、今ではセクハラ・パワハラが問われます。果たしてどちらが本当に幸せか?

日本は物が豊かで便利ですが世界幸福度ランキングは58位くらいでしょう。考えらされる数字です。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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