マナーうんちく話239≪バラ色の人生とマナー≫
食料自給率が39%で、先進国では最低ラインの日本が「飽食の国」「美食の国」と言われて久しいですが、特に日本の秋は美味しいものが勢ぞろいします。
国際化の進展で様々な国の料理も楽しめます。
そして「食欲の秋」はグルメに関するイベントも毎年盛大に開催されていますが、いずれも一過性のものが多いようですね。
加えて美味しい料理を、賢く、楽しく、美しく食べるような催しは少ないような気がしてなりません。
古今東西「食は命なり」と言われるように、よりよく生きるには食事の在り方が大変大切なわけですが、日本ではないがしろにされているところが多いような気がします。
食べることよりもっと大切なものが多いということでしょうか?
また、日本人は食の安心・安全には大変敏感ですが、賢く、楽しく、美しく食べるということに関しては、お世辞にも上手だとは思えませんが如何でしょうか・・・。
こんな中、「食育を視野に入れたテーブルマナー」の依頼が益々増えてきています。学校、地域の団体、病院、施設、公民館、各種団体、企業等など・・・。
そして、食事を伴うものも有れば、講演だけというスタイルもあり、内容や時間は様々です。
いずれにせよ、得られる効果は本当に大きいと思います。
なぜなら、どこの国でも生きることは食べることですから、食べ方が良くなれば生き方も良くなるからです。
そして和食にせよ、洋食にせよ食べ方の作法を覚えて頂くのも大切ですが、「テーブルマナーの意義」を正しく理解して頂くことが先決です。
食べたり飲んだりすることは、人が人として生きていくために毎日繰り返される必要不可欠な行為です。
動物と異なり、人が食べる時には、調理されたものを、道具を使用して食べます。一人で食べる時も有れば、集団で食べる時もありますが、そのシーンを心地良く、楽しく、品格のあるものにするために、先人が長い時間かけて築きあげたのがテーブルマナーです。
ただし一言でテーブルマナーと言っても、国々の食習慣、使用する道具、気候風土、国民性、文化、歴史、宗教等により大きく異なります。
大切なことは不必要に形式にこだわるより「なぜそうするのか?」という合理的な理由を正しく理解する点です。
ここにテーブルマナーを身に付けて頂く意義があります。
古今東西万国共通のテーブルマナーの基本は次のように纏められると思います。
○食べ物を育んでくれた自然への感謝
○食材への感謝
○料理を作ってくれた人への感謝
○料理をサービスしてくれた人への感謝
○美味しく、楽しくいただく
○同席者に好感を与える
様々な作法に気を使うより、先ずは感謝と周囲への配慮ということです。
これらのことを認識して頂ければ、本当の意味において「グルメの秋」をより楽しめると思います。出来ることから実践して下さいね。