マナーうんちく話499≪習慣は第二の天性なり≫
日本は国土の7割以上を山林が占め、稲作を中心とした農耕文化でさえた国で、農業を大きく左右する自然と共生してきた国です。
さらに国家としては世界屈指の長い歴史を有しています。
特定の年代に付けられる称号「元号」しかりです。
元号は現在では日本だけで使用されていますが、その始まりは645年の「大化」で、以来長い歴史の中で数多くの元号が生まれ、今の「平成」に至るまで実に247個存在します。
そして国民の多くが神道や仏教を信仰しています。
このように長い歴史を有する国だけあって、日本人が昔から守り、伝え続けてきた多くの「しきたり」が存在する国でもあります。
例えば神道や仏教には無縁の人や、宗教そのものを敬遠している人でも、知人友人の葬儀には黒色の略礼服を着用するでしょう。
また入学式やお祝い事で鯛や赤飯をご馳走になることは多々あると思います。
日本においてこのような日常生活や、ビジネスシーンで繰り広げられる様々な習慣や行事の多くは、実は仏教や神道等のなどのしきたりに基づいているものが多いのが現状です。
ではしきたりとはなんでしょう。
日本のしきたりの歴史は、具体的には何年前からと特定することは不可能ですが、恐らく人がそこに住み着いたときから自然に生まれたと思います。
日本は自然がとても豊かですが、昔の人は自然そのものに多くの神様が宿っていると考えたようですね。
いわゆる特定の教祖の存在ではなく自然信仰は、狩猟生活から、自然の恩恵を大きく受ける農耕文化が根付いたころに生まれたものでしょう。
今のように科学万能ではなく、自然に成り行き任せの農業は、自然に宿る神様次第だったと思われます。
だから自然の神様に五穀豊穣を祈ることが、生きていく上で必要不可欠だったわけですね。
祈ることで豊作になれば、次に神様に感謝することが必要になります。
お願いや感謝することが日常で繰り返されるようになれば、それがやがて「しきたり」として次世代に伝えられ、今日に至るわけです。
つまり「しきたり」とは神様や仏様、さらに自然やご先祖様に祈り感謝することを形にして後世に伝えたものといえます。
礼儀作法とは「思いやり」や「尊敬」や「感謝」の気持ちを抱き、それを具体的に言葉ら態度や文章で伝えることですが、自然に畏敬の念を抱き、それを行事として伝えたわけですね。
しきたりはまさに日本人が長い・長い歴史の中で培ってきた「生活の知恵」そのものと言えるでしょう。
国際化の名のもとに、日本古来の多くの文化がおきざれにされていく感がありますが、いまだに日本人の生活の中に根付いているものも多々あります。
ここではその「しきたり」の由来や、先人がそこに込めた思いを改めて思い起こすことで、日本人の豊かな人生観に触れ、「令和」という新しい時代の原動力にしていただければと思います。
多少今までのコラムと重複することもあると思いますが、復習の意味も込めて是非お付き合いください。
心が豊かになります。