マナーうんちく話1524《美人は本当に薄命なの?》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:マナーの心得

只今二十四節気の「白露の頃」ですが、露に濡れて香り立つ草木からも、深まりゆく秋の気配が感じられます。

秋の語源の一つになっていますが、秋は空気が澄み、すべてが明らかになる時節ですから、お月様も大変美しく見えます。
白露は、このお月様が夜に間にこぼした雫(しずく)だから「月の雫」とも呼ばれます。

また早朝に散歩している人は気が付かれていると思いますが、この朝露を受けてひっそりと咲き始める花があります。
「露草」です。
朝咲いて昼にはしぼんでしまう儚い花ですが、昔は染め物の原料にもなりました。

露は儚いものの代表格のようでしたが、理屈抜きで儚いものは美しいですね。
そして儚いからこそ、その一瞬を目にして焼き付けたくなるのかもしれませんね。
大空に大輪の花を咲かす「打ち上げ花火」はその典型でしょう。

そして「月下美人」があります。

花が咲くまで3年かかるといわれますが、咲いたと思ったら数時間でしぼむ。
しかも一年に一度、満月か新月にしか咲かないという説もあるようです。
だからいろいろな花言葉がついています。
「儚い美」や「儚い恋」、さらに「ただ一度だけ会いたくて」などいずれもロマンが漂う花言葉です。

濃厚な香りとともに美しく咲いたと思うと、朝になるとしぼんでしまう。
まさに「美人薄命」という言葉がお似合いですね。

ところで本当に美人は薄命でしょうか?
美しい人が短命なら、これは本当に残念なことだと思います。

美人薄命は1000年位前に活躍した中国の詩人蘇軾(そしょく)の「佳人薄命」がもとになっているといわれていますが、いろいろな意味で使用されています。

容姿が美しい人は短命だったり、不幸なことが多いというのが一般的ですが、美人は男の命を短くするという意味もあるようです。
さらに、美人、美人と言ってほめたたえられる時間は短いと言う意味でも使用されます。

美人の基準は古今東西一定ではありません。
また言葉も時代とともに大きく変わります。

月下美人は江戸時代に日本に伝わったそうですが、江戸時代の諺に「立てばシャクヤク 座ればボタン 歩く姿はユリの花」があります。

当時、着物を着た女性が畳の上で見せる、凛とした美しい立ち居振る舞いを表現した言葉ですが、この美しさは欧米のセレブでもむりでしょう。
だから、いつまでも日本人の心に生き続けて頂きたい言葉です。

日本は世界屈指の長寿国になりました。
特に日本人女性の平均寿命はここ四半世紀常にトップクラスです。

さらにスタイルもよく、教養を積んだ女性が多く、美人が増えたと思うわけです。
それでいて、100歳まで生きている女性は全国には約6万人存在しています。

これからも身も心も美しく生きて「美人薄命」から「美人長命」になってほしいものですね

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

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