マナーうんちく話521≪お心肥し≫
梅雨で雨が続き湿気を帯びた衣類を虫干しする事を「土用干し」といいますが、今では「土用」といえば「土用の鰻」を思い浮かべる人も多いことでしょう。
年々「鰻の蒲焼」商戦も高まり、予約を取っている店も多くなりましたが、このような傾向は益々鰻の蒲焼ムードに拍車をかけそうです。
なんでも土用の丑の日には、一年の売り上げのうち3分の1を売り上げるとか・・・。
そこでこれから3回に渡り「鰻のかば焼き」のうんちくをお届けします。
話の種にして頂ければ嬉しいです。
ところで以前にも触れましたが、土用の期間の「丑の日」(平成28年は7月30日)に、夏バテ防止を目的に鰻を食べる習慣は、江戸時代のマルチ学者平賀源内の発案だとされています。
今もそうですが、料理屋などでは暑い時期と寒い時期は客足が遠のきます。
鰻屋もそうだったのでしょうね。
企業努力が求められます。
そこで鰻屋から「暑い時期に客を引き寄せる何か妙案はないか?」と相談を受けた平賀源内は、「今日は土用丑の日」と店頭に貼り紙を出すようアドバイスしました。それが受けて客がどんどん増えて、我も我もとなり現在に至ったようです。
江戸商人は勤勉で、常に商売と真摯に向かい合っていたようですが、販売戦略もすばらしいですね。
冬の寒い時期に保温や滋養のために猪や鹿などの獣肉を食すことを「薬食い」と称しますが、夏の暑い時期にスタミナアップのために鰻を食べることも大変理にかなっており感心させられます。
そういえば、七五三の日に境内に子連れの親子が沢山お参りするのを見て「千歳飴」を考案したのも、精米の過程で発生したクズ米を有効利用して「玄米茶」を発明したのも江戸商人だと言われています。
加えて、芝居小屋を営んでいた主人は、芝居見物とグルメをコラボレーとさせ「幕の内弁当」を販売して大儲けしました。
これが明治になり鉄道が開通すると「駅弁」に発達するわけですから、江戸の食文化は現代人に大きな影響を与えたといえます。
実は次回に取り上げる「鰻丼」もそうです。
次回は鰻丼の起源と食べ方、続いて「鰻重」について触れます。