マナーうんちく話509≪「女しぐさ」と「男しぐさ」≫
11月は霜が降り始める月を表す「霜月」といいますが、様々な行事が盛大に執り行われる月でもあります。
「文化の日」を始め「七五三」、さらに今では勤労感謝という名の国民の祝日になっていますが「新嘗祭」もそうです。
加えてこの時期出雲地方で執り行われる様々な神事も、日本が世界に誇る「おもてなし」の源流をくんでいる行事です。
日本はもともと四季が豊かで、国家としては世界屈指の長い歴史を誇り、多くの年中行事を有する国です。
国際化の波を受け欧米の文化も沢山根付いていますが、日本古来の伝統行事も沢山あり、これらの由来や意義を正しく理解することが大切だと考えます。
ところで日本は多くの国民が仏教徒であり、神道を信仰しています。
仏教も神道も多神教ですから、他国の文化も否定することなく、おおらかな気持ちで受け入れます。
だから欧米文化がすっかり浸透しているわけですが、有益性や実用性、さらにその文化に共感して受け入れたというより商業主義的に広められたものも多く存在します。
例えば「バレンタインデー」「クリスマス」「キリスト教式結婚式」「ハロウィン」の行事などでしょう。
もちろんこれにより経済が活性化し国民が豊かになれば、これらを否定する理由はありませんが、その一方で日本の伝統的行事の影が薄れていくのは寂しい気持ちがあります。
古来、日本には「冠婚葬祭」といわれる4大儀式があり、中でも婚礼と葬儀は最も厳粛な儀式とされました。
加えて世界屈指の数を誇る日本の年中行事も日常生活を豊かに彩っています。
このような礼式やしきたりを単なる風習として、あるいは虚礼として忘れ去るわけにはまいりません。
それらの一つ一つには非常に豊かな意味と内容が含まれているからです。
また、それらを商業目的でのみ巧みに利用するのではなく、人と人との暖かい交わりや生活の知恵として受け止めるべきだと思います。
そのためには、先人から受け継いできた日本人の大切な宝で、代えがたい貴重な文化だとの認識が必要でしょう。
最近超高齢化と少子化はとどまることを知りません
核家族化や過疎化はどんどん進展しており、孤独死・孤立死・無縁仏・無縁社会などというキーワードが出現しました。
家族や地域の絆がすっかり希薄化したということです。
至る所で「絆づくり」という声はよく聞きますが、言葉だけが踊っているようなきがしてなりません。
こうした傾向が強い今だからこそ、社会生活の中に脈々と伝わっている「風習」や「しきたり」の意味を改めて見直し、暮らしの知恵を深め、人付き合いのコツを身につけ、次世代に伝えていくことが大切ではないでしょうか。
ちなみに「風習」とは一定の地域や国で長く伝承された習慣で「ならわし」とも表現され、地理的条件や歴史的条件で形成されます。
「しきたり」はその風習を色濃く特徴づける、その地域独特のルールのことです。
確かに保守的で虚礼じみた側面もあるかもしれませんが、正しく理解すれば役に立つことが多いと思います。