マナーうんちく話239≪バラ色の人生とマナー≫
パリ同時多発テロで国際的な緊張が高まっています。
イスラム教徒でもキリスト教徒でもない私には、イスラム世界の事情は全然わからないし、またテロに関する知識もありません。
従ってテロや多くの難民が発生するメカニズムにも疎いわけですが、連日報道される事件には心が痛みます。
テロの被害に遭った現場の悲惨さは痛いほど理解できますが、不思議な事に、そのテロを撲滅するために多くの国が爆撃を繰り返しているようですが、その悲惨さは伝わってきませんね。
戦闘機による攻撃ですから、その規模は計り知れないと思うのですが・・・。
いずれにせよ、そのような現実がこの世に存在することは、非常に由々しきことですね。
ところで、今まで「江戸しぐさ」や「武家礼法」に触れてきましたが、ここで改めて質問です。
江戸時代の人に、現代人が一番見習うべきことは何だと思いますか?
色々あると思いますが、私は200年以上に渡り、平和な社会を築いたことだと思います。
この間、外国にも攻めて行きませんでした。
また、他国の侵入も許しませんでした。
江戸時代の人が、平和な社会に前向きに取り組んだ功績は実に大きいですね。
日本人の過去の歴史を振り返ってみたら、とにかく平和な社会を作ることが上手ですね。
縄文時代も弥生時代も、あまり争った形跡がないそうですが、平安時代は400年以上政権が続いています。
400年の平和な政権が続くとそれに連れ、様々な文化が開花します。
女流作家が誕生し、長編小説がお目見えしました。
源氏物語のことです。
紫式部によって書かれた世界最古の長編小説ですが、1000年も前に、女性によってあれだけの長い小説が書かれたわけですから、ヨーロッパの人もびっくりでしょうね。
つまり、日本には当時、それだけ教養のある女性が存在したということで、改めて平和な社会がもたらす恩恵が大きいことが理解できます。
そして、400年も、200年も平和な時代が続いていることは、あまり前例がないことで、世界に誇れることです。
さらに、平和な社会を背景に産まれた日本の礼儀作法も、その根源を成すものは「思いやりの心」です。
今では、窮屈、固苦しいイメージが強く敬遠されがちですが、実は「思いやりの心」を具体的に表現したものに他なりません。
何が言いたいかと言えば、国際化に向けて、平和な社会で熟成された日本の礼儀作法を、世界に向けてどんどん発信することが大切だということです。
そのためには、日本の礼儀作法について、さらに理解を深めることが大事だということです。
和食もそうです。
栄養学側面や美味しさばかりではなく、そこに込められた「思いやりの心」「お持て成しの心」等の豊かな精神文化に触れることが大切です。