マナーうんちく話269≪顧客満足より従業員満足≫
第2章【他者のケアから「セルフケア」へ。セルフケアの重要性とそのスキル】
接客や接遇、あるいは看護や介護研修の依頼を受けるときは、そのほとんどがお客様や要介護者様、患者様に対してです。
本当は自分自身に対するケアの大切さを先に研修していただければ一番いいと思いますが、ここに時間や予算をかけるには至らないのでしょう。
私自身、長年現場で接客の仕事に携わって痛切に感じたのは、先ずは自分自身へのケアの大切さです。
しかしお客様に対する接客・接遇マナー教本はたくさん出版されていますが、自分自身へのケアのノウハウをうたった書物はあまり見たことがありません。
自分自身が充実することにより始めて、難しい他者へのケアが遂行できるのではないかと思うわけです。
そのために必要と思われることに触れてみたいと思います。
■自分自身を受け入れてください。
人のお世話をすることはとても美しい行為であり博愛的行動だと思いますが、そのためには自分自身を大切に思い、受け入れ、誇りに思うことが大切です。
これは様々なストレスに対しても有効に働いてくれるでしょう。
そして「現時点で自分自身ができることはすべて行った。これ以上はもう限界。」というように、お世話をする期待や要求に対してある程度けじめをつけることをお勧めします。どこが限界というラインは自分の置かれている立場や能力により決めればいいでしょう。
自分自身を大切に思い自分自身を愛する心があるからこそ、相手に対しても同じようなことが可能になるわけですね。
特に看護や介護が必要な人にとっては、心や体の痛みなどにより程度の差はありますが、なかなかお世話をしてもらっている人に対して、感謝の気持ちを伝えることは難しいと思います。
要求するばかりの一方通行になるかもしれませんね。
これに対して自分で自分を中傷することは感心しません。
このことをしっかり理解して、むしろ自分自身のための時間をできる限り確保することが大切だと考えます。
心と体に疲労を蓄積させないよう心がけてください。