マナーうんちく話1760《[七五三」!昔は子どもは「神の子」だった。それが今では・・・》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:マナーの心得

秋の深まりと同時に木々の葉が美しく色づき、鮮やかな紅葉が姿を現し始めました。
ちなみに日本の紅葉は世界屈指の美しさだといわれていますが、紅葉が錦のように綺麗になる秋のことを「錦秋」と表現します。

美しい秋にはそれにふさわしい言葉がお似合いですが、「錦秋」や「紅葉前線」や「紅葉狩り」のような言葉があるのも日本の秋の特徴でしょうか。

ただしその期間は儚いくらい短いので、今のうちに目や心にしっかり焼き付けておきたいものです。

その美しい言葉や景色とは裏腹に、物質的な豊かさを誇り、美しい四季に恵まれた日本で、最近メディアで頻繁に取り上げられるのが子どもの「いじめ」「虐待」「それによる自殺」などの痛ましいニュースです。

加えて昔には存在しなかったゆゆしき言葉にも胸が締め付けられる思いです。

子供に食事を与えない、子供が病気になっても医者に連れて行かない、家にとじこめておくなどの「ネグレクト」です。

さらに6人から7人に1人の割合といわれる「子供の貧困」も深刻な問題ですね。
ちなみに、なぜ物が豊かな日本で、子供の貧困が存在するのか?不思議に思われる方も多いと思いますが、それは貧困の基準がその人が生活している国や地域や時代により異なるからです。

では日本の国は、子どもが住みづらい国かといえば決してそうではありません。

江戸末期に日本を訪れた外国人の多くは、大人が子どもと大変大切に接している姿に驚いたそうです。

背中に背負ったり、抱いたり、手を繋いで子供のペースに合わせて歩いたりする姿を見て、日本を「子供の楽園」「子供の天国」などと表現しています。

また日本の年中行事は世界一多いといわれますが、その中には子供の成長を祝う行事が沢山あります。

「帯祝い」「出産祝い」「お宮参り」「お喰い始め」「七五三」「入園及び入学祝」などなどです。

いずれも子どもの無事を祝うとともに感謝し、今後の健やかな成長を祈念する行事です。

そして11月15日は「七五三」です。
日本は奇数が上位で縁起がいいとされているので、3歳、5歳、7歳の子ども節目の年齢に祝います。

今でこそ日本は物が豊かで栄養もしっかりとれ、病気になっても最新の治療が受けられますが、医療技術が乏しく、物が貧しかった時代は、抵抗力のない子どもが病気になったら大変です。
栄養失調も心配です。

だから当時は、多くの子どもが7歳までに亡くなります。従って今の戸籍のようなものですが、お寺の人別帳にも小さな子どもは登録されません。

その子どもが一人前に成長するか?どうか?は神のみが知るところだからです。
子どもは7歳までは「神の子」として育てられたわけです。
もちろんそこにはいじめや虐待はなかったことでしょう。

もし親が先に亡くなれば、地域の人がみんなその子に対して「わが子」のように接し、みんなで子どもを一人前に育てました。「親はなくても子は育つ」といわれる所以です。
当然、子どもが自ら命を絶つ「自殺」も存在しなかったことでしょう。

今の日本は15歳から34歳までの若者の死因の1位は自殺です。
先進国でワースト1位だそうです。実に恥ずかしい現状ですね。

15歳未満の子が自殺するケースも珍しくなくなっています。
子どもは「風の子」という言葉も聞かなくなりました。

現在の七五三はいろいろな面で豪華さを競う面が多々ありますが、豊かな国における子どもの貧困、いじめ、虐待なども踏まえて、子どもの育て方を真剣に考えなければいけませんね。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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