マナーうんちく話499≪習慣は第二の天性なり≫
「江戸いろはがるた」に、「芸は身を助ける」と言う言葉があります。
「趣味や道楽で身に付けた芸は、いざという時に家計の足しになる」と言う意味ですが、その点「マナーは人生を豊かに彩る」と思います。
学校教育だけで勝負しよう!と考えず、家庭でも小さい時からできる限りマナーを教えてあげて下さい。
育った環境で培った好ましい礼儀作法は、親が子に与える最高の宝物です。
しかも、芸のように習って身につけなくても、親が子どもに素敵に発揮するだけでも大きな効果が表れます。
例えば、朝起きたら、子に明るく元気な声で「おはよう」と挨拶するとか、子どもと食卓を囲む際に、姿勢を正し、笑顔で、美味しく、楽しく食べるだけでもいいのです。
子どもの長所を目を見て具体的に褒めるとか、子どもの言うことを真摯な態度で聞いてあげることでも大きな効果が期待できます。
一芸を身に付けたり予備校や塾に通う必要もなく、高い授業料も不要です。
ただし、学校時代にはさほど差が出ません。
しかし、社会人になって大きな差が出ます。
ちなみに、マナーは、子どもは外面だけですまされますが、大人は内面にまで他人の推量が及びます。
結婚式や見合いの席でアラがでてはいけないので、借りてきた猫のようにおとなしくしても、大抵の場合は露見します。
しかも、その内面まで詮索を受けたりします。
如何に日常が大切かと言うことです。
そうかと言って、親しい友人や夫婦や家族間で、むやみやたらに敬語で喋る必要もありません。
つまり礼儀作法は、使用する範囲や応用のレベルが、時と場合により使い分ける必要があるということです。
はっきり言えることは、日頃横柄な態度で聞く耳を持たないような人と、日頃から謙虚で優しい笑顔があり、自分のことより相手に耳を傾ける人では、いざという時に上手に切り抜けられる人は後者だということです。
「話し言葉」や「服装」などにも謙虚に表れます。
「良く使いなれない言葉を使用して舌をかんだ」と言いますが、まさにそうですね。
「馬子にも衣装」と言う言葉がありますが、いつも正装していては肩が凝ります。礼儀作法を発揮しない方が、かえって礼儀にかなったりすることもあるということです。
マナーはある意味では教養そのものですが、平和な社会で生まれた日本のマナーは融通を利かす知恵も大切です。
今「いじめ」が再度話題になっています。
いじめはいつの世も絶えません。
いじめの捉え方は県により様々ですので、比較する事自体ナンセンスだと思いますが、いずれにせよ、「人の嫌がることをしない」というのは基本的なマナーで、何も複雑に考えることはありません。特に力の強い子が弱い子に対して嫌がることをすれば、周囲の大人は間髪いれず注意する必要があります。
そして、いじめをなくしようと思えば、「いじめに走る子」を無くすことです。
そのためには、親が家庭でキチンと躾をすれば済むことです。
つまり「していいことと、してはいけないこと」をキチンと教えることです。
してはいけない箸使いを「嫌い箸とか忌み箸」、発してはいけない言葉を「忌み言葉」と言いますが、如何に昔の人が他者に気をつかったかと言うことです。